鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

丸皿を持っていく:その内包的理由と外延的理由(GLASS8-12)

2010-02-08 23:34:18 | Weblog
 アリスが手に丸皿を持っているのに騎士が気づき、「その丸皿は何のためのものだ?」とたずねる。「干しぶどうケーキをのせるためです」とアリスが答える。すると騎士が「持って行ったほうがよい」と言う。

 PS1:騎士が丸皿を持って行ったほうがよいと判断したのはなぜだろうか?干しぶどうケーキをのせるための丸皿を使う機会があるだろうと彼が考えたせいだろう。例えばバーベキューの時にその丸皿を使うなど。これはちょうどワインを注ぎいれるワイングラスを用意しておくのがパーティーの時にそれを使うからというのと同じである。ところが騎士は不思議な理由を言う。

 「干しぶどうケーキを見つけたら丸皿がすぐ役立つからのう」と。

 PS2:これはあたかもワイングラスを用意しておく理由を問われて、パーティーの時にそれを使うためと答えるのでなく、ワインを注ぎいれるためと答えるようなものである。理由には内包(概念が適用される全ての事物に共通する性質)的なものと外延(概念が適用される事物の範囲)的なものがある。つまりワイングラスを用意する内包的理由はワインを入れるためであり、外延的理由はパーティーで使うためである。(ワイン←ワイングラス→パーティーで使う)。丸皿を持って行く内包的理由は干しぶどうケーキをのせるためであり、外延的理由はバーベキューで使うためである。(干しぶどうケーキ←丸皿→バーベキューで使う)。内包的理由(干しぶどうケーキをのせるため)は丸皿の定義に当たるものであり、丸皿を持っていく理由を問われたとき答えるのは、普通これではなく、外延的理由(例えばバーベキューの時にその丸皿を使うため)である。騎士は外延的理由を言わずに、内包的理由を言っている。騎士は変な人である。

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