@竹内薫「理系バカと文系バカ」PHP新書
これは、心理学書ではありません。
あえて、取り上げたのは、心理学は文型、理系という議論、疑問が実に頻繁に寄せられるからです。
結論を先に言うなら、「心理学は文理融合の学問」なのです。
ただ、誤解しないでください。
心理学は広い領域をカバーしています。
一方の極には、数学や工学や医学に極めて近い領域があります。
実験心理学、神経心理学、認知科学などです。
そして、もう一方の極には、教育学、社会学に極めて近い領域があります。
教育心理学、社会心理学、臨床心理学などです。
つまり、心理学は、全領域を鳥瞰すると「文理融合」なのです。
それを学びたいあなたが文理融合である必要は必ずしもありません。
文系的な人にはそれにふさわしい領域が
理系的な人にはそれにふさわいい領域が用意されているのが心理学なのです。
本の内容そっちのけの話になってしまいました。
竹内氏は、日本ではめずらしいサイエンスライターとして最近、とみにその活躍がめだっています。
「99.9%は仮説」)(光文社新書)なんて、目からうろこの本です。
さて、この本の内容の紹介です。目次にある文系バカの10の事例を挙げておきます。
① 血液診断や占いが気になってしかたがない X
② 取扱説明書は困った時にしか読まない ○
③ たいていのことは「話せばわかる」と信じている X
④ ダイエットのために「カロリーゼロ」のドリンクをガブのみしてしまう X
⑤ アミノ酸、カルニチン、タウリンなどのカタカラ表示にすぐとびつく X
⑥ 「社会に出ると因数分解なんて必要ないよね」といったことがある ○
⑦ 「インド式算数」を学ぶより電卓を使えばいいと思っている ○
⑧ 何でも平均値で物事を判断してしまう X
⑨ 抗菌コートのトイレじゃないと入りたくない ○
⑩ 物理学と聞いただけで「難しくて分からない」と思ってしまう ○
末尾の○Xは海保の場合です。5対5ですので、自分は文理融合人間のようです。
心理学書ではない、といいましたが、中身は心理学者顔負けの鋭くもユーモアある筆致で書かれています。