のたりずむ♪ぷれ ~門耳(カドミミ)~

門耳=聞。小耳に挟んだ歌舞伎関連情報や見たお芝居の感想メモです。

2006年6月:歌舞伎座昼の部3「藤戸」

2006-06-28 00:52:47 | 書いたぞ: 感想書きました~
■藤戸
◆作品について
吉右衛門さんが「松 貫四」で構成に名を連ねる 松羽目ものの舞踊劇です。
平成10年だから1998年に厳島神社で奉納公演したのが初演です。

元になっているのは能の「藤戸」。
そういや、同じく能からきた「土蜘蛛」なんかと雰囲気が似てますね。

で、この能の「藤戸」の基になっているのが「平家物語」の巻十「藤戸」
にあるエピソードだそうです。

このエピソードというのは
 児島に立てこもる平家の攻め手に当たってた佐々木盛綱が、
 たまたま地元の漁師から 馬でも島に渡れる浅瀬の位置を教えてもらい
 自分の戦功立てたさに、他の連中にそのおいしい情報が漏れないようにと
 その漁師を切り捨てちゃった。 というものです。
ひでぇなぁ<(ーー;)

◆あらすじもどき
前半は 
戦が終わった後、児島の領主となってやってきた盛綱が
はりきって「訴えたいことがあったら申し出よ」なんていったもんだから
その切捨てられちゃった漁師のおっかさんというのが恨み言を言いに
やってきた。
結局、その老母の暮らし向きが立つように計らう ということで
納得してもらった盛綱でした。
というもの。

間狂言では 地元の漁師と女の二人の踊り。
歌昇さんと中村福助さん というめずらしいカップルです。
歌昇さんのもつながーい棒を色々と使いながら踊っていきます。

後半は青隈バリバリの竜の化身が、姿を現しますが、刀ではなく
数珠を手にした祈りをする盛綱主従に圧倒され、成仏する
という展開になります。

◆配役
老母藤波 と 藤戸の悪龍 二役相勤めまするは 吉右衛門さん
老母が訴える先の佐々木盛綱は 梅玉 さん
盛綱の郎党4人
 長井景忠 松江さん
 和比八郎 亀鶴さん
 小林三郎 種太郎さん
 黒田源太 吉之助さん

間狂言に登場する浜の男:磯七 は歌昇さん
その相方の浜の女:おしほ は福助さん

◆のたりの眼
・吉右衛門さんのババ様というのは 多分はじめてみます。
意外と というか、結構 いい雰囲気がでているような気がします。
が・・・ゴメン吉右衛門さん。意識が戻ったら、もうババ様がずりずりと
お幕の向こうに引っ込むとこだった・・・<(ーー;)

・盛綱の梅玉さんは やはりこういう役がピタッとはまります。

・個人的に大注目はその郎党4人。
まだなんか玉太郎さんっていいたくなる 歌江さんを筆頭に
なかなかいい面構えの4人組。

種太郎さんも 以前はなんとなく衣装がぶかぶかな感じがありましたが、
今回は わりあいしっくりして見えます。

個人的にとてもくやしかったのが渡り台詞。
吉之助さんだけ、ないんですよ、単独台詞が!!
(いや、あったかもしれないんですが、少なくとも私の意識があるうち(^_^;)は
なかったんです)
くやし~っっっ(>_<) かっこいいのに~っ

でも、舞台写真はバッチリ2枚ありました!これはうれしい♪

・間狂言はバッチリ起きてました。歌昇さんでるし♪
相方が福助さんなんですが、「この組み合わせってめづらしいかも」
と思ったら、この演目、初演の時もこのお二人だったんですね。

・後半は吉右衛門さんが青隈バリバリの龍になります。
アタマにちゃんと龍の飾りがのっているのと、手にした錫杖?には
海草が絡みついてるのと、着物の柄が三角うろこなところが
「海の龍」を体現しているのかと。


・演出の面
まずめづらしかったのが松羽目モノなのに、お幕が上手と下手の両方に
ついていること

あと、最後に龍の幕外のひっこみがあるんですが、鳴り物さんを幕外に
ひっぱりだしたのは、初めて観たかな?
しかし、この幕外のひっこみ、「まだいるよ(^_^;)」ってほど
長かったです。

そしてひとつ疑問なのが、
「結局、この龍は揚幕に入ったのか、すっぽんに消えたのか」
ということ。

3階からだと よく見えなかったんですが、揚幕の鈴の音も聞こえなかった
みたいだし、なんといっても「お化け」の類ですから、
「やっぱりすっぽんかな?」と思うのですが。

あと、この最後のところ、拍手満開状態だったんで、吉右衛門さんは、
さぞや見ごたえのある引っ込みをされたんだと思うんですよね~。
うーん、観たかった~

・ところで、この龍って結局、なんだったんでしょうか?
殺されてた漁師が化けて出たもの というわけでもなさそうですし。
さて?


