むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

マツモトセンノウ:松本仙翁(怪しい和名の由来) 

2015-06-18 11:15:37 | 植物観察記録

京都植物園の木陰の草中にひときわ目立つ赤色の花が咲いていました。
観賞用として庭園に植栽される多年草のマツモトセンノウ:松本仙翁(ナデシコ科センオウ属)です。
原種は九州阿蘇山の草原に生えるツクシマツモトと考えられ、江戸時代に、多くの園芸品種がつくられた中の一つとされています。国最初の園芸書「花壇綱目」1681年(延宝9年)や、伊藤伊兵衛の「地錦抄付録」(享保18年)に記載さているといいます。
茎は緑色で数本束生し、高さ70㎝ほど、5~6月に茎頂に花径4㎝の深赤色の花をつけ、萼は縦条のある筒状で、先は5浅裂します。
原色牧野植物大図鑑(北隆館)には、和名の由来として、花形が松本幸四郎の紋所に似ているからとありますが、幸四郎の紋は「四つ花菱」で、あまり似ていないうえ、時代的にもマツモトセンノウの名は
幸四郎の生まれる前からあるので、この説は当たらないといえます。
単純に、昔京都嵯峨あった仙翁寺に伝わったとされるセンノウ(仙翁)の仲間で、ツクシマツモトの園芸種だからというのがよろしいようです。