へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

鎧甲のおじさん、舞台に立つ

2009-10-22 22:27:37 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

鎧甲のおじさんがきた。
「文化の日にな、ちょっとした舞台をすることになった」
「え?」
ぼくはぼ~ぜん。
「だって見えないだろ」
「そこはそれ、全身になドーランを塗ると見えるんだぞ」
「そんなのアリ?」
おじさんは大きく頷いて、
「アリ」
と答えた。
「で、何をやるんだよ」
藤川先生が面白そうな顔で話しにのってきた。
「うむ、美都田吾作じゃ」
ひぇぇ~
ぼくらは一斉にバンザイした。
「冗談だろ」

星に願いを

2009-10-21 21:59:11 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

今日から中間テストなんだけど、ぼくは勉強そっちのけで流れ星を見ようと頑張ってみたものの、結局寝てしまって見られずじまいだ。
「流れ星に願いごとあるの?」
と、野茂に聞かれて、
「思い浮かばないなあ」
としばらく考えて首を傾げてしまい、笑われた。
「何で笑うんだよ」
ぼくは消しゴムのカスを投げつけると、
「男の子って普通星に願いそうもないのに、真剣に考えて答えるんだもん」
と、笑いながら投げ返してきた。
「そうかあ?」
ほんとにそうなのかなあ~。
願っちゃいけないのかあ?
昼間の出来事を思い浮かべながら、結局教科書とにらめっこしているぼくなのだ。

オリオン座の男

2009-10-19 22:42:40 | へちま細太郎

「今日から飛ぶらしいぞ」
「何が…」
「オリオン座流星群…」
「オリオン座ってなに…」
「おまえ、冗談で言ってんだろ」
「冗談だよ、俺はオリオン座なのさ」
「…」
「冗談だよ」

今日はすべりまくり会話だなあ
へちま細太郎でした。
ほんとはわかってないんじゃないの~?

 

 


崖っぷちの告白その2

2009-10-18 23:07:28 | へちま細太郎
頭が痛いけんちゃん、二日酔いだあ~

今日はいい天気だ。
だが、俺たちは全員二日酔い。もともと酒の弱い白い事務の兄ちゃんは、ちょっと飲んだだけでダウンしてしまった。
で、ふらふらになりながら波地滋川のあの崖っぷちならぬ岩にはいつくばって、一人が吐けば連鎖反応でげぇ~。
全くさまにならねえし、酔いが抜けない限りは明日からの仕事に差し障る。
で、吐いてるってわけさ。
うううっ くそ~っ、酔いが抜けねえと、カミさんにどやされるぅ~。

