昨日は第2期叡王戦決勝三番勝負があった。対局者は佐藤天彦九段(名人。なぜ叡王戦は、タイトル保持者も段位表記なのだろう)と千田翔太五段。佐藤九段先勝を受けての第2局である。
叡王戦はその優勝者がコンピューターNo.1ソフトと電王戦二番勝負を行うので、それがあるから叡王戦は電王戦の前哨戦に見える。が日本将棋連盟のサイトには、叡王戦が七大タイトルの次に位置している。つまりれっきとした公式棋戦なのである。
叡王戦のもうひとつの特色はエントリー制だ。出場したくない棋士は拒否できる。
しかし将棋を指すことが棋士の本分だから、エントリー制などあってなきがごとし、当然全員が参戦すると私は思っていた。
ところがフタを開けてみると、第1期、2期とも不参加棋士が現れて、私は呆れた。
どんなに多忙でも、公式戦が用意されればそれを消化するのが棋士。日程をやりくりしてスケジュールを開けるのが本筋だと思ったのだが、どうだろう。
さて本三番勝負だが、これはどちらが優勝してもおもしろい。すなわち佐藤九段なら、名人対ソフトという夢の対決が実現する。また千田五段はソフトに心酔しており、「もし優勝したら、事前貸し出しのソフトと対決できるのが楽しみ」と抱負を述べていた。彼の対ソフト戦も見てみたい。
ただ、千田五段のソフトへののめりこみは尋常でなく、私には理解できないところもある。強い将棋ソフトと指したかったら、個人的に入手を図ればいいだけの話だからだ。
というわけで、三番勝負に関しては、私は佐藤九段を応援していた。
昨日は対局があったのを失念しており、最初に盤面を確認したのは夜であった。千田五段△6六角成までの局面で、正しく勝てば佐藤九段が勝つと思われた。
しばらくして盤面を見ると、すでに将棋は終わっていた。やはり佐藤九段が勝っていた。
早速再生したが、驚いたのは45手目だ。佐藤九段が8筋を明け渡し、▲6六角と上がったのだ。

ここ、私ならとりあえず▲8七歩と受けておく。逆に△8六歩と打たれたらつらいからで、少なくとも▲6六角は、私なら永久に思いつかない。
ところがこの角、解説の屋敷伸之九段も予想していたから二度驚いた。
プロは▲8七歩などという軟弱な手は眼中にないのである。
千田五段は△8六歩。まあそうだろう。そこでも私はまだ、うっかりしたと、▲7八玉と上がるだろう。
しかるに佐藤九段は▲4四銀!!
もう頭がクラクラした。
△4四同銀▲同角△3三銀▲6六角△8七歩成ぐらいで先手敗勢ではないか?
まあこれは▲9六銀があるが、いずれにしても8筋にこんな傷があっては、先手は強い戦いができない。少なくとも私ならそう考える。それを▲4四銀とは…。
結局、私と棋士とでは、大駒1枚も2枚も実力が違うということだ。とにかくこの数手の折衝は、本当に驚いた。
以下は佐藤九段が優位を保ち、逃げ切った。
ちなみに89手目の▲4五桂ハネもとっさには理解不能で、名人の強さばかりが際立った。
あらためて、佐藤九段がこんな奔放な将棋を指すとは思わなかった。これじゃ山崎隆之八段顔負けである。
電王戦二番勝負は、来春行われる。私は、すでにコンピューターソフトの実力が棋士のそれを上回っていると見ているが、佐藤九段のギリギリまで研ぎ澄まされた指し手を見ていると、ソフトに対しても互角の戦いをするように思える。電王戦が楽しみになった。
叡王戦はその優勝者がコンピューターNo.1ソフトと電王戦二番勝負を行うので、それがあるから叡王戦は電王戦の前哨戦に見える。が日本将棋連盟のサイトには、叡王戦が七大タイトルの次に位置している。つまりれっきとした公式棋戦なのである。
叡王戦のもうひとつの特色はエントリー制だ。出場したくない棋士は拒否できる。
しかし将棋を指すことが棋士の本分だから、エントリー制などあってなきがごとし、当然全員が参戦すると私は思っていた。
ところがフタを開けてみると、第1期、2期とも不参加棋士が現れて、私は呆れた。
どんなに多忙でも、公式戦が用意されればそれを消化するのが棋士。日程をやりくりしてスケジュールを開けるのが本筋だと思ったのだが、どうだろう。
さて本三番勝負だが、これはどちらが優勝してもおもしろい。すなわち佐藤九段なら、名人対ソフトという夢の対決が実現する。また千田五段はソフトに心酔しており、「もし優勝したら、事前貸し出しのソフトと対決できるのが楽しみ」と抱負を述べていた。彼の対ソフト戦も見てみたい。
ただ、千田五段のソフトへののめりこみは尋常でなく、私には理解できないところもある。強い将棋ソフトと指したかったら、個人的に入手を図ればいいだけの話だからだ。
というわけで、三番勝負に関しては、私は佐藤九段を応援していた。
昨日は対局があったのを失念しており、最初に盤面を確認したのは夜であった。千田五段△6六角成までの局面で、正しく勝てば佐藤九段が勝つと思われた。
しばらくして盤面を見ると、すでに将棋は終わっていた。やはり佐藤九段が勝っていた。
早速再生したが、驚いたのは45手目だ。佐藤九段が8筋を明け渡し、▲6六角と上がったのだ。

ここ、私ならとりあえず▲8七歩と受けておく。逆に△8六歩と打たれたらつらいからで、少なくとも▲6六角は、私なら永久に思いつかない。
ところがこの角、解説の屋敷伸之九段も予想していたから二度驚いた。
プロは▲8七歩などという軟弱な手は眼中にないのである。
千田五段は△8六歩。まあそうだろう。そこでも私はまだ、うっかりしたと、▲7八玉と上がるだろう。
しかるに佐藤九段は▲4四銀!!
もう頭がクラクラした。
△4四同銀▲同角△3三銀▲6六角△8七歩成ぐらいで先手敗勢ではないか?
まあこれは▲9六銀があるが、いずれにしても8筋にこんな傷があっては、先手は強い戦いができない。少なくとも私ならそう考える。それを▲4四銀とは…。
結局、私と棋士とでは、大駒1枚も2枚も実力が違うということだ。とにかくこの数手の折衝は、本当に驚いた。
以下は佐藤九段が優位を保ち、逃げ切った。
ちなみに89手目の▲4五桂ハネもとっさには理解不能で、名人の強さばかりが際立った。
あらためて、佐藤九段がこんな奔放な将棋を指すとは思わなかった。これじゃ山崎隆之八段顔負けである。
電王戦二番勝負は、来春行われる。私は、すでにコンピューターソフトの実力が棋士のそれを上回っていると見ているが、佐藤九段のギリギリまで研ぎ澄まされた指し手を見ていると、ソフトに対しても互角の戦いをするように思える。電王戦が楽しみになった。