鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

“fastness”:たくさんあるのかひとつだけなのか?(GLASS8-24)

2010-05-29 08:59:51 | Weblog
 アリスが「違う種類 a different kind の“ピシャっと fastness ”です」と言うと、白の騎士は興奮して「“ピシャっと fastness ”はどんな種類 all kinds of でも同じだ!」と反論する。このとき馬上の騎士が興奮して両手を手綱から離し振りあげたので彼は真っ逆様に落馬する。

 PS1:“fastness”に関して、記号 (“ピシャっと fastness”)とその意味(“詰まって”・“速い”)に分けて考えるなら、アリスは意味の差異に注目する。確かに「違う種類の“ピシャっと”」がある。しかし記号に注目するなら記号“ピシャっと”はいつも同一であり「どんな種類」も“ピシャっと”である。
 原文は次の通り。
 アリス: There's a different kind of fastness.
白の騎士: It was all kinds of fastness.
 
 PS2:“fastness”は「意味」としてはたくさんあるが、「記号」としてはひとつだけである。では記号と意味が融合した“fastness”そのものは、たくさんあるのか、ひとつだけなのか?二人はこれについて議論している。記号と意味が融合しているかぎり、アリスの主張も騎士の主張も正しい。

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