
《内容》
結婚が決まった寛を祝おうと、高校時代の部活仲間が集まり、山でバーベキュー・パーティーが開かれた。子どもたちのジュースが川に流されてしまい、寛とかつての彼女が彼らの代わりに探しに行くが、道に迷ってしまう。夫を亡くした彼女と話しているうちに、二人は自然と昔に戻っていく…(「お別れの、そのあとで」)。「幸せ」をつかんだはずの男女が予期しない別れを経て、また新たな一歩を踏み出すまでの姿を、丁寧な筆致で描く。表題作ほか、6編を収録。 (紹介文より)
―――他人にどう思われようと、陰口を叩かれようと、自分に一番大事なものは追いかけるべきだ。見落としがちだからこそ、せめてそれに気がついたときはしがみついても守るべきだ、と言ってやりたかった。
―――どんな些細なずれでも怒りのはけ口となってしまう。信頼しているからこそ胸の膿を出しているはずなのに、互いにその毒にやられて疲れてしまう