鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

事態Aが事態Bを“意味的に含むこと”は両事態が“意味的に同一であること”ではない(GLASS8-7)

2010-01-11 20:27:31 | Weblog
 騎士の肩にくくりつけられた箱は逆さまで蓋が垂れ下がり開いている。騎士が言う、「私は箱を逆さまにしておく。そうすれば雨が中に入らないからだ」と。

 PS1:騎士の言明に誤りはない。「箱が逆さまである」という事態Aは「雨が中に入らない」という事態Bを意味的に含む。騎士はしかし事態Aが事態Bを“意味的に含むこと”を、事態Aが事態Bと“意味的に同一であること”と混同している。彼は「箱が逆さまである」ことは「雨が箱の中に入らない」ことと同一と考えている。
 彼はこの混同をアリスに指摘されていらだつことになる。先に進もう。

 「でも中のものが落ちてしまう」とアリスは批評し「蓋が開いているわ」と教える。「蓋が開いているとは知らなかった」と騎士がいらだって言う。

 PS2:「箱が逆さまである」という事態Aは「雨が中に入らない」という事態Bを“意味的に含む”。しかし両事態が“意味的に同一”なのではない。事態Aは、「箱の蓋が開く」という事態Cをも“意味的に含む”のである。


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