のたりずむ♪ぷれ ~門耳(カドミミ)~

門耳=聞。小耳に挟んだ歌舞伎関連情報や見たお芝居の感想メモです。

2007年8月:シラノ・ド・ベルジュラック

2007-09-02 23:27:38 | 書いたぞ: 感想書きました~
【9/3追記あり】
コメントをいただいたSwingingFujisanさんのブログ(SwingSwingSwing:http://hatsune-cho.cocolog-nifty.com/blog/)の感想を読ませていただいて
色々思い出したこと、忘れていたことがあったので、一部追記しました。

観劇日:2007/8/31(金) 19:00~21:45
会場:青山円形劇場
観劇位置:Dブロック通路際♪

■演目について
作:エドモン・ロスタン / 演出:栗田芳宏

■公演について
期間:2007/8/29(水)~9/9(日)
筋書き:1000
【9/3追記】
終演時間と休憩時間:
夜の部は19:00始まりで21:45でした。おなか空きます(^_^;)
あと、休憩は1回・15分だけ。
女性のトイレは数はありますが、早めに行っておいたほうが無難かと(^_^;)


■配役(公式HPより。細かい配役は、アタマが追いつきませんでした~)
恋と冒険に生きる道化師:シラノ右近さん
辛辣な舌で男を翻弄する美女:ロクサアヌ安寿ミラさん
嫌味で気障なド・ギッシュ伯爵から浮気女まで加納幸和さん
シラノの親友から侍女まで坂部文昭さん
酔っ払いの詩人から腕白坊主までたかお鷹さん
二枚目クリスチャンからミーハー娘まで桂憲一さん
寝取られ男から修道女まで猿弥さん



■のたりの眼
「シラノ・ド・ベルジュラック」は観るのは初めてです。
本を読んだこともありません。芥川龍之助の「鼻」は読んだことありますけど。

「鼻」が特徴の「シラノ」が「ロクサーヌ」って ねぇちゃんに惚れる話。
程度には知ってましたが、なんせ
 「『シラノ』ってシェイクスピア?」
と思ってた人ですから、私(^_^;)。

で、今回、初「シラノ」。観終わって思ったのは

…「シラノ」って、喜劇?悲劇??

えらく、かわいそうな話にも思えるけど、確かに笑える話でもあるし。
うーん??

まぁ、どちらかといえば、シラノって可哀相な人だなぁと思ったんですが、
それと同時に、「思ったように行かない人生を いかに生きるか。」
という問題の、ひとつの回答を見せてもらったような気にもなりました。

シラノの生き方・考え方は、傍から見れば悲しいし、損な部分も多いように
思えるのかもしれないけど、個人的には「これも、いい答えだな」 とも思いました。

チャンスがあれば、今度は違う位置からもう一度見てみたいもんです。

というわけで、以下、観てて思ったことをツラツラと。

※ネタバレになってるところあります!
まだご覧になっていない方はそのへん、ご了承の上、お読みくださいませ。


・江戸っ子だ!
右近さんだからなのかもしれませんが、シラノの心意気はまさしく江戸っ子
それがまた、とてもいい感じ♪
このお役、右近さん、とっても楽しんでいらっしゃるのかな?
特に最初の方から バンバンとばしている感じがしました。

しかし、金髪長髪の右近さんは、そうと知らなければ、また、お声を聞かなければ
だれだかわからないかも(ただでさえ、会場、薄暗いし^_^;)

・シラノさん
そういえば、シラノって実在の人物だったんですね。
wikiペディアに出てました。
フルネームは サヴィニヤン・ド・シラノ・ド・ベルジュラック
1619年生まれで1655年没だから享年36歳か。早死にだな~。
このお芝居にあるように、材木がアタマに当たって怪我したことが
あったようですが、死因はその頭の傷でなく梅毒だったとか…
ちなみに肩書きは 「剣豪、作家、哲学者、理学者」
文武両道だったんですねぇ。


・おふらんす時々江戸
シラノのみならず、他の方のセリフにも、時々、「ござる」とか「経帷子」とか、
なんか江戸が混ざるんですね(^_^;)

・女って強いなぁ
と、上演中になんど思ったことか(^_^;)。
強いというか、「たくましい」というほうがぴったりくるのかな?

