<ヤスの備忘録より転載>
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回避されたデフォルトと解除された連邦政府の閉鎖
アメリカでは、債務上限引上法案の可決が難航し、可決されなければ10月17日にもデフォルトする可能性があるとされていたが、ぎりぎりの16日に、米政府に来年2月7日までの国債発行を認めると同時に、1月15日まで政府機関を再開するための暫定予算が成立した。これで、短期間だがデフォルトは回避され、また連邦政府も再開された。
来年早々にも繰り返される
だが、当然これで問題が解決したわけではまったくない。国債の新規発行では4カ月、連邦予算では3カ月だけ期限が伸びたに過ぎない。来年早々にも、同じことが繰り返され、世界がはらはらする状況が再現されるはずだ。
下手をすると、来年は交渉がまとまらず、本当にデフォルトしてしまう可能性もある。
何が起こっているのか?
しかし、それにしても、なぜ国を破綻に追い込むほど交渉がまとまらないのだろうか?それは、アメリカの政治が茶会派と呼ばれるイデオロギー集団にいわば乗っとられてしまい、もはや現実的な交渉ができなくなっているからだ。これは、メルマガで詳しく解説したので、そちらを参照してほしい。
茶会派は、リバタリアンと呼ばれ、18世紀のアメリカを理想化する自由至上主義者と、キリスト教原理主義の福音派や再洗礼派の集団だ。グローバリゼーションで地域共同体が崩壊したため、中間層に基盤をおいた社会集団が後退し、政治の領域はこれらのイデオロギー集団が自分たちの理想を追求する手段となってしまったからだ。
絶滅危惧種アメリカ中産階級
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ジーザス・キャンプ アメリカを動かすキリスト教原理主義
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Tea Party America BBC Documentary
2分30秒くらいから見てほしい。英語のドキュメンタリーだが、リバタリアンの理想が分かる
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今回、暫定法案の可決後も茶会派は、問題となった医療保険改革法の延期ないし廃止に向けての取り組みから後退する気配はみせていない。茶会派の議員団は、同法は不公正であると論じ、保険に加入しない人に罰金を科すことを阻止するとの目標を改めて強調している。
来年早々にも、今年と同じことが繰り返されることになることは間違いない。実際にデフォルトすることもあり得る。そうなると、極端なドル安と米国債の下落もあながちあり得ないことではない。
アメリカ人が恐怖する共通のモチーフ
ところで、極端なドル安と米国債の下落が発生し米国内が大混乱して、アメリカ第2革命が起こるとするイメージは、多くのアメリカ人が集合無意識で共有している恐怖のシナリオだ。
そうしたシナリオには共通したモチーフが存在する。そのモチーフはこうだ。
1)米国主導の金融システムの崩壊でドルと米国債は価値を失い、紙くずのような状況になる。
2)このため、米国内ではハイパーインフレが発生するため、多くの米国民が食料とエネルギーの確保ができなくなる。
3)一方、軍産複合体や金融界の支配エリートは、ハイパーインフレで大幅に減価した米国内の資産を独占的に買い占める。そして、民主主義を停止し、彼らが支配する独裁的な社会主義の体制を実現する。
4)米国民の多くは、これに抵抗して内乱を起こす。これでアメリカは政治が機能しない分裂状態になる。
5)他方、反乱を起こした集団は、既存の経済システムには依存しない自給自足の共同体を形成し、独自の広域経済圏の樹立を目指す。
6)こうした自給自足の共同体をベースにして、フリーエネルギーのさまざまな形態が生まれ、新しい社会の基盤となる。
このようなモチーフだ。
リンゼー・ウィリアムスのイメージ
前半の1)から3)までのモチーフをもっともよく表現しているのは、グローバルエリートのリーク情報を流しているリンゼー・ウィリアムスだ。以下がそのモチーフだ。共通のモチーフに焦点を当てるため、日時の指定はすべて削除した。以下は2010年にリークされた典型的なモチーフだ。
・石油資本の支配エリートは、ドルの価値をほとんど紙くず同様の水準まで暴落させる計画だ。
・次の覇権国は中国にすると決定した。そして、ドルが紙くず同然になった時点で、我々はアメリカの主要な資産を独占的に購入する。
・支配エリートはアメリカのデフォルトを確実に誘導している。いつデフォルトするのか彼らは私に告げたが、その日時を言うことはできない。
・現在、国債の上限引き上げ法案の可決でもめているが、この法案が可決するかどうかにかかわりなく、アメリカは予定どおりデフォルトする。
・ドルの暴落の後、新しい基軸通貨が導入される。支配エリートはこの新基軸通貨をペトロドルと呼んでおり、金がその価値の保証となる。
