滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

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【1006/18:障害者雇用促進】県の理念を全国へ / 障害者と雇用契約「事業所」

2010-06-03 02:03:53 | Weblog
【写真:京阪滋賀里駅近くのトイレを掃除する「掃除屋プリ」=大津市見世2丁目】

 障害者が「労働者」として雇用契約を結び、最低賃金が保障される県独自の就労支援策「社会的事業所制度」について、県は同様の制度を創設するよう国に提案した。障害者にとって一般就労は採用が少なく、作業所などで働く福祉的就労は低賃金のため自立が難しいのが実情だ。社会的事業所はその中間的な就労形態で、県は類似の制度を進める自治体と協力して、障害者と健常者が対等に働ける社会の実現を国に訴える。(浅野有美)

■国に制度創設を提案

 県は2005年、企業で就労する障害者が増えないことなどから、社会的事業所制度を開始。事業所への補助金は県と市が2分の1ずつ分担。現在、大津、近江八幡、甲賀市にある計7カ所の事業所で障害者約50人が働いている。

 その一つが大津市京町3丁目の「掃除屋プリ」。障害者9人を含む11人が、JR駅前など市管理のトイレ約20カ所を掃除している。盆や正月も休みなく、北と南の2班に分かれて1カ所を1日2回ずつ回る。

 3年前、NPO法人おおつ「障害者の生活と労働」協議会(OSK)が市からトイレ4カ所の掃除を受託。昨年4月には掃除専門の「プリ」を立ち上げた。OSK事務局長の白杉滋朗さん(54)は「トイレ掃除は障害者が働く姿を見てもらえるので、障害者の社会参加につながる」と話す。

 プリで働く障害者の中には、一般就労が難しかった人もいる。鎌田晴義さん(60)は2年前にくも膜下出血で倒れ、昨年3月に金型を作る技術士として働いていた会社を退職。1年間ハローワークに通い、今年3月にプリにたどり着いた。「毎日幾度も『ありがとう』『ご苦労さま』と声をかけられる。前の仕事では得られない体験」と話す。

 社会的事業所制度の特長の一つが、福祉施設の「利用者」として働くのではなく、事業所が障害者全員と「労働者」として雇用契約を結ぶ点だ。06年に施行された障害者自立支援法では、条件によっては全員と契約する必要がなく、最低賃金も保障されない。札幌市や大阪府箕面市にも県と同様の制度があり、箕面市は雇用機会の拡大と就労によって、障害者への費用負担が減ることもメリットとしている。

 一方、県は制度を運営するため障害者1人あたり月7万5千円、事業所にも年100万円の管理費などを助成している。2010年度当初予算案では3359万円を計上。政府は昨年12月、障がい者制度改革推進本部を設け、自立支援法を早期廃止した後の新たな福祉制度について検討しており、苦しい財政状況の自治体側は国に制度化を働きかけ、負担を減らしたい考えだ。

 白杉さんは「社会的事業所は、障害者と健常者の共働を進める現実的な制度。国への提案は、補助金目当てだけでなく、あくまで制度の理念を訴えてほしい」と話した。

(6月2日付け朝日新聞・電子版)

http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000001006020003


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