厳しい電力不足が見込まれる関西電力管内。関西広域連合は、国と関電が示した今夏の節電目標に合意し、共通の目標値「二〇一〇年比で15%以上」を示した。節電の夏を乗り切るため、家庭や企業などそれぞれの取り組みが求められるが、最も電気を使う時間帯の使用を抑える「ピークカット」が大切だ。対処についてQ&A方式でまとめた。
【Q】 夏の昼間の電力使用の特徴は。
【A】 夏は、気温が高くなる平日の午後一~四時ごろに最大ピークとなる傾向がある。関西電力もピークとなる時間単価を、それ以外の時間帯より大幅に高くし、需要の低い夜間の単価を下げるなど新たな料金プランを導入。二十一日に受け付けを始めた。
【Q】 なぜピークカットが必要なのか。
【A】 避けなくてはいけないのは、電気使用量が供給力を上回ってしまった場合の停電。事前連絡や準備を講じる時間もなく突然電気が使えなくなれば、大きな混乱が生じる。そうならないよう、ピーク時間帯の電気使用量を抑え、供給力を超えないようにしなくてはいけない。
ただ早朝や夜の時間帯の節電の心掛けも大切。例えば、夜間の節電分の電力を利用してポンプで上流に水をくみ上げ、日中に水を落として発電する揚水発電の供給力増加に役立てることもできる。
【Q】 家庭では、どんな節電が効果的か。
【A】 経済産業省資源エネルギー庁は、家庭の午後二時ごろの電力消費は58%がエアコン、17%が冷蔵庫と推計している。エアコンの設定温度を二六度から二八度に上げると10%の節電効果になる。国などは、無理のない範囲で、エアコンより使用電力の少ない扇風機の使用、もしくは併用を薦めている。
【Q】 家庭以外では。
【A】 オフィスビルや小売店、宿泊施設などでは空調や照明の電力消費が多いが、その分、削減幅も期待できる。店舗照明の間引きや使用しない部屋の空調停止に加え、ピーク時間を避けるための営業時間や営業日の短縮、シフト変化も効果が大きいとみられる。
【Q】 電気を使う製造業など生産活動の影響が心配。
【A】 企業のなかには電力不足への不安も聞かれる。企業独自の節電目標や電気使用量の抑制をすでに図っているところも多い。嘉田由紀子知事は二十二日の定例会見で「企業の皆さんが一番心配しているので、企業に対し、製造量そのものに影響しないような形で、関電にも優先的な配慮をしていただきたい」と求めている。
【Q】 今後の節電への取り組みは。
【A】 関西広域連合や県も、節電目標を達成するために具体的な節電対策を練っているところ。ただ嘉田知事は「節電には、後ろ向きではなく、楽しく取り組んでいかなくては」とも呼び掛けている。 (梅田歳晴)
(5月24日付け中日新聞・電子版)
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20120524/CK2012052402000015.html