《内容》
自分が“普通”で退屈なことを嘆く中学2年の逸夫と、両親が離婚し級友からいじめを受け“普通”を欲する敦子。あるきっかけで言葉を交わすようになったふたりだが、敦子には秘めた決意があって… (紹介文より)
―――あの頃の日々に戻りたかった。もしそれができるのならなんでもすると思った。しかしもう自分がもとの場所に戻れないことを知っていた。冷たく骨張ったにぎり拳のような感情が、胸の底に力んで震えていた。
―――何かが解決するのと、何かをすっかり忘れてしまうのと、どう違うのだろう
―――忘れることと、忘れずに乗り越えることの違いはどこにあるのだろう