・金の価格が1オンス、3000ドルになった時点で彼らはペトロドルを導入するつもりだ。銀の価格は1オンス、75ドルから100ドルになっている。
・このような状況を作り出し、民主主義を停止した独裁的な社会主義の体制を樹立する。
ウエブボットのモチーフ
他方、4)から6)までの米国民による反乱と、新しい経済が生まれる過程の代表的なイメージは、ウエブボットだ。以下がそうだ。ここも日時の指定はすべて省いた。
・アメリカで暴動が激増する。国民と当局との間で散発的な小競り合いが多発するのである。しかし、春の終わりから夏にかけて、散発的な小競り合いは全米に拡大し当局はコントロールできなくなる。
・アメリカ国内では税金の不払い運動が激化する。これは、税の申告日を越えるとよりいっそう大きな動きとなってゆく。そしてアメリカの経済悪化によってさらに運動は拡大し、革命のうねりへとつながって行く。「革命」への動きはアメリカのみならず世界の各地域で発生する。
・また、税金の不払い運動は、教会のような宗教団体への課税を同時に要求する。これにより、税の支払いを拒否した教会の資産は差し押さえられるが、その隠し資産の大きさに驚愕することになる。
・「革命」への機運は経済的な困難や破綻を背景にして拡大するが、これ以降は「革命」に明確な方向性を与える知的枠組み(思想)が出現する。これが契機となり「アメリカ第2革命」へと突き進んで行く。組織的な運動体も形成される。
・われわれのデータでは、経済の悪化は世界的に継続し、転回点を向かえることになっている。この転換点以降「革命」は本格化し、社会のさまざまなシステムは機能を停止し、社会的に劣化した状態となる。
・転換点がやってくると、移民の逆流現象が起こり始める。先進国の経済があまりに悪化するので、比較的に最近やってきた移民は本国に自ら引き返すのだ。
・移民がいなくなると、これまで先進国のサービス産業や農業分野では労働者の数が激減し、これが大きな問題を引き起こす。すでにこの次期には異常気象と自然災害で食糧不足は激化しているが、労働者不足で収穫が難しくなり食糧難をいっそう悪化させるのだ。
以上である。
来年もデフォルト懸念で現実味を帯びるモチーフ
さて、このまま行くと来年早々にもデフォルト懸念が発生するわけだが、もし本当にアメリカがデフォルトすると、これは米国債の急落と極端なドル安の引き金になることは間違ない。
いわばこれは、恐怖のモチーフが的中し、ハイパーインフレによる食料難とエネルギー不足が実際に発生するということである。大抵こうしたモチーフは、近未来予言や陰謀系の計画として提示されているが、それらがいよいよ的中するというわけだ。
これは予言ではなく、アメリカ人の集合意識
だがこのモチーフは、予言や陰謀であるとは限らない。あらゆる媒体で共通のモチーフが出現する再帰性から見ると、このモチーフはいわゆる予言のようなものとして扱われるべきではなく、多くのアメリカ人が恐怖の対象として広く共有している集合意識の内容なのではないだろうか。つまり、いまの生活が破壊され、貧乏になるのではないかというアメリカ人が恐れる恐怖のシナリオだ。
イミーバでまとめられ、現実性が高まる
メルマガでは、我々の生きる新しいタイプの資本主義2.0では、多くの人々が匿名で対話をするSNSなどのイミーバで提供されるどんな奇想天外な情報も、内容がまとめられ、実際に存在する現実の出来事とリンクされると、強いリアリティーをもち本当の現実であるかのように一人歩きが始まると何度も解説してきた。
ドルの紙くず化からハイパーインフレが起こり、米経済が崩壊して社会主義体制が樹立され、これと戦う過程で自給自足的な経済圏が形成されるとする恐怖のシナリオは、イミーバの通常のプロセスを媒介して、強いリアリティーのあるビジョンになり、一人歩きを始めている。
信じた多くの人々が自己実現的に行動する
そして、リアリティーのあるビジョンが一人歩きを始めるとなにが起こるのだろうか?それは、これを信じた多くの人々が、このビジョンがまさにこれから実現する現実だと信じ込み、これを実現するために自己実現的に動くということだ。
このケースで言えば、それは、地域ベースの自給自足的な経済圏を理想と考える集団が、連邦政府の閉鎖とアメリカのデフォルトをむしろ望み、経済をゼロ状態から刷新することになるドルの紙くず化を誘導する行動に出るということである。
このビジョンこそ、茶会派が支持するもの
実は、このビジョンこそ、連邦政府の閉鎖の原因となり、債務上限引上法案にも反対している茶会派のビジョンなのである。
このビジョンは、ハルマゲドンが実現し、神の降臨による千年王国の実現を理想化する再洗礼派などのキリスト教原理主義者が、ハルマゲドンのシナリオの実現に向かって行動するようなものである。すでにそうした行動は実際に始まっているが。
とするならば、今回の連邦政府閉鎖とデフォルト騒ぎは、いわば茶会派が象徴しているアメリカ人の集合意識が、自己実現を目指して動き出したことを意味しているのではないだろうか?
