「老いの不安」にあっても、なお投票用紙の人名は

2014-12-09 15:55:55 | 日記

 

    「老いの不安」にあっても、なお投票用紙の人名は

 

  低投票率、そして自民党の議席増ということが報じられている中で私なりの運動を展開している。その一つが昨日の「戦争に加担した軍国少国民」のブログであり、そして今回、もう一つの報告をしたいと思う。

  私の地域は、どちらかと言えば古くから住んでいる層と、新しく住み着いた層と半々の住民が暮らす町内である。よって市内の中では高齢者の世帯も多い地域の一つに当てはまる。今回もそうだが、町内を歩いて目立つのが「売り家」の看板である。確か、この家には老夫婦が住んでいたはずだ。または一人暮らしで手押し車を引いて買い物に出かけていた方の家であったなどの記憶が浮かんでくる。

  そなん事を考えて立っていた時、丁度、隣の方が買い物から戻ってきた。そこで声を掛けた。「今日は。確かこの家にはお年寄りがおりましたね」と。すると「去年旦那さんが亡くなり、奥さんが娘さんのところに行った」という返事が返ってきた。「娘さんのもとに行かれたのですか。良かったですよね」の私の言葉に「私などは行くところがない。年寄りは早く死ねということなんだ」と。どこに行っても聞かれる言葉が返ってきた。

  「ところで選挙なんだけど」の私の問い、「行って投票してきたよ」と答えたその方の言葉の裏に、具体的な人名は出なかったが「与党の地元出身候補者」に入れたことが、ありありであった。

  今や、高齢者の「独居暮らし」、あるいは「老々介護」の実態が増大している。その中で介護や医療のサービスはますます削られていく。「老いてさまよう・″鳥かごの家から‶・住人たちの年始の居場所はここだけ」。収入が低く、蓄えも乏しいため有料の老人施設などに入れない人たちの居場所を「鳥かご」と表現した『毎日新聞』 2013年01月24日の記事が、当時社会的反響を呼んだことを記憶している。

  「株が上がった。大企業は利益を上げている。そのしずくは、やがて皆のところに滴り落ちる。それまでには多少の時間がかかるが、必ず全国津々浦々まで」と強弁する安倍首相。

  そして隣の「売り家」の看板を横目に「年寄りは早く死ねというのか」とつぶやく老婆の投票用紙には「与党の候補」。

  ここに今般の解散・総選挙の実像のあることをあらためて考えさせられた。

  そして「いつまで貴方たちは馬鹿にされているのか」と政治意識の低さをなじる前に、この方々に対し、丁寧な言葉を用意できない「反自民」の運動の脆弱さを認識したことも事実である。ではどのような言葉を、どのようにして語り伝えるか、広めるかを、「売り家」の看板を前にして反省も含めて、深く考えさせられた一日であった。

 

 


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