介護に疲れた高齢者・加害者もまた被害者・まだまだつづく受難の日

2014-05-30 16:18:34 | 日記

   介護に疲れた高齢者・加害者もまた被害者・まだまだつづく受難の日

 

「福岡県の88歳の夫が、79歳の妻の首をしめて殺す」。そのニュースを見て、またも切ない事件と受け止めたのは私だけではないだろう。あえて、詳細を知る必要はないと思いつつも、「その配偶者は2年前に足を骨折、施設に入所。夫はしばしば施設を訪れては手を添えて歩いていたという。周囲は仲の良い夫婦だこと」とうらやみ、「金銭よりは、離れて暮らすのが寂しかったのであろう」と退所の理由を述べている。

20日の東京新聞によれば、過去10年間に、高齢者が家族や親族による殺人や介護放置、心中などで死に至った件数は400件ありと報じている。さらに、事件は増加傾向にあり。2000年に32件であったのが、2006年以降は年間50件以上も発生しているという。そして加害者の75%近くが、被害者の夫や息子などの男性。一方、被害者の70%が女性となっている。

死に至らしめた400件のうち、殺人が59%、心中が24%、傷害致死11%、介護放置4%と報告されている。

2025年には、戦後のベビーブームにあやかった方が一斉に75歳を迎える。これが2025年問題と言われているものであるが、70歳から75歳の高齢者世帯が、あるいは独居世帯がピークに達するだろう。

周囲の皆さんからは「いつまでも若くていいね」と声をかけられるのは60代まで。残念ながら70に突入したとたんに体調を壊し、あれやこれやの病名がつくことになるのも一つの流れである。

次のような知人(男性)の報告がある。父は亡くなり母が90歳。施設介護までの状態ではないが一人にしてはおけないし、重度からして待機の状態が続く。長男は遠方居住。結局、母は同じ市内の妹宅に。知人は、日中週4日間妹宅へ行く。すべてに気を遣う。よく「老人虐待」などの話を聞く。そしてその言葉が自分に向けられているような気持ちなると述べていた。

自分を生み、育ててくれた母親である。憎いはずはない。だが妹の家族や、妻への気遣い。そして遠く離れたままの兄への不満の中で、「手を上げないまでも、はげしく罵る、邪険に扱う自分の精神状態」に気づくことがあるという。

また、高齢化が進む中での世帯状況がある。これもブログで報告しているが、2012年の調査(65歳以上・厚労省)によると、単身が23.3%・夫婦のみが30.3%・親と未婚者が19.6%となっている。前記二つのケースもさることながら、未婚者が親と同居している19.6%はある意味で重たいものを感じる。未婚の是非を述べるものではないが、親と同居が仮に親の収入を見込んだものとなれば事は深刻である。年収200万円以下の低賃金、あるいは不安定な非正規、パート。そして無年金(雇用主が年金に加入していない)の職場などなど。あるいは無職。このような実態が19.6%に内在しているとすれば大変である。今後、拡大の危険性さえある。そして、そこにあってはならないことを想起させる。

これもまた、2025年問題の一つになるだろう。高齢者にとってまだまだ受難の日々は続く。

 


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