親を病気や事故で亡くした高校生や大学生らを支援する「あしなが育英会」の街頭募金が10月18日、全国一斉に始まった。県内ではJR石山・草津の両駅で学生らが支援を呼び掛けた。今月19、25、26日にも街頭に立つ。
今春の同会の調査によると、母子家庭の平均勤労収入は月収12万円に過ぎず、仕事を掛け持ちしても増収分は生活保護から差し引かれている。「(募金が原資の)奨学金があるから学校に行かせられる」という家庭が8割近くに上った。募金は郵便振替(00140-4-187062)でもできる。【稲生陽】
◇「目を向けてほしい」 父親が入院、佛大の中井さん初参加
JR石山駅に立った佛教大1年、中井智基さん(19)は今回が活動初参加。「以前は、物ごいするみたいで恥ずかしかったし、お金も出してこなかった。でも自分が支援される側になって初めて苦しみが分かってきた」
父・穏行さん(51)が倒れたという知らせが入ったのは、故郷・徳島で高校1年の終業式を迎える前日だった。父は岐阜県で祖母と一緒に炭作りを営んでいたが、昼食中に倒れたという。喪服で来るよう言われ、不安に襲われた。
穏行さんは一命を取りとめたものの、物を飲み込むことができなくなり、今も入院したままだ。男3人の兄弟を抱えて母の幸子さん(48)は懸命に働いたが、医療費で支出は増える一方。あきらめかけた進学は、同会の支援もあり、母が背中を押してくれた。
今は月4万円の支援を受け、居酒屋でのアルバイトで生計を立てる。「誰でも同じ境遇になる可能性はある。他人ごとと思っている人にも目を向けてほしい」と思いを語った。
(10月19日付け毎日新聞・電子版:同日付け読売・電子版も報道)
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20081019ddlk25040276000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20081018-OYT8T00861.htm