一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

若手時代の永世称号棋士が名人に勝つまで

2018-01-23 01:04:35 | データ
昨日の記事ではサラッと流したが、藤井聡太四段が公式戦初対局からわずか1年1ヶ月(69局目)で時の名人・佐藤天彦と当たり、しかも勝ったのは大殊勲だった。
そこで私は、歴代のおもな永世称号取得者が、「タイトル保持者」「名人」と初めて対戦したのは何局目だったか、そして勝利したのは何局目だったか、それぞれ調べてみた。

【中原誠十六世名人】
中原四段・1局目 1965年9月25日 ●米長邦雄五段 第14回王座戦一次予選1回戦
中原四段・33局目 1966年11月14日 ○二上達也棋聖 第8期王位戦予選2回戦
中原五段・83局目 1967年11月21日 ○大山康晴名人 第11期棋聖戦決勝トーナメント準決勝

【米長邦雄永世棋聖】
米長四段・1局目 1963年4月9日 ●佐瀬勇次七段 第13期王将戦一次予選1回戦
米長六段・148局目 1968年8月29日 ●中原誠棋聖 第23期順位戦B級2組
米長七段・171局目 1969年4月3日 ●大山康晴名人 第17回王座戦本戦トーナメント1回戦
米長七段・172局目 1969年4月15日 ○加藤一二三十段 第2回日本将棋連盟杯争奪戦本戦トーナメント2回戦
米長七段・226局目 1970年9月3日・4日 ○大山康晴名人 第11期王位戦七番勝負第4局

【谷川浩司九段(十七世名人)】
谷川四段・1局目 1977年2月5日 ●加藤一二三九段 早指し将棋選手権戦お好み対局
谷川六段・83局目 1979年5月15日 ●加藤一二三王将 第34期棋聖戦決勝トーナメント準決勝
谷川六段・130局目 1980年4月4日 ●中原誠名人 第21期王位戦挑戦者決定リーグ紅組
谷川七段・189局目 1981年6月5日 ○中原誠名人 第20期十段戦リーグ

【羽生善治竜王(十九世名人)】
羽生四段・1局目 1986年1月31日 ○宮田利男六段 第36期王将戦一次予選1回戦
羽生四段・27局目 1986年8月29日 ○中村修王将 第17期新人王戦本戦トーナメント2回戦 
羽生四段・101局目 1987年10月28日 ●中原誠名人 第13期棋王戦挑戦者決定トーナメント4回戦
羽生四段・104局目 1987年11月20日 ○中原誠名人 第3回天王戦本戦トーナメント準決勝

【森内俊之九段(十八世名人)】
森内四段・1局目 1987年5月27日 ○森下卓五段 第18回新人王戦3回戦
森内四段・17局目 1987年11月9日 ●中原誠名人 第18回新人王戦記念対局
森内四段・79局目 1988年12月19日 ○森けい二王位 第7回全日本プロトーナメント5回戦
森内四段・85局目 1989年2月10日 ○谷川浩司名人 第7回全日本プロトーナメント決勝三番勝負第1局

【佐藤康光九段(永世棋聖)】
佐藤四段・1局目 1987年5月26日 □木村嘉孝五段 第21回早指し将棋選手権戦予選1回戦
佐藤四段・11局目 1987年9月5日 ●中原誠名人 第21回早指し将棋選手権戦本戦トーナメント2回戦
佐藤四段・28局目 1987年12月18日 ○中原誠名人 第29期王位戦予選3回戦

【渡辺明棋王(永世竜王)】
渡辺四段・1局目 2000年4月17日 ○佐藤紳哉四段 第72期棋聖戦一次予選1回戦
渡辺四段・83局目 2002年5月29日 ●佐藤康光王将 第50期王座戦挑戦者決定トーナメント2回戦
渡辺五段・125局目 2003年4月4日 ●森内俊之名人 第44期王位戦挑戦者決定リーグ紅組
渡辺五段・149局目 2003年9月12日 ○羽生善治名人 第51期王座戦五番勝負第2局

中原十六世名人のデビュー戦は、終生のライバル・米長五段と。
記念すべき大山名人との初対局(初勝利)は3年目で、第11期棋聖戦本戦。大山名人はこの敗戦でタイトル戦連続出場が10年、50期で途絶え、後にとても残念がった。
米長永世棋聖のデビュー戦は師匠の佐瀬七段で、負かされた。このあと4局を立て続けに負け、5連敗。まったくの期待外れで、この新鋭棋士が後に名人を獲る大棋士になろうとは、この時点では本人と師匠以外、誰も予想していなかった。
タイトル戦には棋士8年目で初登場。ここで大山名人に勝ち、通算226局目で初勝利となった。
谷川九段のデビュー戦は加藤一二三九段とのお好み対局。これは「中学生棋士」ということで、加藤九段に白羽の矢が立ったものだろう。
森内九段はデビュー直後に新人王戦で優勝し、公式戦17局目にして、早くも名人と記念対局を行った(当時は公式戦扱い)。
森内九段は翌年、全日プロでタイトル保持者に勝ち、竜王に勝ち(島朗竜王・1989年1月24日)、決勝三番勝負では谷川名人に2勝1敗で勝って優勝した。この時升田幸三実力制第四代名人が「名人が四段に負けちゃいかん」とつぶやいたとされる。
佐藤九段はデビュー戦がまさかの不戦勝。
名人とは、公式戦11局目で、もう対戦した。その将棋は敗れたものの、3ヶ月後に再戦し、今度は勝利。28局目のスピード記録となった。
渡辺棋王はデビュー4年目で名人と初対戦。ここでは負けたが、羽生名人時代の羽生王座に五番勝負を挑み、ここで初勝利を挙げた。「名人戦以外のタイトル戦で名人に初勝利」という、米長永世棋聖と同じパターンだった。
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