◆花道度:高
前半 吉右衛門さん老女の出
後半 龍の出と引っ込み
最後の幕外の引っ込みがみたいんで「高」
コメント
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2006年6月:歌舞伎座昼の部1・2「君ヶ代松竹梅」「角力場」

2006-06-28 00:45:36 | 観たいぞ: 気になる演目などの情報
■君が代松竹梅
◆配役:
松の君 翫雀さん
梅の君 愛之助さん
竹の姫 孝太郎さん

◆のたりの眼
・上方若手3人組の上方松竹梅です。
なんとなく梅がお姫さんかと思ってたら、竹でした(^_^;)

今回の踊りは10分くらいの短いものでしたし、
3人の踊りって、動きがどういうふうに対照的になるのかな~とか
いろいろ眼が行くんで、結構眠くなりません。
衣装もキレイでしたしね♪

・はじめもおわりも緞帳。最初は大セリにのってあがってきます。
3階から見ると真ん中にいる松の君の翫雀さんの頭のてっぺんが
見えちゃってます(^_^;)

◆上演記録から
そーいや、昔、平成の三之助でやったことがあったかな~
と思って上演記録みましたら、やったのは
 菊之助さんと新之助さんと 芝雀さん
でした。
ちなみに この時は 梅がお姫さんで芝雀さんでした。
上演記録をみると、3人とも殿方で上演することの方が
多いようですね。

◆花道度:ゼロ






■双蝶々曲輪日記 角力場

◆作品について
作者は二世竹田出雲・三好松洛・並木千柳。
「忠臣蔵」「妹背山」「千本桜」の三大歌舞伎というヒットメーカートリオです。
でも、浄瑠璃で初演したときは「夏祭浪花鑑」に趣向がにているということで
あまり評判がよくなかったそうです。
・・・似てるかなぁ<(ーー;)?

それに、この後の話になる「引窓」なんかは、結構ドラマですから、
面白いと思うんですけどね~。
あ、そういえば9月にありますね「引窓」。
ちなみに、その時の濡髪長五郎は富十郎さんで、幸四郎さんは出演されません。

このお話、人気が出たのは歌舞伎で上演してからだそうです。
全9段からなる長編で今回の「角力場」は2段目。
ちなみに「引窓」は8段目です。
今回の場からあの「引窓」に至るまでには まだまだ
ドラマがあるんですね~。

◆あらすじもどき
人気絶頂力士:濡髪長五郎を後援してるのは山崎屋の若旦那
山崎屋の若旦那が身請けしたいのは遊女:吾妻
吾妻に横恋慕してる武士:平岡郷右衛門
平岡郷右衛門が後援する、今日の濡髪長五郎の取組相手は素人力士の放駒長吉

その長吉が 濡髪にあっさり勝った!

意気あがる長吉陣営。
落ち込む若旦那。

しかし、当の濡髪は思案顔。
長吉を呼び出して話すには、
山崎屋の若旦那が吾妻を身請けする金をととのえるまで
郷右衛門が身請けするのを阻んでくれ ということ。

しかし、ついさっき、ちょうどその逆(自分が身請けの金を
整えるまで山崎屋の若旦那が身請けするのを阻んでくれ)の
要請を承知したばかりの長吉にとって それは承服できるわけもない頼み。

そこをなんとか、と粘る濡髪が持ち出したのは今日の取組の様子。
最初は濡髪が言っていることがわからなかった長吉でしたが、
気がついてしまいます。
濡髪がこの頼みを自分に承服させるために わざと負けた ということに。

どうして、自分を土俵で叩きのめしてから 頼みごとをしない!と怒る長吉。
まぁ、濡髪としては、若旦那や郷右衛門の心証なんかまで色々考えた上での
八百長だったんですが、長吉にはそんなとこまでは 気が回らないわけで
聞く耳なんか持てません。

そんな長吉にだんだん我慢がならなくなってきた濡髪。
最後は力で勝負をつけよう!と約束するところで幕。

◆配役
濡髪長五郎  幸四郎さん
遊女吾妻   高麗蔵さん
放駒長吉   染五郎さん
山崎屋与五郎 染五郎さん
平岡郷左衛門 幸太郎さん
三原有右衛門 錦弥さん

ちなみに、外題の「双蝶々」の「蝶々」は、
「長(五郎)長(吉)」から来てるそうです。
私、長五郎と長吉、時々、気がつくと逆になってたりします。(^_^;)

