鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

アリスは日常的現実の常識(ドクサ)から離れることがない(GLASS2-26)

2012-03-11 08:38:57 | Weblog
 3ヤードの杭の所で赤の女王が振り向き、アリスに言う。「あるものについて、英語が思いつかないときは、フランス語で言いなさい。歩くときは、つま先を外へ向けなさい。そして自分が誰であるか、忘れないようにしなさい!」

 PS1:赤の女王の奇妙な忠告。①「あるものについて、英語が思いつかないときは、フランス語で言いなさい」とはどういうことか。ルールさえ決めれば、ある事態に、いかなる名前をつけることも可能。記号と、それが指示する事態との関係の恣意性が、述べられている。
 ただし図像の場合は異なる。図像は、それが指示する事態と類似性が必要である。(絵文字など。)

 PS2:忠告②「歩くときは、つま先を外へ向けなさい turn out your toes 」とは、「内股で turn your toes in 歩くな」ということ。自信を持ち胸を張って歩きなさいとの指示。

 PS3:忠告③「自分が誰であるか、忘れないようにしなさい」との赤の女王の忠告は、アリスによって既に実践されているし、今後も堅持される。アリスは「鏡の国」の現実に常に批判的である。彼女はこれまで住んでいた日常的現実の常識(ドクサ)から離れることがない。
 言い換えれば、この意味で、忠告②にアリスは常に従う。日常的現実こそ正しい現実であると、彼女は心の底から思っている。彼女は「鏡の国」の異常・面妖・怪異な現実を、恐れることがない。自信を持ち胸を張って歩く。

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