徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

高効率で燃費のいい住宅を創るには…窓の断熱性能

2016-08-30 08:50:55 | 建築家と酒田・鶴岡・庄内地方に家を建てる
 厳しい東北地方の冬。その冬に暖かい住宅に暮らす為に付加断熱工法を取り入れていることは前回書いた。

 付加断熱工法で住宅の断熱性能が上がれば、冬季間の室内の熱が逃げていく可能性が低くなる。裏を返せば、夏季の室外の熱の影響を受けないという事。

 それはあくまでも壁での話である。住宅には窓というパーツがあり、外の景色を取り込み、換気手段等々の役割を果たす。

 

 断熱という観点からは、断熱材の入ってる壁と窓とでは比較にならない。室内の熱はほとんどが窓から逃げていくし、外の熱も受け入れ易い。

 もうお分かりだろう、住宅の断熱性能を上げるには、壁以上に窓の断熱性能を上げることも重要だということ。

 窓の面積の大部分を占めるのがガラスで、このガラスの断熱性能を上げるためにここ10数年でペアガラス(二重ガラス)、その中でも断熱性能が高いLow-Eガラスが主流になって来ている。

 今ではペアガラスの間に特殊なガス(アルゴンガス等)を入れたガラスや、トリプルガラス(三重ガラス)というものまで商品化されている。

 従来、日本の窓は木で作られていた。しかし以前の木製窓はすぐに腐れたり、ゆがんで開閉操作がままならなくなることが世の常。

 そこで出てきたのがアルミサッシという代物。アルミは加工しやすいので、複雑な構造のサッシというものを製造するには容易だった。その為、アルミサッシはあっという間に普及した。
 
 しかし、アルミの弱点は熱を通し易いということ。つまりは室内の熱を逃がしやすく、外の熱を受け入れやすい。断熱性能が低いのだ。

 北国の冬に窓にガッチリ結露している風景をよく見かける。大部分はアルミサッシにシングルガラス(一重ガラス)を使用している古い住宅。まさに窓から熱が逃げ、外の寒気が室内に入り込んで来ている証拠である。

 サッシの歴史を見ると、アルミサッシ→アルミ+樹脂複合サッシと変遷していて、現在の主流は樹脂サッシ。もちろんサッシの断熱性能もその時代、その時代でアップしている。

 

 日進月歩で断熱性能が高くなっている窓。私の設計スペック、こと窓に関して言えば、樹脂サッシ+Low-Eペアガラス(アルゴンガス入)である。


 ~つづく~
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高効率で燃費のいい住宅を創るには…付加断熱工法

2016-08-26 08:42:50 | 建築家と酒田・鶴岡・庄内地方に家を建てる
 昨日、大工工事が内部外部と進んでいる丸子の平屋へと向うと、現場では外壁部の断熱材のグラスウール50mmを設置していた。

 今回の断熱仕様は一般的な充填断熱としてグラスウール120mmを使用し、その他に外壁側にグラスウール50mmを付加する内容。

 

 一般的な充填断熱は柱と柱の間に断熱材を入れる工法。日本全国どこでもやってる工法だが、東北地方の冬は厳しい。九州と東北で同じ断熱工法で良い訳がない。

 最近の私の設計では、充填断熱に断熱材を付加する付加断熱工法を積極的に取り入れている。住宅の断熱性能を強化して、消費する冷暖房エネルギーを低減させようという考えだ。

 クライアントはイニシャルコスト(工事費)に目が行きがちだが、建物を維持管理していくにはランニングコスト(光熱費)も重要なファクター。

 30年以上もひとつの住宅に住む訳であるので、1ヶ月20,000円光熱費を減らすことができれば、単純計算で年間240,000円、30年で7,200,000円の削減になる。
 
 日本のエアコン技術・能力は世界一で、省エネタイプが主流となってる今、その性能たるやビックリするぐらいに進歩している。そのことをクライアントに説くとほとんどの方々が納得してくれる。

 今回の丸子の平屋もその付加断熱を採用している。


 ~つづく~


 
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生の職業体験

2016-08-23 09:13:35 | 建築家と酒田・鶴岡・庄内地方に家を建てる
 上棟式も無事終わり、造作作業に追われる丸子の平屋の現場。

 