・定式幕
会場の壁は定式幕で覆われています。
扉の部分はちゃんと切ってあるんですが…これ、今回のために作った定式幕なのかな?
ちなみに扉が閉じると(役者さんが出入りしない扉ですが)ちゃんとそこにも布がはってありました。

・猿弥さん
まさに大奮闘。しかし、あれは、多分、途中で声がエンスト起こされそうな…(^_^;)
しかし、修道女のところで、なにゆえあんなに共演者の方の笑いを誘ったのか…
まぁ、確かに他の方よりごっつい感じはありましたが。

・安寿ミラさん
あれ?と思ったのは、思ったより背が低く見えたから。
もっと背が高い方かと思ってました。
そう思ったのは女性の中にいたからだったのか、「元男役」というイメージからなのか…
今回、結構、間近で拝見することが出来ましたが、やはりキレイな方ですねぇ♪

・加納さん
初めてかな、加納さんの舞台。花組芝居の方というのは知ってましたが。
で、休憩時間まで、どれが加納さんやら全然、わかりませんでした
(事前に筋書きか配役を確認しておけばよかった^_^;)
うーん、予想してたより普通のお兄さんな感じ?
もっとアクの強い方かと思ってましたが。
あ、パンやのおかみさんが なかなかでした♪

・看板もち
してたのは、だれ??
【9/3追記】
休憩の時にはストライクに「休憩」の看板が笑えました♪


・7人
だけだったんですか、出演者。ホントに??
なんか もっといたような…

しかし、すみません、右近さん、安寿さん、猿弥さん以外の方は
ほとんど今回初めて見るかたばかりだったのと、会場がかなり薄暗かったことも
あって、ほとんど識別ついてませんでした。(^_^;)

・筋書き
配役と場割り、全部書いといて欲しかった~<(ーー;)


・観劇位置
多分、円形でなかったら、後ろになるほうかと。
最後、椅子に座ったシラノは後ろ姿ばかりでしたが、
それはそれで想像力がかきたてられて、楽しめました♪


・葉っぱ
お持ち帰りはダメなようですね(^_^;)
会場のお姉さんが注意してました。
しかし、何枚くらい落ちてきたんだろう。数えてみればよかった。

・ライト
光が効果的に使われてます。というか、影を効果的に使っている
というべきか。
1番、あぁ 上手いなぁ。と思ったのは、最後の場面で、
立ち上がってようやくこちらを向いてくれたシラノ。
顔が拝めるかと思いきや、顔は逆行なのか、影になってほとんど見えず、
手にした手紙だけが浮き上がるような照明の当て方でした。
(同じ時、舞台の端の方を歩いているロクサーヌには
ちゃんと照明当たってるんです。)

これがとても効果的に感じたのは、右近さんの声の力も大きいと
思いますが。
ただ、なんせ円形。最後の場面は、位置的にかなり照明がまぶしかったです(^_^;)

・スロープ
円形ですから、登場は観客席を抜けていく形になります。
四方の出入り口には、黒くて表面テカテカのスロープが。
表面には、かかとで、かな? こすったような線状の跡がついてました。
結構、急といえば、急かな~あのスロープ。

・死者の退場
どうやって 円形舞台の真ん中から死者が引っ込むんだろう?
暗転かな?それとも場面看板持った人の影にかくれて
一緒にひっこむのかな?と思ってたら、
場面看板持った人の後から、手を胸のあたりで組んで、
歩いてひっこんでいかれました。なるほどね~。

・ナマ演奏
バイオリンとアコーディオン。
お2人とも女性の奏者です。上手いですね~ おふたりとも。
お芝居の雰囲気造りへの貢献度はかなりのものかと。

しかし、仕方ないんでしょうが、時々、私の座席の真横のスロープで
演奏されるんですが、そうすると 舞台の方の役者さんのせりふが
ちょっと聞き取りにくかったり…(^_^;)

