むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ダイセンキスミレ:大山黄菫(西限大山火山帯地方に咲く) 

2015-06-16 14:34:44 | 植物観察記録

道後山(1268m)山頂付近の原っぱの石ころ道に咲いていたのがダイセンキスミレ:大山黄菫(スミレ科スミレ属)です。
キスミレの仲間は北海道から本州の日本海側のおもに多雪地帯に分布し、地質など異なった環境に適応して多様に変化し、各地にいろいろな名がついたキスミレが生育しています。
キスミレノ西限にあたる中国地方の大山火山帯に分布するのがこのダイセンキスミレで、小型で、紅紫色を帯びる茎に短毛があり、葉に光沢があります。根茎があまり伸びないのもダイセンキスミレの特徴といいます。

オカオグルマ:丘小車(道後山の草地で) 

2015-06-15 08:34:11 | 植物観察記録

比婆道後帝釈峡国定公園内にある道後山(1268m)の登山口月見ケ丘の草原にオカオグルマ:丘小車(キク科キオン属)が咲いていました。日当たりのよい草地に生える高さ20~60㎝野の多年草で、サワオグルマに似ていますが、サワオグルマ('09年5月29日記事)より小型で、葉にクモ毛が密生し、そう果にも毛があります。
乾いたところに多いのでオカオグルマの名があります。

ヒレアザミ:鰭薊(帝釈峡で出会った植物⑩) 

2015-06-14 06:50:34 | 植物観察記録

休暇村帝釈峡の遊歩道にヒレアザミ:鰭薊(キク科ヒレアザミ属)が咲いていました。
ユーラシア原産で、日本には古く大陸から帰化し、江戸時代から知られている2年草で、野原や荒れ地などに生えます。
高さは70~100㎝、茎は直立して分岐し、縦に2条の著しいひれ(翼)があり、ひれには鋸歯があって、先は鋭い鋸歯になります。
頭花は紅紫色で直径2~2.5㎝、アザミ属によく似ますが、冠毛が羽毛状ではなく、剛毛上でざらつく点が異なり、ヒレアザミ属として分けられています。

ハリギリ:針桐(帝釈峡で出会った植物⑨) 

2015-06-13 17:00:39 | 植物観察記録

休暇村帝釈峡の遊歩道わきにハリギリ:針桐(ウコギ科ハリギリ属)の若木を見かけました。
先日高尾山で縦に深く割れこんだ樹皮の大木を見かけたばかりでしたが‘15年5月7日記事)、このときは、あまり高くて葉の状況はよく見えませんでした。
太い幹では名前の由来である針は目立たなくなりますが、若木の幹や枝には表皮が変化したものといわれる鋭い棘があります。
落葉高木で、葉は枝先に集まって互生し、長も幅も10~30㎝で、掌状に5~9個に切れ込み先は鋭くとがります。表面は濃い緑色で光沢があります。
7~8月枝先に黄緑色の小さな花が球状に集まった花序をたくさんつけるといいますが、高木なので見逃すことが多いとかで、まだ見たことがありません。

クモノスシダ:蜘蛛の巣羊歯(帝釈峡で出会った植物⑧)

2015-06-12 07:17:45 | 植物観察記録

帝釈峡の石灰石の岩肌にへばりついていたのがクモノスシダ:蜘蛛の巣羊歯(チャセンシダ科クモノスシダ属)です。
日本各地に分布し、石灰石岩地に好んで生える常緑の多年草で、葉は短い根から束生し、単葉でやや皮室の長さ5~20㎝となります。
和名は葉が四方に細長くのびて、葉の先の不定芽で付着する姿を蜘蛛が網を張った形に見立てたもので、エンコウランともう呼ばれます。
帝釈峡で見たクモノスシダは病気なのか、白っぽく変色していて、それがなお蜘蛛という名前に似つかしい姿にも見えていました。

ナツノハナワラビ:夏の花蕨(帝釈峡で出会った植物⑦)

2015-06-11 09:12:19 | 植物観察記録

道端にナツノハナワラビ:夏の花蕨(ハナヤスリ科ハナワラビ属)が、胞子葉をのばしていました。
同じ仲間でよく見られるフユノハナワラビ(’06年12月17日記事)やオオハナワラビ(’08年11月6日記事)は、冬に出る地上部は夏には枯れますが、ナツノハナワラビは名のとおり夏緑性の多年草で葉は冬には枯れます。
フユノハナワラビとオオハナワラビは、胞子葉と栄養葉がともに長い柄を持ち、空が地上近くで分枝するのに対し、ナツノハナワラビは、葉柄の上部で胞子葉と栄養葉に分枝します。そのことからかナツノハナワラビは前2者よりも総じて草丈が高く大きくなります。

