私たちは、長時間歩きまわった後やハードな仕事が続いたときなど、必ずと言っていいほど甘いものが食べたくなります。そういうときみなさんは、たいていチョコレートやケーキ、お団子などを食べて、ひと息ついていらっしゃるでしょう。ところが、クッキーを食べてもなんだか物足りないような、かえってこれが呼び水になって、もっと食べたくなってしまったということもあるのではないでしょうか。
それは、甘いものを食べたいと感じたとき、あなたの体が本当に欲しているものは、甘いものではなく別のものだからです。
この章では、その謎についてお話したいと思います。

たしかに、砂糖はいちばんエネルギーになりやすい食品ですから、疲れたときに砂糖を体の中に入れたいという欲求は必ず出てきます。それは、私たちの脳に経験的に「エネルギー源=糖=甘い」という情報がインプットされているから。
しかし、ちょっと考えてみてください。私たちは2010年に生きていますが、300年前の江戸時代も500年前も、現在と同じように、人間は疲れたら甘いものが欲しいと思ったはずです。だからといって、当時の人々は、白い砂糖をなめたり、チョコやシュークリームや大福を食べられたりしたでしょうか?今のように砂糖が一般に出回るようになったのは、1900年代に入ってからのことです。それまでは、砂糖はたいへん貴重なものでした。では、甘いものが食べたいという欲求をどのようにして満たしていたのか?それは果物でした。しかも熟した果実。柿や桃、ぶどう、いちじく、びわ・・・・、いろいろな果物がおそらく庭先にもあったでしょうから、誰でも簡単に手に入れることができました。
さらに、もっと人類の歴史をさかのぼると、1章でもお話した通り、人間は長い間、樹上生活を送ってきました。そのときにも、疲れを感じた人類の要求を満たしてくれたのは、やはり果物でした。疲れて甘いものが欲しいという欲求を満たしてきたのは果物だったのです。
果物には、糖だけでなくビタミンCがたっぷり含まれています。果物を食べれば、糖と同時にビタミンCが摂取できるわけです。つまり、甘いものが欲しいという信号を送れば、ビタミンCが自動的に入ってくるということを、人間は本能レベルでしっかりと記憶してしまったのです。ですから、ビタミンCが欠乏しているとき、甘いものを欲しいというメッセージが送られてくるのです。私たちが甘いものを欲する本質は、ビタミンCを補給してくださいということなのです。ところが、私たちは、後から入ってきた情報のもとで生きていますから、甘いものといえばお菓子としか思いません。だから、甘いものが欲しいという欲求が出てくると、チョコやドーナツなど砂糖を使った甘いものを食べて満たそうとします。砂糖には、ストレスを緩和し快感をもたらす働きがあるので、脳は一時的に満足したような気になるでしょう。しかし、大福やケーキにはビタミンCは含まれていませんから、一向に体は満足しません。その結果、もっと甘いものを - と、要求はさらに加速していくのです。
疲れたときに、砂糖を使ったスイーツを食べることが、何の解決にもなっていないということがおわかりいただけたでしょうか?
疲れを感じたら、果物を食べてみてください。また、スイーツへの欲求を抑えられない人は、代わりにビタミンCを摂取してみてください。確実にその欲求はおさまるはずです。逆に、継続的にビタミンCをとっていると、甘いものに対する欲求はどんどん消えていきます。
大事なのは、日ごろから朝食でたっぷりの果物を食べてビタミンCを補給しておくことです。ところが、体調が悪かったり、強いストレスを感じたりしているとビタミンCが消耗し、果物だけでは補いきれないときがあります。そういうときは、サプリメントを使うのも一つの手段です。私は基本的にサプリメントを飲むことには反対ですが、サプリメントに頼らざるを得ないときもあるでしょう。もちろん、自然由来のビタミンCであるという条件付きですよ。ビタミンCに対する本能的な欲求はそれだけ強く、また必要なものだということです。
 
 
<転載終わり>
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 疲れた時に甘いものを食べたくなったことは誰でも経験があると思います。その時にケーキやチョコレート、クッキー、菓子パンなど砂糖を使ったスイーツなどを食べる人は多いと思います。ところが、身体が本当に必要としているのは、砂糖ではなくビタミンCとのことです。へぇー、なるほど、と膝を打ちました。
 
 確かに精白された砂糖は身体に良くないことは多くの人が知っていますが、その多くの人は白砂糖の入ったチョコレートやケーキ、饅頭、クッキー、菓子パン、ドーナッツなどを食べています。さすがにコーヒーや紅茶に白砂糖を入れる人は少なくなりましたが、三温糖や砂糖のスイーツを食べていたら同じことですね。
 
 昔の人は甘いものが欲しくなった時には果物を食べていたそうです。昔は庭先や道ばたに、柿や桃、杏、姫りんご、いちじく、ざくろ、びわ、ゆすらご、どどめなどがあったようですから、今と違ってわりと手軽に食べることができたようです。今よりずっといいですね。今でも田舎に行けば、庭に柿やびわなどの木がある家が多いです。
 
 普段から、果物やピーマンやブロッコリー、キャベツ、トマト、小松菜、大根葉などを食べるといいかと思います。
 
 
 
■ ビタミンCの含有量

野菜類

食品名 mg/100g 食品名 mg/100g
赤ピーマン 170mg さやえんどう(ゆで) 44mg
めキャベツ 160mg キャベツ 41mg
黄ピーマン 150mg ミニトマト 32mg
パセリ 120mg かぼちゃ(ゆで) 32mg
青ピーマン 76mg 葉ねぎ 31mg
にがうり(油炒め) 75mg とうがん(ゆで) 27mg
のびる 60mg あさつき(ゆで) 26mg
唐辛子(油炒め) 56mg しその葉 26mg
ブロッコリー(ゆで) 54mg あしたば(ゆで) 23mg
カリフラワー(ゆで) 53mg 小松菜(ゆで) 21mg
かぶの葉(ゆで) 47mg 大根の葉(ゆで) 21mg


果物

食品名 mg/100g 食品名 mg/100g
アセロラ 1700mg パパイア 50mg
ゆず 150mg きんかん 49mg
レモン 100mg はっさく 40mg
70mg グレープフルーツ 36mg
キウイフルーツ 69mg 温州みかん 35mg
あけび(果肉) 65mg ドリアン 31mg
いちご 62mg パイナップル 27mg
ネーブル 60mg    


芋類

食品名 mg/100g 食品名 mg/100g
じゃがいも 35mg さつまいも 29mg
やまのいも 15mg    


藻類

食品名 mg/100g 食品名 mg/100g
焼きのり 210mg ほしのり 160mg
味付けのり 200mg あおのり 40mg
 
 
 
 
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