・栗田さん
が、いたのかな?客席の一番後ろに座って、帽子かぶってた方が、
筋書きに出てた栗田さんのお写真とよく似てたような。
お芝居終わると、すぐに退場されてましたし。
私、てっきり、舞台に参加されてるのかとおもってましたが、
筋書きとか見る限りでは、今回は、参加はされていないようですね。


以下最後まで【9/3追記】
・析
始まりは歌舞伎と同じ析。周りの定式幕と合わせて、「うーん?歌舞伎っぽい
演出の展開にしちゃうのかな?」とちょっと残念なような気持ちと、
面白そうな気持ちが半々になったんですが、最終的には、歌舞伎色は
あんまりなかった といえるのかな と思います。

・シラノがあの世に持っていくもの、それは?
最後に末期症状で死神?の幻覚が見えていると思われるシラノが
死神に向かって「貴様は俺から全てを奪っていく。しかし、どうやっても
奪えないものがひとつある。俺はそれを持ってあの世に行くんだ」
と、いうような内容のセリフを言います。
それに対してロクサーヌが「それは?」と問いかけ、
シラノは誰にともなく、その答えを「私の心意気だ!」と答えます。

このシラノの独白とロクサーヌの問いかけと
それに答えるシラノの最後のセリフの間が絶妙でした。
余談ですが、このとき、私も心の中でロクサーヌと同じように
「うん、何、持って行くの?」と 問いかけてしまいました(^_^;)

この「心意気」は「羽根飾」と書いて、「ココロイキ」と読ませるそうです。
そういえば、出演の皆さん、羽根飾り満載の帽子をかぶっていました。
(いや、それが関係あるかどうかはわかりませんが(^_^;)

「羽根飾」っていうと、なんとなく、自分を大きく見せようとする虚栄心の
象徴のようなイメージもあるんですが、シラノの心意気を虚栄心と言うのは
なんか違うような気がしますねぇ。
私は虚栄心はあんまり好きではないですが、シラノの心意気は結構好きです♪
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8 コメント

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Unknown (SwingingFujisan)
2007-09-03 21:57:01
私も昨日、行ってきましたよ~。私、シラノは好きなお話なので、とってもよかったです。装置も何もない舞台なのに、いろんなものが実際に見えるようでした。
死んだクリスチャンの引っ込み、面白かったですね。私はず~っと見入っていたので最初は全然考えなかったのですが、ふと「あれ、この人どうやって引っ込むんだろう」って気になりだしたら、ああなるほど、と。ほとんど違和感ありませんでした。
ちなみに私の席はAブロックでした。
返信する
おいでませ SwingingFujisanさん♪ (HineMosNotari)
2007-09-03 23:04:36
確かに、装置といえば、あの真ん中にお立ち台?があるだけの小さな円形の空間が、広場になったり、パン屋になったり、夜の庭になったり、戦場になったり、修道院になったり…観ている側にその有様を喚起させる演出と、役者さんの演技力のすごさですね。それを味あわせてもらったのは、全くもってうれしいことです。

クリスチャンのひっこみ、そうなんです。私も、シラノが行っちゃってから、「ありゃ?ありゃありゃありゃ?どうするんだクリスチャン~」と思ったんです(^_^;)。なんかこう、魂だけが遺体から立ち上がって死神について歩いて行ったみたいでしたね~。

