アリスが現実世界には「トンボ the Dragon-fly もいるわ」と言う。すると鏡の世界のブヨが「頭の上の木の枝にスナップトンボ a Snap-dragon-fly がいるよ」と応じる。そして「それの体はプラム・プディングでできてる。羽はヒイラギ。頭はブランディで燃えるレーズンだよ」とブヨが説明。このスナップトンボをキャロルはなぜ考えついたのだろうか?ヴィクトリア朝の時代、クリスマスの頃、子供がスナップ・ドラゴンという遊びをしたという。ブランディにレーズンを浮かべ、ブランディに火をつける。そして火のついたレーズンを口に放り込むという遊びである。この火のついたレーズンがスナップ・ドラゴンと呼ばれたとのこと。現実世界にトンボ the Dragon-fly がいるのに対応して鏡の国にはスナップトンボ a Snap-dragon-fly がいるのである。キャロルはここでしゃれを言っている。 さらにアリスが質問する。「それは何を食べて生きるの?」と。ブヨが「フルメンティ frumenty とひき肉パイ mince-pie 」と答える。フルメンティは肉料理の付け合せにされた小麦のプディングで、ひき肉パイとともに当時クリスマス料理の定番であった。この二つは確かにスナップトンボの食べ物としては納得がいく。さらにブヨが言う。「スナップトンボは自分の巣をクリスマス・ボックスの中に作るんだ」と。かくてキャロルのしゃれが完成したように見える。
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