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2022年は客観的な予想を心がけます。

東京優駿(GI)回顧

2007-05-29 00:01:01 | 回顧
【馬場】Cコース。絶好の馬場状態。大一番に相応しい最高の状態。

12.6 - 10.9 - 12.3 - 12.6 - 12.1 - 12.1 - 12.7 - 12.6 - 12.2 - 11.4 - 11.4 - 11.6

【展開】ヴィクトリーが発馬で出負けし、ハナへ立てず。変わってアサクサキングスがハナを奪い、スタンド前はゴチャつくも、1角で落ち着く。その後、向こう正面で12秒1-12秒1とピッチを少し上げて後続との差を広げる。1000㍍通過60秒5のスローなのに縦長の展開。先行馬が少なかったことも確かだが、フサイチホウオーをはじめ有力どころが折り合いに不安を持ち、慎重に運ばざるを得なかったことも大きい。前残りの馬場と展開を勝ち馬が猛スパート。

 とてつもない女傑だ。64年ぶりの牝馬による日本ダービー制覇。ウオッカの強さには誰しもが驚愕した。下見どころから17頭の牡馬に臆することなく落ち着き払った姿。フサイチホウオーが発汗でテンションが上がっていたのとは対照的。発馬直後は中団のインで我慢。初距離だけにスタンド前は口を割って行きたがる。だが、1角で平静を取り戻す。その後は至極順調に運び、3角では痺れるほどの手応え。ここで勝利を確信するほどだった。直線で前残りを図るアサクサキングスを一完歩毎に力強い末脚で迫り、ガァーッと伸びる伸びる。最後は3馬身の差を付ける圧勝。上がり3ハロンは驚異の33秒0。決め手を生かせる流れで存分に力を発揮した。批判の声に耳を傾けず、英断に踏み切った角居師に心から拍手を送りたい。秋はディープインパクトが3着(のちに薬物問題で失格)に敗れた凱旋門賞に挑戦することになる。3歳馬牝馬だけに斤量の恩恵が大きい。夢は膨らむ一方だ。
 
 2着にはアサクサキングスと目覚めしい騎乗が光る福永が入った。発馬直後に手綱を押してハナへ。スタンド前は位置取り合戦でゴチャついたが、1角から実にスムーズな流れ。3ハロン目から12秒3-12秒6と息を入れる。その後、向こう正面で12秒1-12秒1と少しペースアップして後続を引き離す。再び3角で息を入れる絶妙な騎乗で後続を誘惑。それでも、馬群が固まらなかったのはフサイチにマークが集中していたのと、向こう正面でペースを上げたことが大きい。直線で二の脚を使い、突き抜ける。直線半ばまでは逃げ切り濃厚かと思われたが、勝ち馬の決め手にやられてしまった。大トビで流れに乗ると渋太い。攻めでも抜群の動きだった。

 突然の乗り替わりとなったアドマイヤオーラ。前走とは違い、きっちり発馬を決めて中団へ。だが、攻めの競馬をしたために口を割って行きたがる。だが、この日の馬場を考えれば間違っていない。その後は何とか折り合うことに成功。向こう正面で掛かったフサイチホウオーが進出して行ったが、慌てず自分の競馬に徹する。直線で大外へ持ち出すも、激しく内へモタれる。鞍上が懸命に左ステッキを放つも、尚うち内へ。そして、ラスト100㍍地点で急に大外へ膨れる。そこから再び立て直すも、次は内へモタれる。内→外→内の蛇行運転ながら3着へ来たのは立派。スムーズに競馬できていたら2着だっただろう。決め手の高さを示せた。スローで切れ味勝負になったのは向いた。

サンツェッペリンはレース前のテンションが少し高く、発汗が目立った。道中はアサクサキングスが作る緩い流れを離れずピッタリと2番手追走。皐月賞同様、2頭で後続を離す展開。だが、テンションが上がっていた分、ハミをグッと噛んで力みながらの追走。直線で満を持して追い出し、懸命に前のアサクサを追いかけるもなかなか抜かせない。やはり、力んだ分伸び切れなかった。

 ドリームジャーニーは発馬直後から最後方に控えてタメる競馬に専念。終い一辺倒のため仕方ない。直線で大外からジワジワと追い上げるも、内へモタれて満足に追えなかった。スローで位置取りとコース差が出たのは確かだが、決め手勝負になったのは有り難かった。この距離では注文が多すぎる。マイルならGI級。

 単勝160円の圧倒的人気を背負ったフサイチホウオー。だが、見せ場すら作れず馬群に沈んだ。敗因は何か。確かに、下見どころからテンションが高く、かなりの発汗をしていた。レースでも向こう正面で折り合いを欠き、かなりの体力を消耗していた。これも大きく結果に影響しただろう。だが、まともに競馬ができていたとしてもウオッカに先着することはなかっただろう。現時点での「決め手」の差がハッキリ出ていた。高速決着になったのもこの日が初めて。左回りでは、どうしても逆手前になって伸びを欠いてしまう。今回はそれにイレ込みと折り合いを欠いたことで余計に伸びなかった。目標のレースでこの中間はビシビシ攻めを積まれて体調はピークに達していたが、仕上げ過ぎたことで気性面の悪化を招いてしまった。これが競馬。

ヴィクトリーは前走と同様、返し馬を行わず厩務員さんが付き添う形で輪乗りへ。それほどテンションも高くなかった。良いリズムでゲート入りすることができたが、肝心の発馬で痛恨の出負け。皐月賞はそこからスッとハナへ立てたが、今回は鞍上が控える競馬を選択したことで、無理に行くことなく後方に抑えた。その分、1角までに他馬との差ができた。この決断が裏目に出た。行く気になったヴィクトリーは制御に逆らって前へ。だが、縦長の馬群となっていたためにハナへは立てず。仕方なく、アサクサの作るスローの流れに合わせざるを得なかった。33秒台の脚が求められる流れでは成す術なく馬群に沈んだ。鞍上の判断と馬の気持ちに開きがあったことが最大の敗因だ。

ゴールデンダリアは後方で折り合いに専念し、直線でインを通って一瞬は脚を使うも、最後は力の差を痛感させる内容。強行軍の影響もあったか。もう少し馬体がフックラしれくれば。

ヒラボクロイヤルは発馬直後にゴチャつき、位置取りを悪くしたし、瞬発力勝負も良くなかった。武幸もうまく乗れていない。

フィニステールは瞬発力勝負になったのも痛かったが、鞍上曰く「ビビッていた」とのこと。前走の後遺症が残っていたか。

凱旋門賞へ行けるよう頑張ります