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細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

いつかX橋で

2008-12-28 23:35:29 | 読書メモ か行
いつかX橋で    著者 熊谷達也

《内容》
土屋祐輔は、貧しいながらも大学進学を夢見て勉強に励む学生だった。しかし、空襲で一夜にして母と妹、父が残した家を失ってしまう。仙台駅北のX橋付近で靴磨きを始めた祐輔は、特攻隊の生き残り「特攻くずれ」の彰太と出会う。戦争がなければ出会うはずのなかった二人は、しかし互いにとってかけがえのない存在となっていく。パンパン・ガール、GI、愚連隊、人々で賑わう闇市―終戦直後の仙台で、絶望から必死で這い上がろうとした少年たち力強さを謳う青春長篇。
            (紹介文より)


―――遺体のそばからすすり泣きは聞こえるものの、遺族の誰もが嗚咽を押し殺し、真綿を呑み込んだみたいに慟哭を抑えつけている。


―――ふたりの面影に少しづつ霞がかかっていくことを申し訳ないと思う反面、さっきのように、徳さんと他愛もない会話をして笑えるようになったことが、ありがたくもある。
ともあれ、人の心はそんなふうに、辛い記憶を時間とともに和らげるようにできているのかもしれない。でないと、毎日を生きていくことが難しい。

花よりも小さく

2008-12-28 21:42:53 | 読書メモ は行
花よりも小さく   著者 星野富弘

《内容》
描いた花はみんな好きになってしまいます。
どんなに小さな花でも、描いているうちに
自然と奥深い美しさに引き込まれます。
寒い冬には、暖かい色の花、暑い夏には、涼しい色の花。
人間のために咲くのではないでしょうが、
実にさまざまな花が
心の襞に潤いをあたえてくれます。 
      (紹介文より)



つらいことがあって ●クサボケ

 少し つらいことが あって     

 帰り道

 枯草の中に        

 花を       

 見つけた


恋愛嫌い 

2008-12-28 21:41:34 | 読書メモ た行
恋愛嫌い   著者 平 安寿子

《内容》
諦めるのは何より上手。感情が足りないと言われる。いざとなると尻込みする…。恋が苦手な3人の女性たちを描いた、痛いほどリアルでじんわりと勇気をくれる連作短編集。
     (紹介文より)


―――昼下がりの陽差しが、男の子の頬の産毛を母親のまつげを、喜世美の爪先を同じように暖めている。その光に似たものを、喜世美は腹の底に感じた。まろやかな温もりを持つ小さな温泉が、こぽこぽ湧いているようだ。


―――ああこれだ。翔子はうんざりした。人にどう思われるか、常に気にしている。そして攻撃されたと感じたら、たちまち、ハリネズミみたいに全身トゲだらけになる。自分の話しかしない人間の特徴だ。