お、SwingingFujisanさんはAブロックでしたか!とすると、最後の椅子にすわるシラノがわりとよく見えたのでは?
私もあちら側からも、もう一度見てみたいなぁと思うところですが・・・うーん、お金も時間もない~。(/_;)
テレビ中継してくれるといいんですが、あれじゃぁ、どこから撮影するか、撮る方も困りそうですね~(^_^;)。
返信する
Unknown (SwingingFujisan)
2007-09-04 00:57:19
リンク、ありがとうございます。後で思い出すって、けっこうありますよね。
ふふふ、最後の右近さん、たっぷり拝ませていただきました。でも、いかんせん舞台があまり明るくないから・・・
360度客席ですから、色々な角度から見てみたいですよね。私は猿弥さんの修道女が別の修道女の陰になって、あまりよく見えませんでした。だから客席が笑ったときは、猿弥さんの表情がわからず、とっても残念でした。
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レス遅くなってすみません! (HineMosNotari)
2007-09-07 23:44:27
SwingingFujisanさん レス遅くなりまして、すみませんm(__)m なんか8月からこっち、バタバタしております。

リンク了承ありがとうございます♪
>でも、いかんせん舞台があまり明るくないから・・・
そうですね~確かに薄暗かったです。
会場全体がセピア色っぽかったような感じのやわらかな
薄暗さでしたね。
オペラグラスを使うのもはばかられた小さい会場で、
視力のあまりよくない身には、細かいところが観づらいのが
ちょっと困りものでした。

猿弥さんは私の位置からも真横になってしまって、はっきりお顔が観れたのは、最後の方だけでした。
一体、どんな表情してたんでしょうね、猿弥さんてば(^_^;)
返信する
笑って、泣きました (ゆきの)
2007-09-16 22:53:12
今頃のコメントですみません!
東京千穐楽とその前日、見て来ました。
おもしろかったです~!役者のみなさんの楽しんでいらっしゃるオーラが、私にはもう心地よくて。
私は2回、ちょうど真逆の席で見たのですが、いろんな角度から見てみるのもおもしろかったです♪
今、翻訳された戯曲を読んでいますが、なるほど台詞に江戸っ子っぽい感じを多々感じます。「…栄えねえシャッ面にぁ…」とか…。「経帷子」もちゃんとそう訳されていました。翻訳された方のセンスなのでしょうね。翻訳の松岡さんが、これを名訳だとおっしゃっていたということですし…。戯曲を読んでいる私の頭の中では、右近シラノが大暴れ(^_^;)しております。
またTBさせてください!
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おいでませ ゆきのさん♪ (HineMosNotari)
2007-09-17 00:23:07
いいお芝居でしたね~「シラノ」。
新聞とかに批評がでないかな~と楽しみにしてたんですが、うちで取ってる新聞にはでなかったのが、残念というか、勿体ないです。

いろんな角度からみると、やはり面白いですよね。
あ~私も観たかったなぁ・・・

あと原作ですが、そうですか、ほんとに「経帷子」なんですか(^_^;)。うーん、もしかして、ずいぶん昔の訳なのかな~?
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「シラノ」の翻訳 (ゆきの)
2007-09-20 00:07:21
こんにちは。再びお邪魔いたします。
Wikipediaによる記事ですが、今回使われた、辰野隆 ・ 鈴木信太郎両氏の翻訳版は、1922年(!)に初版、ということです。上演記録を見ると、歌舞伎役者さんたちが何度か公演されていますね!しかも歌舞伎座とかで上演されていますね~!
でも、当時の訳が今でも活きているということは、確かに名訳なんですね。

ちなみに、上演記録の最後に、早くも今回の公演情報が掲載されていて嬉しくなりました~♪
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おいでませ ゆきのさん♪ (HineMosNotari)
2007-09-20 01:08:51
あー、やっぱり かなり昔の訳なんですね~。
1922年というと・・・大正11年ですか!
それがちゃんと今でも使われるんだからすごいもんですね。
でも、そいうえば、シェイクスピアもスタンダードと呼ばれる訳は、かなり古いものが多いですね。
翻訳表現力は昔の方がすぐれてたのかなぁ。

>しかも歌舞伎座とかで上演されていますね~!
歌舞伎座で上演されたのはどんな舞台だったんでしょうね。
西洋風だったのか、それとも和風アレンジされたものだったのか・・・
でも「シラノ」を演じたいと思う歌舞伎役者さんが多かったのは、なんとなくわかるような気もしますね~。(^_^;)

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