徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

引き寄せられた縁-1~焼肉さとるちゃん物語~

2024-03-27 08:14:54 | 店舗新築・リニューアル・リノベーション
 2016年に手掛けさせてもらった「古民家焼肉さとるちゃん」。

 以前書いたブログより、その全貌を数回にわたりご紹介します。


 2016年11月始めの事。事務所の電話が鳴り、いつもの営業FAXかと思いながら取った受話器。

 受話器の向こうの声は丁寧な言葉だが、半分撒くし立てられるような勢い。内容は…仕事のオファーでした。

 当事務所のホームページを見て電話したらしい。でもちょっといかがわしくないか?それが私の第一印象。

 そこでまずは直接会うことにした。会ってみないとその人の人となりが分からない。

 会って話すとフィーリングが合う、合わないが判断できるからだ。

 しかし電話ではスケジュールがタイトだと話していたこと、ちょっとしたいかがわしさ、今の私の状況から半分断ろうかなと思っていたのも事実でした。

 

 そして次週電話主は2人で事務所にやって来た。色んなことを熱く語り始める電話の彼。

 話を聞いていくうちに、情熱的なこの人は悪い人じゃないむしろその逆…という印象を受けた。

 酒田で焼肉屋を開業するとのこと。しかも開業するのはもう一人の彼。

 電話主の彼は開業する彼の同級生であり師匠。 群馬で焼肉屋を3店舗経営する経営者だった。

 話を聞いていくと、自分の形勢はある一言で逆転した。ある方の名前を出した開業予定の彼。その名前は私が大変お世話になった方の名前だった。

 その方は数か月前帰らぬ人となっていて、そしてその方の遺志を受け継ぎたいと言う。

 会う前は断ろうという気持ちがあったが、もう断れなかった。

 というより自然に、俺にやらせて欲しい、やるのは俺しかいない、いつの間にかそう言っていた私。

 ビジネスど返しでも男にはやらねばならないことがある。人生には自分のことを後回しにしてでもやらねばならないことがある。それがこの仕事だと感じた。

 

 あの方が引き寄せてくれたこの不思議なご縁。どこでどうなってこういう状況になったかはもう過去のこと。

 私なりの鶴の恩返し。色んな思いを乗せスケッチを描く手も走る。思い入れのある仕事ができることに幸せに感じた…。

 ~つづく~
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ボルダリングのあるイエ物語-6

2024-03-19 08:15:31 | 建築家との家づくりの流れ
 ライフプランナーからのお墨付きをもらったボルダリングのあるイエ。

 

 設計作業は実施設計に入り、詳細の詰めを行っていく。

 照明器具の選定、ショールームに行ってのシステムキッチン等の住宅設備機器の設定、スイッチ・コンセントの位置、造作家具の仕様等々。

 いつも中々1回で決まらないのが、システムキッチン、浴室、洗面化粧台、トイレの住宅設備機器。

 特にシステムキッチンは奥様の意見がかなり反映されるので、予算とグレードの狭間で凌ぎ合いが繰り広げられるのだ。

 今回も1回では決まらず、2~3回と足を運び仕様決めに頭を悩ませた…。

 隔週で打合せを行い、実施設計は2か月を要し設計図の完成。

 オファーを貰って立案から約6か月を要して、ようやくここまでたどり着いた。

 最終的な施工業者の見積を取る前に、仕上がった設計図を建て主夫婦に説明し了解を得て見積依頼。

 そこから1か月後、見積書が提出された。

 コロナ禍の折、ウッドショックという言葉が世の中に氾濫し建設コストが高騰していた中での見積書提示。

 建て主には世の中の状況を説明はしていたが、提出された見積書は概算時より1割ほどコストダウン。

 まずまずの表情で見積書を見せる私と施工業者の担当。

 勿論、建て主の回答はOK。コストアップも予想していた中で、施工業者が頑張って提示してくれたおかげである。

 工事にゴーサインがともされ、工事契約の日取りと大安吉日に地鎮祭をスケジュール表に書き入れた…。

 ~終わり~

 工事の状況は以前このブログで書き綴った通りです。地鎮祭の様子は下記よりご参考にして下さい。
 https://blog.goo.ne.jp/in-archi-studio/e/03124ceeaa1a0a9847b0d3740ae6e420
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ボルダリングのあるイエ物語-5

2024-03-13 08:24:37 | 建築家との家づくりの流れ
 基本設計が進み工事概算を算出することにした、ボルダリングのあるイエ。

 数週間後、工事予定業者から概算見積書が提出され内容を確認する。

 
 
 建て主の予算のギリギリストライク、とはいかずボール気味…。

 建て主も少し判断に迷った様子。

 そこで、以前受けたライフプランナーに資金計画の再相談を提案した。

 後日、ライフプランナー、建て主夫婦、そして私と4人で提出された概算見積書の金額を基に協議する。

 ライフプランナーの方は難しそうな顔で、ライフプランのデータとにらめっこ。

 そして口を開いた。「問題ないですね。まだ余裕があると思います。」

 その言葉に自然と笑顔がほころぶ建て主夫婦。

 私としてもライフプランナーからNGが出ると、設計内容を大幅に再検討しなくてはならないところであった。

 私も胸をなでおろした…。

 ライフプランナーのお墨付きをもらい、このままの設計案で詳細設計を詰めていくことを建て主と確認した。

 これからは実施設計に入り、各部の詳細を詰めていくことになる。

 ~つづく~
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ボルダリングのあるイエ物語-4

2024-03-06 08:01:17 | 建築家との家づくりの流れ
 いよいよ図面、3D、模型の三種の神器を携えて意気揚々とファーストプレゼンに臨んだ。

 ヒアリングや要望書を基に設計コンセプトを説明し、3Dや模型で補足説明を行っていく。

 

 神妙に聞き入る建て主夫婦。

 計画案の説明を終え、おおよその工事費、設計料を口頭で提示。

 工事費、設計料も概ねOKの返事をもらい、今回案をベースに設計を進めていく方針を確認した。

 当初思っていたものより一回り広く、ボルダリングウォールのあるLDKに満足してくれた様子。

 ファーストプレゼンは上手くいった。建て主も私も満足したプレゼンだった。

 後日、設計契約を交わし本格的な設計打合せに入ると、まずは間取りの再確認と修正点を協議。

 ファーストプレゼンの提案から、全体面積を増やすことなく許容範囲での調整作業を行う。

 打合せをしては修正を繰り返し協議を重ねる。

 そんなやり取りを繰り返すこと数週間。

 配置、平面(間取り)、立面、断面、概略仕上が決まった。

 今回、工事を行う業者は施主指定業者の為、すぐに施工業者の担当者に連絡し工事費の概算算出依頼をお願いする。

 建て主には概算提示まで数週間時間をもらうことにしている。

 建て主の予算内で行けるのか否か、このまま設計を進めていいか、一度このタイミングで工事費を検証。 

 このまま設計を進めていっても、予算とかけ離れていては話にならない。

 このタイミングで一度検証しなくてはならない、避けては通れない道である。

 ~つづく~
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