 お盆前に息子を現場に連れて行った。高校一年生の息子は小学生の頃から大工になりたいという夢がある。

 私の親父は大工だった。息子にとって祖父にあたる親父は、「大工になんてなるもんじゃないよ。」と息子の意思を否定する。苦労したことが身にしみているのだろう。

 しかし息子の思いは今でも一貫していて、その気持ちを尊重し私も大賛成している。であれば、大工さんの仕事ぶりを実際に見せようと思い夏休みに現場に連れて来たのだ。

 

 現場で大工さんは地道に筋交いや外壁下地を切っては取り付けていた。動きがあまりないので、息子にとっては何をどう作っているのか全く分からなかった様子。

 本当はクレーンで建て方をしている作業現場を見せた方が、素人目には面白かったと思うがスケジュールの関係で仕方なし。
 
 無理やり大工さんに質問をさせてみるが、思春期の男子には始めて会う人に話しかけるのは恥ずかしかったようだ。だが親父は無理やり質問させた。

 暑い中やさしく答えてくれる大工さん、感謝です。

 家に帰って感想を聞いてみると、正直さっぱり何やってるかわからなかったと。

 仕事はやりながら覚えるもの、最初から分かるはずもないということ、私も実際そうだったことを息子に話す。

 小学生のときに息子は担任の先生にこう言ったそうだ。

 「俺はお父さんみたいにアイディア考えるとか、案を創ることは苦手だけど、手を動かして何かを作ることは大好きだ。だから大工になる。」

 親父はその言葉を先生から聞いて、涙が出るほど嬉しかった。高校生になっても将来の希望職業に「大工」と書く息子。

 いずれ私が設計した住宅を息子が作るという日が来るのだろうか。その日を楽しみに待つ…。

 


 
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神明の二世帯住宅現場日記 160816

2016-08-19 08:26:30 | 今日の現場
 地鎮祭を6月に行ってから、着工までに2ヶ月空いた神明の二世帯住宅。

 申請していた補助金の合否が決定しないと着工できない、というお達しがあった為着工が遅れていた。補助金の結果はというと、応募多数で抽選となり本計画には配分ならずという残念な結果に。

 補助金申請許可の決定遅延における着工遅延については、クライアントの許可を頂きお盆前にようやく着工と相成った次第。

 そしてお盆明けに、丁張チェックと杭芯チェックの為現場に足を運んだ。

 

 建物位置を確認していると…何か図面と違うことに気付く。敷地境界からの離れがどうも違うのだ。

 今回の計画は、1階の外壁面より2階の外壁面が全面道路側に跳ね出した位置関係にある。

 その為、建物位置と杭芯を出す作業を行った現場員が、2階の建物位置を1階の建物位置と勘違いして位置出しをしてしまったようだ。

 現場担当者と打合せをし、建物位置・杭芯の訂正を指示。

 人間のやること、やはり間違い、勘違いはある。やはり第3者のチェックが必要だということがわかる。

 2ヶ月空いたこの現場も、ようやくスタートラインに立った。

 
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丸子の平屋現場日記 160727

2016-08-09 08:21:01 | 今日の現場
 7月27日(水)丸子の平屋の上棟式を無事執り行いました。

 この日は朝からどんよりした空模様。天気予報では午後から雨になるとの予報。

 午後3時から屋根の上で式の準備に入った大工さんたち。ポツッポツッと空から落ちてきた…。

 

 しかしその時の一瞬だけで、それ以降は雨には降られなかった。天気もクライアントの晴れ女ぶりには勝てなかったようだ。

 親戚、近所の方が集まって餅撒きが始まる。この辺の風習で、餅と5円玉の他に50円玉も投げられた。

 式が終わると直会。この仕事をして20数年になるが、上棟式後に直会を行うのは片手で数えられるほどで最近はめっきり少なくなった。

 今回はクライアントのお父さんが元々大工ということもあり、工事関係者、親戚を呼んでの直会開催。

 

 ここ数年は、中々おめでたい事で親戚が集まることがなくなった。だから今回の直会では親戚の方々の笑顔が見れてさぞかし嬉しかった様子。

 数ヵ月後の完成時にも今回のような笑顔を見ることができるるだろう。クライアントのお父さんも満願の思いで、その笑顔に接することができそうだ。

 
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