◆のたりの眼
・衣装
衣装と扇子が素敵でした♪
濡髪の衣装は大きさに黒が映えてますし、濡髪と有右衛門の
扇子の扇面の地の色は黒。かっこいいですね~黒い扇子って♪

放駒が濡髪に呼び出されたとき着てたのは ご贔屓にもらったばかりらしい着物。
紫の地に舞い散る花びらの中、肩から全身に大きく描かれた馬。
扇もおそろいの馬の図。
これもなかなか素敵。

そして、濡髪の話を半分うわの空で聞きながら、うれしそうに この着物のしつけ糸を
とったり、扇を広げて、濡髪と同じような格好で扇いでみたりしている長吉が、
これまた、とても愛嬌がありました♪

・染五郎さん
山崎屋の若旦那と長吉の二役をやってます。
山崎屋の若旦那の方は 
茶屋の親父に濡髪の贔屓ぶりを披露されて うれしくて
札入れから羽織までどんどんあげちゃうところとか、
濡髪の部屋着を茶屋の親父と二人羽織で着ていくところも
いい感じでしたが、なんといっても「ナヨナヨっぷり」がナイスでした♪

長吉は ちょーっと細めだし、声もちょーっと高いかな~
という気もしますが、後半の 濡髪との対談のところでの様子は「衣装」の
ところでその一端を書いた他にも、濡髪と座高を少しでも近くするため
タバコ盆をお尻の下にいれたり、濡髪が素手で湯のみを握りつぶしたのを
真似しようとして、できなくて(^_^;)、こっそり刀の柄で割ったりしてるなどなど
愛嬌を感じさせるものでしたし、八百長を知って切れるところも いい感じでした。

どちらかといえば・・・うーん、若旦那の方がいい味だしてたかな。

・高麗蔵さん
きれーだな~ 高麗蔵さん。相撲小屋で落ち合うはずが、
料理屋へ行ってまってろ と伝言を受けて そこへ向かう引っ込みの途中、
やっぱりここで待っていようか、とお供の女中さんにダダこねるところが
かわいらしかったです。

このお供の女中さん、3人いるんですが、真ん中の春花さん、たしか先月だったか
先々月 お披露目してた方だったと思うですが、褄をとった時、着物に
キレイに流線型のヒダが寄って、シルエットがとてもきれいでした。

・幸四郎さん
でっかいな~ 立派だな~ なんか絵になります、ほんと。
幸四郎さんって あんまり相撲取りなイメージがないんですが。
少なくとも世話物の時より、こっちの方が断然かっこいいと思います。

・物語について
濡髪が ぜっっっったい、悪い!
かわいそうだよ、あの状況じゃぁ。
八百長を知ってからの
 「姉ちゃんなんかこの勝負に勝つようにと 願掛けまでしてくれてたんだ!」
というようなことを長吉が叫ぶところは ちょっとグッときてしまいました。

長吉の言うとおり、濡髪は頼みがあるんなら、土俵で叩きのめした上で頼むべきだ
と私も思います。

◆上演記録より
山崎屋ぼんぼんの与五郎と、まっすぐなココロの素人力士:長吉。
私は多分、この二役かけもちの公演は見るのはじめてですが、
上演記録によると 過去にもあったようです。
近いところでは、おととしの三越歌舞伎で愛之助さんが二役されてます。

そういえば、歌昇さんの長吉を見た覚えがあるぞ~ と思いましたら
平成15年だから2003年ですか、国立でお正月に吉右衛門さんの濡髪でやってました。
そうそう、ありました、ありました。この時は通し公演で、たしか「引窓」は
吉右衛門さんと富十郎さんでした。

ちなみに歌昇さんは 濡髪も山崎屋与五郎もやってます。

濡髪は平成10年御園座で 長吉は橋之助さん、与五郎は東蔵さん、
吾妻はなんと吉之助さん! うゎ~ これは観たかったな~。
今やってくれたら、絶対遠征しちゃうんだけどな。

与五郎は平成12年の歌舞伎座。このときは濡髪が吉右衛門さん、長吉が
なんと富十郎さん。うーん、なんか年齢大逆転(^_^;)

というわけで、あと「吾妻」をやれば、「角力場」主要キャスト制覇ですよ
歌昇さん♪
でも、これは難しいかな~(^_^;)

◆花道度:高
吾妻のダダコネひっこみ、
長吉ご一行の長吉による「立派な歩き方講座」の 実技付のひっこみ、
与五郎さんと茶屋の親父の二人羽織の引っ込み
長吉の再登場の出
くらいかな。
どれも 結構面白そうなので もっと観たかった!
というわけで、染五郎さんご贔屓はもちろんのこと、そうじゃない方も
観れたらもっと楽しいだろう ということで「高」。
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