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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

マイナビ女子オープン・里見女流五冠VS室谷女流二段

2016-12-23 11:52:52 | 女流棋戦
22日は竜王戦七番勝負第7局2日目だったが、ウラではマイナビ女子オープン本戦2回戦・里見香奈女流五冠VS室谷由紀女流二段の対局があった。これ、奨励会三段+女流五冠と女流二段の対戦で、ふつうに考えれば里見女流五冠が勝つ。しかし室谷女流二段は前期の挑戦者だし、先の倉敷藤花戦三番勝負でも二人は対戦したが、室谷女流二段は善戦した。彼女にも十分勝機はあると思った。
将棋は先番室谷女流二段の三間飛車に、里見女流五冠の居飛車となった。
両刀使いの里見女流五冠ではあるが、表芸は振り飛車だろう。その里見女流五冠が居飛車を選んだということは、まだ室谷女流二段を本当の敵とみなしていないのかもしれない。
里見女流五冠は△6三銀から舟囲いに組む。時代が40年前に戻ったようだ。
室谷女流二段は▲7六銀形を採る。いまではまったく見られなくなったが、大山康晴十五世名人が用いた形だ。ここでも室谷女流二段が大山将棋を勉強しているのが分かる。
ただし作戦の成否は別で、かつて植山悦行七段は「この形は▲7六銀が取り残されやすいから得策ではない」と語っていた。
室谷女流二段は数手後に▲6七銀と戻ったが、これはいい判断だ。それにしてもこの対抗形、ちょっと大山VS中原誠戦を思わせる。それも道理で、里見女流五冠だって2人の将棋を何度も並べている。両永世名人の将棋が現代にも脈々と息づいているわけだ。
里見女流五冠△1五歩。この手も中原十六世名人を思わせる。室谷女流二段も手に乗って、1筋にと金を作った。この辺りは大山十五世名人の指し手のようだ。まったくこの将棋、両名人に名前を入れ替えても私たちには見分けがつかない。
76手目△1四香に▲2一とが強手。▲6六の銀取りだったから、私だったらノータイムで▲5六金と銀を助ける。もちろん室谷女流二段だって読みに入れていただろうが、終盤は駒の損得より速度、一手でも早く敵玉に迫らないと勝負にならないと見たのだろう。
87手目▲5九香が疑問手とされた。というのも、次の△5四飛(図)が豪快な決め手となったからだ。

▲5四同香は△5七金まで。これがあるから▲5九香では▲5八飛がよかったとされるが、これは飛車が戦場に顔を覗く感じで、ちょっと指しにくい。それより5筋に香を加えて利きを増やそうと考えるのが自然である。とはいえ室谷女流二段、また急所の局面で読みを欠いてしまった。
以下は里見女流五冠の鮮やかな寄せを見るばかりとなった。
110手までで室谷女流二段投了。室谷女流二段は残念だったが、由紀ファンからすれば、次期の一斉予選対局で、また彼女の艶姿が拝めるということだ。
室谷女流二段は先日の女流名人戦の自戦記で、タイトルホルダーと互角に戦えるにはここ数年が勝負、みたいなことを書いていた。「ここ数年」と限定するあたりが少し弱気で、40になっても50になっても、タイトルを狙えばよい。まあ20代のここ数年が、猛烈に将棋に打ち込める時期ということだろう。ともあれ今後の将棋に期待したい。
さて、里見女流五冠は史上初の女流六冠まであと5勝。中・終盤に死角なく、向かうところ敵がいない。いやひとりだけいる。西山朋佳奨励会三段だ。その彼女は反対の山から上位進出を狙っている。この2人が挑戦者決定戦で顔を合わせ、タイトルを奪取する。その可能性は限りなく高い。
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