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【1106/96:原発事故】政府事故報告書に(福井県)知事「自治体向けでない」

2011-06-11 00:03:58 | Weblog
 政府が国際原子力機関(IAEA)に提出した福島第一原発の事故報告書は、事故の教訓を反映した安全基準を求めてきた立地自治体に対する回答でもある。停止中の原発の再稼働に向けて国は報告書に基づき地元の説得に乗り出すが、西川一誠知事は「安全対策はまだ不十分」と再稼働を認めない姿勢を崩さない構えだ。

 政府はIAEAへの報告書の中で、福島第一原発事故への見解を初めて示した。
 県は、県内で8基が運転開始から30年を経過している事情から、大地震が高経年化(老朽化)原発や原子炉などの重要機器に与えた影響の検証と、浜岡原発以外を安全と判断した根拠の明示などを国に求めてきた。

 だが、報告書は高経年化について「今回の地震や津波に対して高経年化した原子炉がシステムとしての脆弱(ぜいじゃく)性を有していなかったか、今後詳細な検討が必要」としか記していない。原子炉など安全上重要な設備や器具への地震の揺れの影響についても「詳細な損壊状況についてはまだ不明であり、今後の調査が必要である」としている。

 8日、報道陣から報告書への評価を問われた西川知事は「詳細な原因は不明とする表現で不安が残るから、明らかにする必要がある」と疑問を投げかけた。

 浜岡原発の停止も報告書では「マグニチュード8程度の想定東海地震が発生する確率が87%」という従来の政府の説明が繰り返されているのみ。西川知事は「あいまいなままだ」と納得しなかった。

 西川知事は今回の報告書を「立地自治体向けではない」と指摘し、改めて国に安全基準の提示を求める考えも示した。

 報告書が公表された6月7日、経済産業省原子力安全・保安院は電力事業者に対し、全国の原発で追加の緊急安全対策を取るよう指示した。水素爆発防止や中央制御室への電力供給手段の確保など5項目の実施を要求し、14日までの報告を求めている。

 これについて、(福井)県安全環境部の桜本宏企画幹は「報告書で方向性が示されたが、電力事業者に対し、具体的な対策の指示は今回5項目しかない」と、電力事業者が実施する具体的な安全対策が不足していると指摘している。(足立耕作、笹川翔平)

(6月10日付け朝日新聞福井版・電子版)

http://mytown.asahi.com/fukui/news.php?k_id=19000001106090001