中小企業が掛け金を積み立て、取引先が倒産した場合に無担保で貸し付けが受けられる「経営セーフティ共済」の加入が京都、滋賀で急速に伸びている。景気悪化とともに不測の事態による資金難に備える動きとみられ、制度を運用する中小企業基盤整備機構は「本年度も倒産の増加で加入が伸びる」(近畿支部)と見込む。不況対策として掛け金の助成制度を導入する自治体も出てきた。
同共済は、取引先の破たんで売掛金回収が困難になった場合、積み立てた掛け金の10倍まで無担保貸付を受けられ、連鎖倒産を防ぐ。最高貸付額は3200万円(掛け金限度額は320万円)。掛け金は毎月5千~8万円で選べ、必要経費扱いのため税制上の特典を受けることもできる。
加入件数は不況を背景に全国で伸びている。下期から景気が急激に冷え込んだ2008年度は京都府で前年度比63%増の433件に上った。滋賀県では5倍近い808件に急増した。滋賀銀行は「万が一の連鎖倒産の備えとして顧客にメリットが大きく、積極的に加入に勧めた」(総合企画部)という。
不況対策として利用促進を図る自治体も出始め、東京都は昨年12月議会で補正予算を組み、掛け金の4分の3を半年間の助成を始めた。
京都府、滋賀県ではまだ助成制度はないが、大阪府は制度創設を検討中で、静岡県や千葉県でも導入に向けた動きが進んでいる。
中小企業基盤整備機構近畿支部は「共済の貸し付けはとくに業況が厳しい建設業向けが伸びている。今後は行政の助成が増える可能性もあるため、リスクに備え、加入を検討してほしい」(共済部)としている。
(6月26日付け京都新聞・電子版)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009062600075&genre=B1&area=K00