滋賀県野洲市の市まちづくり基本条例案をめぐる審議で市議会総務常任委員会(8人、小島進委員長)は6月1日、「16歳以上への住民投票権」を削除する修正案を可決しました。背景には、市の意思決定に住民の積極的な関与を盛り込んだ原案が議会の存在意義を揺るがしかねない、という市議の警戒感があります。修正案は6月定例市議会で可決される見通しで、全国で2例目となるとみられた「16歳以上への住民投票権」の常設条例化は難しい情勢になりました(関連ニュース番号0702/49,2月23日)。
この日、総務常任委が可決した修正は、いずれも原案の文言削除で、「16歳以上の住民投票権」や住民投票を発議できる主体からの「住民、市議会、市長」、市民、議会、市の3者の関係を「対等」と位置付ける文言など、計7カ所にのぼりました。
委員会では、委員から「16歳の判断能力を疑問視する市民が多い」「住民投票の案件により、ケース・バイ・ケースで投票年齢を決めればよい」「市民と議会が対等との規定は、議会制民主主義を否定しかねない」などと、市が提出した原案に否定的な意見が相次ぎ、修正に持ち込みました。
共産野洲市議団の委員が「市民参画を図る点で重大な後退で、骨抜き以外の何ものでもない」と指摘したほかは、最大会派の豊政会をはじめ、公明党や無所属の委員は修正に賛同しました。
傍聴していた豊政会の市議は「原案は直接民主主義制の色合いが濃く、制定されれば市議会が市民の決定を追認する機関になってしまう」と、原案への反発を示しました。
山崎甚右衛門市長は「市民の条例検討委員会がまとめた案が通らなかったのは残念」としながらも「全否定はされていない」と、まちづくり条例成立後に策定する住民投票条例案で、削除された原案の文言を生かす意欲を示しました。
(6月1日付け京都新聞が報道)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007060200038&genre=A2&area=S10