滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

編集:市民運動ネットワーク滋賀・事務局(TEL:FAX077-522-5415)

【1109/89:在宅医療】「滋賀モデル」実現へ 医療福祉・在宅看取り

2011-09-10 23:56:28 | Weblog
■民間主導で「地域創造会議」 病院・施設から在宅・地域へ

【写真:課題や方向性を探ったパネルディスカッション――男女共同参画センターで】

 少子高齢化社会において、住み慣れた地域で、自分らしく、安心して死を迎えることができる環境を構築するため、保健・医療・福祉が一体となって生活を支える「医療福祉・在宅看取り『滋賀モデル』」の実現をめざして「医療福祉・在宅看取りの地域創造会議」が、このほど設立された。

 同会議は笠原吉孝滋賀県医師会長や県医療審議会委員でもある宮本和宏守山市長らが呼びかけ人となって設立したもので、先月三十日に近江八幡市鷹飼町の県立男女共同参画センターで開かれた設立のための初会合には、趣旨に賛同する医療福祉、病院・診療所、訪問看護ステーション、福祉・介護、行政などの関係者約三百人が参加した。

 呼びかけ人を代表して笠原氏は、「団塊の世代があと十五年で七十五歳になることを見据え、誰もが地域で自分らしく暮らし続け、老いを迎え、平穏に死を迎える社会を創りたいとの願い、医療福祉関係者や地域住民といった民間主導で、行政を巻き込み、お互いの顔が見えるような関係を創っていきたい。関係者のつながりを基盤にして地域で支えあう中で、高齢者や障がい者など社会的に支援を必要とする人たちを包み込む『滋賀モデル』を推進していきたい」と、開会のあいさつで会議設立の趣旨を説明した。
 
 同会議は、▽県内各地域での地域包括ケアの構築・推進▽医療福祉専門職、NPO、行政等の関係者相互連絡と協力促進▽県内各地の医療福祉関係懇話会との連携・協力▽医療福祉滋賀モデル実現に向けた自主的な組織目標設定と実践の検証――に取り組む。

 入会は目的に賛同する個人で、運営事務局は県庁健康福祉部医療福祉推進室に置く。顧問に辻哲夫東大高齢社会総合研究機構教授、代表幹事に笠原吉孝氏のほか、幹事六人の役員が決まった。

 県民の生活と医療・介護を支える地域づくりをめざして、日常生活圏域・市町圏域での地域包括ケア、切れ目のない医療福祉、地域支え合い、多職種協働の人材づくりといったシステムの確立と、在宅でのターミナルケアと看取りの促進、地域住民が守り育てる医療福祉の構築、病院・施設完結型から地域完結型への移行による「滋賀モデル」を実現する。

 各地域、県・市町での取り組みに対し、応援者としての提言や、実践者としての支援を行う。あくまでも個人の「自覚者の自発的な集まり」で、民間主導。行政は民間の集まりヘの支援で、県が運営事務局を担う。「滋賀モデル」構築には、それぞれの地域での取り組みを深化し、それぞれのつながりと協力が必要となる。

 渡邉光春県健康福祉部長は「実際に活動する民間の人たちが生き生きと取り組める仕組みが必要。民間がやってきたものを行政が汲み上げてモデルとする。それぞれのがんばりを相乗的にして行った結果、『滋賀モデル』ができる。先人の取り組みを思い起こし、再構築し、良質なサービスを届けられる滋賀県にしたい」と、語った。

 パネルディスカッションでは、「医療福祉、地域包括ケアのある街を目指して」をテーマに、医師、看護師、薬剤師、地域介護運営者、宮本市長、嘉田由紀子知事が、在宅医療連携システムや街かどケア、すこやかまちづくり行動プランの取り組みなど報告や、総合医育成の必要性や訪問看護師不足などの問題提起から、「滋賀モデル」実現の可能性を探った。

 辻氏は記念講演「超高齢社会の老い方と医療福祉のシステムづくりを考える」で、「病院での死亡が増加している今の状況では病院は持ちこたえられなくなる」などとして、在宅医療普及への道筋を現在取り組んでいるモデル事業を紹介しながら示した。

(9月10日付け滋賀報知新聞・電子版)

http://www.shigahochi.co.jp/info.php?type=article&id=A0008432



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