「無期雇用の道」を閉ざす違法な行為・車大手企業の企み、それは無いだろう

2017-11-21 16:20:47 | 日記

 

   「無期雇用の道」を閉ざす違法な行為・車大手企業の企み、それは無いだろう

 広告会社「電通」における超過勤務と、それに対する労働組合のあり方については以前にも述べてきた。それは社会的責任を果たさない企業の側がその責任は問われながらも、労基法における36協定(時間外・休日労働協定)の締結者である労働者代表「労働組合」の責任が問われないことはおかしいと指摘をしてきた。そして残念であるが、再び同種の問題を取り上げたいと思う。

 「車大手、期間従業員の無期雇用を回避 法改正、骨抜きに」という見出しで報じられた自動車産業の背信行為である。(毎日新聞11月4日)

 しかも、この問題が今国会の代表質問の中で立憲民主党の枝野代表も取り上げている。これに対し安倍首相は所管大臣に調査を依頼したと答えている。(国会生中継インターネット11月20日)

 今から9年前、東京・秋葉原の路上で17人を殺傷した事件があった。容疑者(25歳)は県内有数の進学校に通ったが大学受験に失敗。短期大学を卒業後、派遣社員となるが職場を転々とした。携帯サイトの掲示板には「高校を出てから8年、負けっ放しの人生」と書き込んでいた。そして「人生に疲れた」ことが犯行の決意につながったと供述している。時を同じくして、年々各企業が採用を増加していく非正規雇用者の境遇への懸念が広がり、非正規労働者の置かれた絶望的な状況と絡み合い、政治の場でも論議された事件である。

 また1999年以降、数次にわたり派遣規制の緩和が強行されていった。厚生労働省の統計でも1998年に90万人だった非正規雇用者は2005年には250万人にまで膨れ上がった。そして2008年のリーマン・ショックは、この大量の非正規労働者の「雇い止め」(契約破棄)が発生し社会問題化していった。これら忌まわしい事件が、2013年に施行された改正労働契約法に結び付いたことを忘れてはならない。 

 この法律は「労働契約法の5年ルール」と呼ばれ、期間従業員ら非正社労働者が、同じ会社で通算5年を超えて働いた場合に、本人の希望によって無期雇用に転換できるものである。つまり長く働く労働者の無期雇用を会社に促し、契約期間が終われば雇い止めされる可能性のある不安定な非正規労働者を救済することが目的であった。このことは前記の安倍首相の回答でも認めていることである。そして改正労働契約法で定められた無期への転換が来年4月から本格化される。通算5年を超えて働いてきた労働者が「5年ルール」によって申し込めば会社は拒めない時期にあたる。しかし、今般の報道機関の取材活動から、トヨタやホンダなどの大手自動車メーカーが期間従業員の無期転換がはかられる前に、無期雇用を促す法改正を「骨抜き」にする雇用ルールを新たに定められていたことが明らかになった。

 その企みとは、契約開始から再雇用までの5年間の間に「雇止めの期間」が6カ月以上あれば、それまでの契約期間は初期にふり戻り通算されないことになる。何のことはない。本人が無期契約を望んでもその適用は受けないことになる。

 トヨタと言えば、超一流の大企業である。そして賃上げの時期になれば新聞紙上を賑わすほどの優良企業であり、安倍首相も常に取り上げる産業である。

 「無期雇用の道」を閉ざす違法な行為・車大手企業の企み、それは無いだろうと言いたい。

 そして当該労働組合にも期待をしたい。同じ職場で、しかも自動車の生産に共同、協力をしている仲間ではないか。見捨てないで欲しいと。


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