滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

編集:市民運動ネットワーク滋賀・事務局(TEL:FAX077-522-5415)

【0909/211:裁判員裁判】制度定着へ取材で応援(読売新聞)

2009-09-24 22:33:14 | Weblog
【読売新聞特集「さざ波」:裁判員裁判 制度定着へ取材で応援】

 全国各地で本格的に始まった裁判員裁判。県内でも、10月26日に強盗致傷事件の初公判が予定されている。記者は9月14~16日、和歌山地裁で開かれた強盗殺人事件の法廷を取材する機会に恵まれた。

 被告の男が隣人宅に盗みに入った際、家人の女性に見つかり、口封じのために首を絞めて殺害し、貴金属を奪った事件。これまでは、裁判の中身を中心に取材していたが、今回は、裁判員や補充裁判員計8人を選ぶ手続きに始まり、法廷で無期懲役の判決が下されるまでの3日間、裁判員の一挙手一投足に注目した。

 何より新鮮だったのは、8人に対し、裁判官らが手厚く心を配っていたことだ。

 裁判員は裁判長にエスコートされるように法壇に着席。いつもはクールなイメージの検事が、笑顔で裁判員に「みなさん、おはようございます」とあいさつした。「あんな表情見たことがない」と記者仲間。

 裁判が始まると、法廷の大型モニター上にはチャート図や写真が映され、弁護士や検事が、裁判員の理解度を推し量りながら事件の概要を説明。その様子は、さながらビジネスマンの企画会議のようだった。裁判員に配慮して頻繁に休憩が設けられたり、裁判長が「質問は大丈夫ですか」と度々尋ねたり。制度を成功裏に定着させようとする法曹3者の並々ならぬ思いを感じた。

 判決後、裁判員による記者会見が行われた。「無期懲役」という重い刑を下し、どんな思いをしているだろうかと耳を傾けた。

 「新聞やテレビを通して見聞きした事件は他人事だったが、裁判員になってみて身近に起こるものなんだと思った」と話した30歳代の男性。別の同年代の男性は、被告人質問の様子を思い浮かべて「事件さえ起こさなければいい人そうだった」と振り返った。

 彼らの口から出たのは、まさに「市民感覚」の言葉だった。

 以前から「素人が事件を裁くなんてうまくいくのか」と、正直、懐疑的に思うこともあった。しかし和歌山の裁判では、そんな心配は杞憂(きゆう)だった。「絶対辞退しようと思ったけど、いざ参加したら、やってみてよかった」とはにかんだ30歳代の女性の姿を見て、今後もスムーズに制度が機能してほしいと、願ってやまなかった。

 県内でも間もなく裁判員裁判が行われる。裁判の中身はもちろん、裁判員の息づかいまでをも克明に文字にしていけたら、と思っている。(東田陽介)

【関連ニュース番号:0909/104、9月11日;0909/11など】

(9月24日付け読売新聞・電子版)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20090923-OYT8T00894.htm

最新の画像もっと見る