オオキヌタソウ:大砧草(帝釈峡で出会った植物⑥) 

2015-06-10 12:56:57 | 植物観察記録

帝釈峡の遊歩道のところどころに(アカネ科アカネ属)が花をつけていました。
オオの名がついていますが、盛夏の伊吹山頂でよく見られるキヌタソウ(アカネ科ヤエムグラ属)(‘08年9月2日記事)とは草丈も同じ、花も少し大きいかなという程度でほとんど同じように見えます。
オオキヌタソウとキヌタソウの明らかな相違点は、花期が前者は5~7月で後者は7~9月、4枚輪生する葉が前者では葉柄があるのに後者では柄がないことです。
山渓の“山に咲く花”(旧版)では、オオキヌタソウがアカネ属、キヌタソウはヤエムグラ属になっていますが、どういう理由で違っているのかはわかりません。
和名のキヌタは、果実の形を、昔布をたたいて柔らかくした砧に見立てたものですが、砧を知らない現代人にはなかなかイメージがわいてきません。


クロタキカズラ:黒滝蔓(帝釈峡で出会った植物⑤) 

2015-06-09 17:24:53 | 植物観察記録

本州中国地方、四国、九州に分布し、山地のやや湿ったところにまれに生育するというクロタキカズラ:黒滝蔓(クロタキカズラ科クロタキカズラ属)が、帝釈峡の谷沿いに結構多く見ることができました。
落葉性のつる植物で、つるは淡褐色の皮目があり、葉は互生し長さ5~15㎝で薄く、両面に伏毛があります。
雌雄異株で、晩春、葉脇に総状花序をつけ、細長い柄に径㎝ほどの黄緑色の小さな花を垂れ下げます。萼、花弁ともに5裂、雄蕊5本、雌蕊はとっくり形で柱頭は5裂します。
果実は核果で、長さ1.5㎝ほどの扁平な楕円形で、9~10月には赤く熟します。
和名は高知県黒滝山で初めて見つけたことによります。


ミツバコンロンソウ:三つ葉崑崙草(帝釈峡で出会った植物④) 

2015-06-08 16:15:20 | 植物観察記録
 
10何年か前、家から程近い散歩道で白い十字花のコンロンソウ:崑崙草(アブラナ科タネツケバナ属)が咲いているのを見つけたのは、今の住まいに移ってしばらくしてのことでした。
花の白さを中国崑崙山の雪の白さにたとえた名前といわれているこの花を身近なところで見るのは毎年の春の散歩の楽しみでした。(’07年4月27日記事)
ところが今年見ると長年一角に群生していたコンロンソウがどういうわけかわずかに1~2本が花をつけているだけで、この分では来年は消えてしまうのではないかと心配になりました。
そんなことで気がかりになっていたコンロンソウに似た草が、帝釈峡で鞘状の果実をつけているのに出会いました。
コンロウソウの葉の小葉が5~7個であるのに対し、こちらのは3小葉で、果実もコンロンソウは長い総状に多数つくのに対し、大きい長角果が1~3個ついているだけです。
同じ属のミツバコンロウソウ:三つ葉崑崙草でした。
本州関東以西、四国、九州の山地の林内に生える多年草で、茎は単一、高さ9~10㎝、根生葉はなく茎上に少数の葉を互生します。
晩春、茎頭に白色で有柄の十字花を少数付けます。
花時には出会っていませんが、ミツバコンロンソウは、崑崙山の雪に見まがうほどには花がつかないようです。

サワルリソウ:沢瑠璃草(帝釈峡で出会った植物③) 

2015-06-07 07:05:01 | 植物観察記録
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帝釈峡の道筋のあちこちに、沢沿いに多いのでこの名があるサワルリソウ:沢瑠璃草(ムラサキ科サワルリソウ属)が花をつけていました。
湿ったところに生える多年草で高さ30~50㎝、葉は互生し、長さ10~20㎝長楕円形または広倒披針形で先は尖り、葉柄はありません。
5~6月、青紫色ときに白色の小さな花がつきます。
つぼみのとき花穂はくるくる丸まっていて、花が開くにつけてまっすぐにのびます。花は長さ1㎝の筒状鐘形で、先は5つに分かれます。
比較的珍しい花となっていますので、帝釈峡の植生の豊かさを示しているようでもあります。