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認知心理学から「わかりやすさ」に迫る
文章は、一にも二にもわかりやすさが大切です。私のようなライターはもちろんですが、そうでなくとも、職場では企画書、報告書、業務マニュアルといった様々な書類がやり取りされており、わかりやすい文章を書けるかどうかで仕事の質が決まると言っても過言ではないでしょう。
ですが、これほどわかりやすさが求められているのにもかかわらず、「わかる」とはどういう状態なのかと問われると、つい考え込んでしまいます。誰もが毎日何かについて「わかって」いるはずなのに、なぜか上手く説明できません。「わかる」あるいは「わからない」時、私たちの頭の中で一体何が起きているのか。本書はこの疑問からスタートし、認知心理学の観点から文章表現の“なぜ?”に迫ります。
わかりづらさはどこから
文章術の解説書で必ずと言って良いほど挙げられているのが、「一文を短くする」というテクニックです。しかし、文章を書くにあたって私たちが本当に知りたいのは、「どうして一文が長くなってしまうのか」ということではないでしょうか。文章を書いていると、一文にもっと情報を詰め込まなくてはいけないような気がしてきて、「~ので、…」「~ため、…」「~し、…」「~が、…」などと、つい延々と文章を繋いでいってしまう。――このような書き方を、本書では「構想優先症候群」と呼び、分かりづらい文章の特徴的傾向として説明しています。
「構想優先症候群」は、構想(書きたいこと)を早く吐き出してしまいたいという書き手の焦りによって引き起こされるのだといいます。あわてて書き連ねられた文章は無理やり直結されていて、係り受けもあいまいです。しかし、読み手は、文頭から順番に意味的な単位でまとめて処理しようとするため、体制化(意味や内容でまとまりを作ること)が不十分な文章は読み手の情報処理に負担がかかります。この読み手の負担こそが、わかりづらさの正体というわけです。
良き書き手となるために
文章のわかりやすさ(わかりづらさ)は、書き手と読み手の情報処理システムのギャップをどれだけ埋められるかに懸かっています。そして、そのためには、伝えたいという自分自身の動機に思いを巡らせると共に、読み手のメンタルモデル(その人なりの仮説や考え方)に対して常に最大限の配慮がなくてはなりません。これまで文章術はセンスや小手先のテクニックばかりが論じられてきました。しかし、本書では良き書き手としての振る舞いが示されており、文章表現に悩めるすべての人にとって必携の書と言えるでしょう。
書籍情報
『心理学者が教える 読ませる技術 聞かせる技術 心を動かす、わかりやすい表現のコツ』
著者 :海保 博之
出版社:講談社
かなりの本もちである
引越しで文学全集や学会抄録など分量的には半分は捨てている
それでも、周囲は本だらけ
ぼちぼちと捨ててはいるが、ぼちぼち買ってもいるので
変化はない
静岡地震で、なくなった唯一の女性(だったと思う)
倒れてきた本で圧死
ご冥福を祈る
自分の知っている人にもそうしたリスクをかかえて生きている人を知っている