俺も同じ …おだじま

俺だって…さらだ

俺はひとりもんだあ~…みた

みんな、そんなに嫁さんがこわいのか、情けねえなあ…はまなか

なんでだよ~…くぼた

という情けない、事態さ
藤川とこ~いっちゃんは、ポカリ片手に高いびきだ
何しにきたんだ、俺たち

崖っぷちの告白

2009-10-17 23:06:15 | へちま細太郎

藤川だ。

今日は広之の合格祝い、と称してこ~いっちゃんを奥波地滋温泉まで拉致した。
俺の遠縁でもあるこの温泉には、じいさんやばあさんたちが来た時のために特別室の離れがあるが、俺はめったに使わない。 でも、ま、客室の眺めのいい部屋ぐらいは確保できる。
が、腹のおさまらない久保田は部屋よりも外でタイマンとばかりに、こ~いっちゃんを外へ連れ出した。
波地滋川の岩だらけの場所に立ち、川を背景に久保田は仁王立ちした。
先程から空模様が怪しくなってきて、効果バツグンだ。
「久保田、勘違いしてない?」
「う~ん」
けんちゃんと広之は眉間にシワを寄せて唸っていた。
「さあ~、白状しろっ
「な、なんのことだっ
こ~いっちゃんは、後ずさりしてよろめいた。
「俺は知ってるんだ」
「何をだよ」
ん?こ~いっちゃん身構えたぞ。
「とぼける気かあっいい加減白状したらどうだっ
さっきから会話が進展しなくて、俺たちはその場に座って見物することにした。
「何、まだゲロしないって?」
浜中が岩をよじ登ってきた。
「久保田じゃあ無理だよな」
と、隣に座った浜中を加えて、俺たちは岩の上の二人を見上げた。
おっ、突然、空が光った
「さあはけぇ、ネタは上がっている、状況証拠はすべて揃っているんだぁ」
「何だ?サスペンス劇場か?」
今度現れたのは、広之の学校の元高校球児小田島と細太郎の担任三田だ。
「何か面白そうだな」
と、いきなり雷がゴロゴロ
「とぼけるなら言ってやる~、おまえ、園芸学部の浅田さんに手を出したなあ」
おっ、ついに核心に触れたか。で、こ~いっちゃんはというと…。
「何だ、そんなことか」
「そんなこととは何だあ」
俺たちは口を抑えて笑いをこらえるに必死だ。
「俺は浅田さんが好きなんだあ
久保田、ここで怒鳴ってもしょうがないだろう。
「なあんだ
はれ?こ~いっちゃん、意外な反応。
「なあんだって…」
と、雷が突然なり、ぽつぽつと雨粒が落ちてきたと思ったら土砂降りの雨だ。
「うわっ、いててて…」
俺たちはたまらんとばかりにホテルに駆け込んだ。
「あの二人は?」
「まだやってる」
部屋から川を見下ろして、俺たちは大笑いした。
「青春だねえ」
「若い若い」
というわけで、真相は不明なまま温泉にたっぷりとつかり、呆然としている久保田をほっといて、朝まで飲んだくれる予定さあ~。


広之おにいちゃんの合格

2009-10-15 22:50:00 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

今年の夏に、高校の先生のテストを受けに行っ広之おにいちゃんが、見事合格した。
「晴れてこれで高校教師だ、女子高生と仲良くでき…」
慶子おねえちゃんが睨んでいる。
「そんなバカなことしたら殺すわよ」
こわっ…
「30過ぎて、よく体育で受かったな」
おじいちゃんが合格通知を見ながら聞いた。
「あ、数学だ」
「確実に受かる方を選んだ」
「ふうん…、相変わらず悪知恵の働くガキだ」
広之おにいちゃんは小学生が嫌いなんだな~。
とくに女子が…(-"-;)。
女子高生と仲良くは無理だろうけど、でもとにかくよかったね
おめでとう


つくばった駅伝大会

2009-10-13 21:47:18 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

部活の時、のぶちゃん先生が、
「つくばった駅伝大会の参加メンバーを決めておけ」
と、申し込み用紙を部長に渡した。
「出るの~?」
「中学生は半分ずつ走ってよい、と今年からルールが変わった。そのかわり人数を集めるのが大変だけどな」
「だって10㌔だろ?一人1㌔としても1年を出すのは無理だよ」
部長は申し込み用紙をめくりながらしかめつらをしている。
「あ?10㌔じゃねえぞ、半分になったってことはおとなと同じ20㌔だ。一人2㌔、10人、考えておけ」
「そんな、何でおとなと一緒なんだ」
部長は食い下がる。
「文句ならつくばった町に言え、あ、ついでに言っておくが、パフォーマンスありだからな」
「げげっ
ぼくらはあまりの発言に全員…ひいた。去年の去年の、あの騒ぎが脳裏に浮かんだ。
「つくばった町、何考えてんだあ」
部長は頭を抱え込んでしまった。
「中学生は去年まではおとなの前に走ってたんだ、何で今年は一緒なんだあ」
ぼくはそんな心配より、あのご先祖さまたちがまた現れたりしないかと不安になった。
あ~、すべての根源は最初に坊さん姿で走ったのぶちゃん先生にあるんだ。
責任とれよ~