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【1106/203:原発震災】一時帰宅 家に「ごめん」 / 原発事故で高島に避難中の青山さん一家

2011-06-22 23:37:41 | Weblog
【写真:「片づけのため、早く帰りたい」と話す青山和憲さんと総子さん=高島市朽木荒川の市営住宅】

 「思わず家に『ごめん』と謝った」。東京電力福島第一原発の事故の影響で、高島市に避難している青山和憲さん(63)の一家3人が今月(6月)19日、約3カ月ぶりに福島県富岡町の自宅に一時帰宅した。「片づけなどできる時間はなかった。また帰りたい」と、一日も早い事故の収束を願った。

 青山さん一家は震災後、群馬県などを経て、3月19日から高島市朽木荒川の市営住宅で避難生活をしている。自宅は同原発から10キロと離れていない場所にあり、現在は警戒区域(20キロ圏内)に指定され、立ち入りが制限されている。

 帰宅前日の18日、東京電力が用意した福島県郡山市内のホテルに泊まり、19日朝、マイクロバスで富岡町の西隣の川内村に向かった。知人と再会し、互いに抱き合う高齢者の姿に、思わず涙が出たという。

 現地の体育館で防護服に着替え、1家族に1台の放射線の線量計や無線機が手渡された。役場職員から1時間余りの説明を受けた後、7台のマイクロバスに約100人が分乗して富岡町に向かった。途中、放し飼いにされた牛の群れに遭遇した。妻の総子さん(62)は子牛が母親の乳を吸う姿を見て「生き延びなさいよ」と心の中で叫び、同時に、原発への憤りが再びわいてきたという。

 久しぶりのわが家は、地震発生翌日の3月12日に脱出したときと同様、外観に異状は見られなかった。だが、青山さんは「なぜ大変な目に遭っている私を置いて逃げ出した」と家から責められているように感じた。

 玄関を開け、倒れた家具の隙間をはうように室内に入った。冷蔵庫から、食べ物の腐った臭いが漂っていた。長女の芽雨美(めうみ)さん(24)がイラストを描く際に使うトレース台が見あたらないのに気づいた。総子さんのパスポート入りのかばんなどもなくなっていた。盗難に遭ったのだ。

 画家の青山さんは絵の具やカンバスなどを持ち出した。用意されたポリ袋1枚で持ち出せる物は限られた。自宅にとどまることができたのは、2時間足らずだったという。(成田康広)

(6月22日付け朝日新聞・電子版)

http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000001106220003


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