紅白歌合戦で、『おふくろさん』が復活というニュースを目にしました。川内康範(かわうちこうはん)さん作詞、猪俣公章(いのまたこうしょう)さん作曲の『おふくろさん』は、言うまでもなく森進一さんが歌い、大ヒットした名曲です。ところが森さんがイントロ部分に手を加えたことに激怒した川内さんが『おふくろさん』を歌うことを封印し、そのまま亡くなってしまわれました。そのため歌謡曲ファンは、二度とこの歌を聞くことができなくなるのではと心配していました。しかし川内さん遺族と森さんとの和解が成立し、再び『おふくろさん』は歌われることになったのです。
名曲と呼ばれる所以(ゆえん)は、その歌詞にあります。
「おふくろさんよ おふくろさん 空を見上げりゃ 空にある 雨の降る日は 傘になり お前もいつかは 世の中の 傘になれよと 教えてくれた あなたの あなたの真実 忘れはしない」
幼い頃は母が自分たちを守る傘であり、わが子が大きく育ったら世の中の傘になれと教えた。それはきれい事ではなく、母の真実の願いであった。……父親は子育てにどう関わったのかということを今回は問いません。今の大人は、わが子に対して世の中の傘になれと教えているでしょうか。他人を蹴(け)落としてでも、わが子だけの幸せを願っていないでしょうか。
亡くなった川内さんのイメージした母親は、多分明治の生まれだと思います。60歳を超える森進一のイメージする母親は、大正か昭和初期の生まれではないでしょうか。どちらにしても、旧制中学校や旧制女学校(現在の中学校と高校を合体させたようなもの)を卒業する生徒が珍しかった時代です。学歴はなくとも、生きることに対して理想や賢さがあったことを、この歌詞は教えてくれるのです。当時と比べ私たちは、はるかに『高学歴』となりました。しかし私たち大人は、本当の意味で理想を持ち、賢く子どもたちに接しているでしょうか。
私はビートルズやフォークソングを聴きながら育った世代で、演歌や歌謡曲は苦手です。しかし紅白歌合戦で歌われる『おふくろさん』の歌詞を、今一度噛(か)み締(し)めてみたいと思いました。
名曲と呼ばれる所以(ゆえん)は、その歌詞にあります。
「おふくろさんよ おふくろさん 空を見上げりゃ 空にある 雨の降る日は 傘になり お前もいつかは 世の中の 傘になれよと 教えてくれた あなたの あなたの真実 忘れはしない」
幼い頃は母が自分たちを守る傘であり、わが子が大きく育ったら世の中の傘になれと教えた。それはきれい事ではなく、母の真実の願いであった。……父親は子育てにどう関わったのかということを今回は問いません。今の大人は、わが子に対して世の中の傘になれと教えているでしょうか。他人を蹴(け)落としてでも、わが子だけの幸せを願っていないでしょうか。
亡くなった川内さんのイメージした母親は、多分明治の生まれだと思います。60歳を超える森進一のイメージする母親は、大正か昭和初期の生まれではないでしょうか。どちらにしても、旧制中学校や旧制女学校(現在の中学校と高校を合体させたようなもの)を卒業する生徒が珍しかった時代です。学歴はなくとも、生きることに対して理想や賢さがあったことを、この歌詞は教えてくれるのです。当時と比べ私たちは、はるかに『高学歴』となりました。しかし私たち大人は、本当の意味で理想を持ち、賢く子どもたちに接しているでしょうか。
私はビートルズやフォークソングを聴きながら育った世代で、演歌や歌謡曲は苦手です。しかし紅白歌合戦で歌われる『おふくろさん』の歌詞を、今一度噛(か)み締(し)めてみたいと思いました。