徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

何ちゃって設計士にはなるな!

2015-03-04 09:11:18 | 建築つれづれ…
 昨年秋に設計契約を交わしたプロジェクト。着実にクライアントと一緒に歩を進めてきた。そして先日、最後の設計打合せが終了。この時点で仕上がっていた分厚い図面を見せると、ビックリしたようにクライアントは言った。「こんなに図面描くんですね。」

 この図面中の数枚はこの日の打合せで訂正が入ったが、これら図面は今までクライアントと価値を創造してきた結晶の何物でもない。

 

 一般の人は、10枚程度の図面で建物ができると思ってるかもしれない。設計という創造の作業の中で、クライアントと打合せしてきた5~6ヶ月間の内容は10枚程度で表現できるものではないし、そうであっては半端な物つまり我々で言う「建築」とまったく異なった物でしかない。

 工事は形になっていく過程が物理的に視野に入ってくる。それは当事者で無くてもだ。しかし設計作業は当事者にしか創り上げる過程が見えない。だから周りの人、経験したことのない人は、設計は1ヶ月程度で終わる作業だと思っているかもしれない。

 これは一般の人が「建築」に関る一番身近なもの「家づくり」の今までのやり方、つまり設計という行為を蔑ろにしてきた住宅業界の歴史がもたらした功罪だと私は思っている。

 この歴史が、打合せも数えるほどしかせず、10枚程度の図面で満足している「何ちゃって設計士」を生んだ。

 我々建築家の役割は大きい。クライアントの代理人としてアイディアと技術・専門知識を提供する。施工業者の技量を判断し、クライアントに推薦し、提出された見積書の内容をチェックする。工事金額を安くする為の減額案の提示やネゴ交渉然り。

 工事に入れば、第3者的な見地で工事内容をチェックしていき、工事工程へのアドバイス、クライアントの変更要望への対応等々。

 それらのフィルターを通して、クライアントの理想を実現する。彼らの人生、暮らしそのものを創造していると言ってもいい。

 さて、設計打合せが終了したプロジェクト。施工業者への図渡しを完了し、今月下旬に見積書が提出される予定。今回も初めてお付き合いさせて頂く業者。今後の為にも、ガッチリ見積書の内容はチェックさせてもらいます。数週間、楽しみに待つことにする、果報は寝て待て…。
コメント
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