趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
東京駅 カメレオン作戦
国鉄時代、東京駅の新幹線乗換精算口で発行される硬券入場券は赤色印刷のB型券でした。
しかし、過去3回ほど、敢えていつもと違う色の入場券を発売した日がありました。
入場券で入場した旅客が往路のみは正当な運賃・料金を支払って乗車するものの、復路については入場券で入場した上で乗車し、車内の検札を潜り抜け、東京駅で往路に購入した入場券で出場するといった不正乗車が後を絶たなかったため、不正乗車を摘発するために「ある作戦」が実施されました。この作戦は「カメレオン作戦」と呼ばれています。
作戦一回目は昭和52年12月19日から25日にかけての午前11時30分以降に発売された入場券について実施され、期間中は新様式である黒印刷に横赤一条の60円カメレオン入場券が使用されました。
作戦二回目は昭和53年12月6日から8日にかけて実施されています。
入場料金は昭和53年7月8日の改定により80円に値上げされていますが、一回目の残券に料金変更印を捺印のうえ実施されました。
しかし二回目の場合は一回目とは違い、午前11時までに発売された分についてをカメレオン入場券での発売とし、一回目の作戦を知っている不正旅客の目を欺くよう、趣向が凝らされています。
作戦三回目は昭和54年11月18日から20日にかけて実施されています。
このときは昭和54年5月20日の改定によって入場料金が100円に改定されたため、料金変更印の捺印された60円券は使用されずに廃札となり、新たに100円のカメレオン入場券が作成のされてミッションが実施されました。
三回目の場合、入場時間帯によって入鋏を入れる位置が指定されていました。
この時期既に東京駅の当該窓口には印発機が設備されており、ミッション中に印発機で発売された入場券については赤鉛筆で赤一条を引いて対応されました。
また、券売機にて発行される入場券については通常赤地紋の原紙を使用していますが、当時は入場券の券売機は単発式の入場券専用機であったため、緑色の原紙をセットして使用されています。
このようにカメレオン作戦は時間と手間の掛かる作戦でしたが、その実施によって果たしてどれだけの乗客が往路に購入した入場券で出場する不正行為にトライし、結果として失敗してしまったのか、詳しい効果額は不明です。