横断歩道を渡り切れなかった高齢者の実態・「長生きするなと」と言うことですかね

2014-10-12 20:48:45 | 日記

     横断歩道を渡り切れなかった高齢者の実態・「長生きするなと」と言うことですかね

  片側二車線の四車線道路の横断歩道である。信号が青に切り替わると同時に渡りはじめた一人の高齢者。リックを背負い、杖をついていた。あと二メートルというところで信号が変わった。青信号の時間内で渡り切れなかったのである。歩道側車線に止まっていた車の運転手は、その老人の渡り終えるのを待っていたが、隣の車線の車は発進していった。

  「信号機の時間間隔」のことを、専門用語では「現示(げんじ)」と表現する。信号機は警察が管理しており、現地の信号機、または警察署の集中管理センターで「現示」の調整を行うとなっている。具体的には、交通量の多い道路では交通量をさばく必要があるため、青の現示は長くなるように調整されている。信号待ちによる渋滞を緩和させるためである。つまり、道路交通の管理は「車社会を優先」する内容になっているということであろう。

  そこで、歩行者の安全を確保するためには「現示」を長くすれば良いのだが、それによって渋滞が生じる可能性も出てくるため、警察では様々な、シュミレーションを行って一番よい時間間隔で調整を行っていると説明をしている。

  以上が、「信号機の時間間隔」の解説である。

  さて、よく見られる光景であり、私もその一人に加えられるのだが、横断歩道の信号が「青の点滅」をしているときに小走りで、無理に渡りきろうとする。しかし、渡り切れない場合が多い。停止している運転手からクラクションを鳴らされることがある。それは、一般的に赤信号で待たされる時間が比較的長いこともあって「無理をして渡ろう」とする現実もそこにある。

  あらためて交通教則本なるものを開いて見た。信号の青点滅は「歩行者および自転車利用者は横断を始めてはならず、横断中の場合は速やかに横断を終わるか、横断をやめて引き返さなければならない」と書いてある。

  そこで前段に戻る。渡り切れなかった杖をついていた高齢者は、信号を忠実に守り横断を開始したにもかかわらず2メートル手前で「車道信号が青」になってしまった。

  日頃、お喋りである私は声を掛けてしまった。「高齢社会なのだから、青の信号時間を長くして欲しいですね」と。それに対し帰ってきたのが次の言葉であった。「そうなればありがたいがそれでは車が渋滞する。結局は『年寄りは外に出るな、長生きするな』と言うことなのでしょうね。杖は突きたくないのですが、患ってから足腰が弱くなりましてね」と述べながら、心配かけてすみませんでしたと頭を下げて歩み去った。

  私は、そのお年寄りの後ろ姿に自分のこれからの姿を重ね合わせていた。年齢からすれば、敗戦後を生き抜き、そして家庭をつくり、日本の経済の立て直しに努めた一人であろう。その先輩が「長生きをするなということですかね」と述べた言葉に、昨今の介護・医療の制度改定にも見られる「老人切り捨て」の政治にあらためて怒りを覚えるのであった。

  横断歩道の「現示」一つをとっても、「高齢者にやさしい政治」をと述べるのは私だけであろうか。今福島県知事選がある。来年は統一地方選挙もある。国民の政治参加である投票率は、60代から70代のそれは極めて高い。ならばこれからの政治のあり方は、高齢者の意志によって決められると言っても過言ではない。「抵抗する高齢者の一人」でありたいと思うがいかがであろうか。




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