アトラス・シュラッグドと抑圧されたものの噴出
よくこのメルマガやブログでは、いま「抑圧されたものが噴出」する時代に入ったと指摘している。茶会派が象徴するこのようなシナリオは、これまで抑圧され、表現することが許されなかったアメリカ人の恐怖のシナリオが、自己実現を目指して勢いよく噴出してきた形なのではないかと思う。
そしていま、この恐怖のシナリオをもっとよく表現し、アメリカ国内で高い支持を集めている映画に「アトラス・シュラッグド」がある。アカデミー賞にノミネートされながらも、日本では不気味なほど無視された映画だ。
以下がアトラスシュラッグドのビデオだ。2016年9月に、共通のモチーフにあるような状況になるとしている。
アトラスシュラッグド
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この共通のモチーフこそ、アメリカにおける「抑圧されたものが噴出」する過程なのだろう。
続く
<転載終わり>
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今回のアメリカのデフォルト騒ぎでも報道されていましたが、共和党には茶会派というグループがいます。この茶会派の人たちはリバータリアンと言われ、自由主義至上者のことだそうです。また、自由主義至上主義者の他に、キリスト教原理主義者もいるそうです。このグループが共和党で大きな勢力を持っているとのことです。
リバータリアンについて調べてみると、以下のようにありました。
<Wikipediaより>
『政治面では国家による個人への関与を可能な限り否定する。具体例として、結婚制度の廃止、教育制度の廃止、銃・麻薬・売春に対する規制の撤廃、賭博や同性愛の容認、君主制の廃止が挙げられる。もちろん退廃的な社会を是とするわけではない。これらの個々人の自律に委ねるべき領域は、国家が過剰干渉するべきではないと説く。
経済面では、個人の経済活動の自由を実現するため、市場による代替的な供給が可能なあらゆる財への国家による関与を否定する。具体的には、公共事業・財政政策の廃止、相続税・贈与税・固定資産税・譲渡所得税の廃止、累進税率の廃止、都市計画反対、中央銀行の廃止、公的年金の廃止、金本位制の復活である。』
これだけ見ると、どんでもない組織に思われます。アメリカには相当数のリバータリアンやキリスト教原理主義者がいるとのことです。このグループは今後のアメリカの行方をも左右する台風の目になっているそうです。
今回はデフォルトせずにすみましたが、根本原因は解決していませんので、また同じ問題が噴出します。このようなことを何度かやっている内に、本当にデフォルトすることもあるかも知れません。
その先には、金融崩壊、ハイパーインフレ、食料難、内乱、自給自足共同体の出現なども想定されるとのことです。これはウェブポットの予測とも似ています。
来年はアメリカも日本もいよいよ正念場です。一時は苦労もあると思いますが、皆で乗り越えることができれば、良い社会を創ることも夢ではないと思います。ただ、縄文以来5000年くらい理不尽な世の中が続いていますので、そう簡単には行かないと思いますが。
日月神示にあるように、誰かが泣くような社会ではなく、草木、虫けら、四つ足と共に歌う世の中にしたいものです。