7月に投開票予定の参院選滋賀選挙区に立候補を表明している▽自民現職で党環境部会長の山下英利氏(54)▽民主新人で前県議の徳永久志氏(43)▽共産新人で党県常任委員の坪田五久男(いくお)氏(48)--の3人がこのほど合同記者会見した。活発な議論が交わされた会見の詳報を3回に分け、当日の発言順に紹介する。
◇早急に年金不安除く、琵琶湖など環境政策も--自民・山下氏
◇消えた年金正し信頼を、小泉改革のひずみで格差--民主・徳永氏
◇9条守って平和の道 年金、国が直接責任を--共産・坪田氏
《今回の選挙の争点は何か。最も訴えたいことは?》
山下 第一に年金。国民の不信感、怒りに政治責任を明確にし、解決の道筋を示す。一日も早く国民の不安を払しょくするため総力を挙げ、制度改正にも理解をいただく。温暖化や琵琶湖の問題について、自民党の政策として示していく。
坪田 貧困と格差を無くし、暮らしを守る。社会的弱者が生きていけない原因を明らかにし、ただすため税制、社会保障、雇用のルールの転換を訴えたい。安倍晋三首相は任期中の憲法改正を宣言したが、憲法改悪を防ぐため訴えていきたい。
徳永 消えた年金問題が第一で、怒りの声が街中に満ちている。消えた年金を正していくことが信頼できる制度確立への第一歩だ。年金問題を通じ、政治のあり方を問いたい。年金や税金を支払っている人のための政治を訴えていきたい。
《小泉、安倍政権への評価は?》
坪田 自民党政治は大企業の利益を優先し、世界に例のない米国の言いなり。安倍首相は小泉政権時代の弱肉強食の構造改革路線を継続させ、格差と貧困は広がった。憲法9条を変え、米国と肩を並べて戦争する国づくりを目指している。
徳永 小泉政権は「構造改革」の名の下に、経済原則一辺倒の改革が行われ、そのひずみが今現れている。最たる例が格差問題で、医療や教育でも特に地方は大変疲弊している。安倍政権は国家と国民の関係を規定し、国民に押しつけている。
山下 「官から民へ」の小泉改革を国民は支持した。規制緩和や自由競争はこれまで出来なかった大きな改革だったが、不具合が出てくるのは否定できない。安倍政権は地方や中小企業へのきめ細かい政策、社会保障の面も丁寧に進める。
《現行憲法を変えるべきか?》
徳永 参院選の争点にするのはどうか。街でも「憲法を変えてくれ」という声は聞かない。暮らしを立て直すことが選挙で問われている。長い視点で見れば、憲法は一字一句変えてはならないとは思っていない。環境権などは付け加えるべき。
山下 優先課題がある中で憲法改正は争点になり得ない。地方分権を進める場合、憲法に地方自治(の規定)が少ない。教育では家庭や学校を憲法で定めるという議論もある。国民が決める、すべての法律の原点との意識を持ってもらいたい。
坪田 すべての条文を守り、生かした国づくりをすべき。憲法は戦争の反省から生まれている。戦争になったら、若者が行かされるわけで、そういう改憲は許されない。9条を守ってこそ、アジアや世界で日本が平和に生きる道が開ける。
《年金問題の原因と責任は?》
山下 社会保険庁のずさんな仕事ぶりと、看過した政治の責任が大きい。職員は問題意識を持って、丁寧なサービスをしないといけない。会社だったらつぶれている。国民の不安をぬぐいさることが最優先課題で、道筋を示していく。
坪田 歴代厚生大臣、国の責任は明確だ。国民に立証責任を負わせないことが大事。社保庁を、解体・民営化するのは国の責任をあいまいにすること。国民の財産の年金を長い年月、管理運営していくわけだから、国は直接責任を持つべきだ。
徳永 社保庁はミスに気付いていたはず。事なかれ主義や隠ぺい体質が問題だ。責任は政府にある。与党の解決策は信頼性に疑問。すべての記録を突き合わせて訂正し、記録をすべての人に発送することで、初めて信頼性がよみがえるのでは。
(6月21日付け毎日新聞の報道)
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/shiga/news/20070621ddlk25010154000c.html