中山間部や郡部などにある地域医療の拠点病院の院長らが1月11日、嘉田由紀子知事を訪ね、医師不足が深刻化しており医師の勤務が過酷になっていることなどを訴え、早急に実効性のある具体策を講じるよう要望しました。
「院長自らが宿直に入っている」(湖北総合病院長)、「産科医が辞め、高島市では1割ほど分娩が減った。妊娠しても出産をあきらめた方もいる」(高島総合病院)など、「国保直診病院」と言われる拠点病院や診療所の院長らは厳しい現状を訴えました。
国保直診病院は県内に31施設あります。来年度は常勤医が10人減り122人になる見通しです。なかでも高島総合病院は5人の常勤医が一度にいなくなり、後任の医師を確保するめどがたっていないとのことです。
地域ごとの現状報告もあり、東近江市では整形外科医が不足し、交通事故などの緊急時に対応しきれないこと、ここ5年間で蒲生、湖北総合、高島総合病院で産科の休止状態が続いていることなどが指摘されました。
医師の偏在と医療従事者の不足は、臨床研修制度が2004年度に必修化されたのを機に深刻化しています。若い医師が都市部での勤務を希望し、開業医志向も強まっていることなどから、医師確保が一層難しくなっているとのことです。
医師の適切配置、偏在の解消、滋賀医大との連携などを要望したのに対し、嘉田知事は「財政は厳しいが、できるだけ優先度を上げて対応したい」と答えました。
(1月12日付け各紙が報道)