へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

いぬをかってもい~い? その2

2006-03-10 17:47:01 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です

お茶の木の下からでてきた犬は、ぼくにからだをこするつけるようにして、そしてぼくの目をそのうるうるした目でじっと見ました
見られても、ぼくこまっちゃう。
「おーい、何やってんだよ」
たかひろくんが、かけてきました。
「ボールないのか?」
そして、ぼくのそばに立ってはじめて犬にきづきました。
「あ、しば犬じゃないか。どうしたの」
「お茶の木の下から出てきた。ぼくからはなれない、どうしよう
たかひろくんを見上げて、ききました。なんか、ぼくもこのしば犬みたい。。。
「先生のところにつれていこう」
たかひろくんは、そういってしば犬のせなかをなでました。
「かわいいなあ」
ぼくがしば犬をかかえて、みんなのところにもどりました。
ぼくたちがボールじゃなくて犬をかかえてきたので、みんなびっくりしてしまいました。
さらだ先生が、
「飼い犬かなあ?首輪はついていないけど、逃げてきたのかもしれないな、首輪のあとがある」
と、しば犬のくびのあたりをしらべていいました。
「仔犬じゃなさそうだから、成犬かな。ずいぶん小さいけれど、まあ、去年あたり生まれたってところかな」
と、おだじま先生が遠いところからいいます。なんでだろ。さらだ先生はぼくからしば犬をうけとって、
「ずいぶん痩せてるなあ、飯食ってないんじゃないかな」
といいながらわきの下に手をとおして、しば犬をひょいともち上げて、
「メスかぁ。おまえ。ほれ」
と、おだじま先生に見せました。
「うげ」
おだじま先生はあとずさり。
「なになに、おまえ、犬だめなの?」
さらだ先生はわらって、犬をぶらぶらさせながらおだじま先生に近づきます。
「よるなよ、嫌いじゃないけど、だめなんだよ。高校1年の時の夏の大会で駐車場係をしていたときに、応援に来たどっかの高校の部員の親が犬連れてきやがって、注意したら文句つけるわ、犬も噛み付くわで、えらい目にあったんだ。それから、だめなんだよ」
両手をぱあにして顔の前でふり、顔を見るとひきつっています。
4年生のみんなは、なにもいいません。なんか、あきれちゃったって顔してます。

ぼくだって、イメージダウンだよ。。。

犬はおなかがすいていたみたいで、さらだ先生の手をなめつづけています。
さらだ先生は、
「しょうがねえや」
といって、しょくいんしつからいつものタッパーのおべんとうばこをもってきて、
「ほら、たべろ」
と犬の前におくと、犬はむちゅうで食べています。
「なんにちも食べていなかったのかなあ」
「ご飯、もらっていなかったのかな」
「かわいそうだね。かいぬし、いないのかな」
「捨てられちゃったのかなあ」
ぼくたちは、犬の食べているようすを見て口ぐちにかんそうをいいます。みんな、よかったなあ、ご飯が食べられて、といったようすです。
「問題は・・・」
と、おだじま先生が、ぼくたちのうしろからうでぐみしながら声をかけてきました。
「この犬、どうするんだ?これから」
あ、ぼくたちは顔を見合わせました。このまま、学校においてっちゃう?
「学校ではかえないの?」
4年生の子がききました。
「学校では無理だなあ。犬を嫌いな子もいるだろう」
「おだじま先生みたいに?」
みんなは、いっせいにわらいました。
「う、うるせえ。。。犬が嫌いなのは、先生のせいじゃない
「連れて帰りたいけど、俺んところ、アパートだから飼えないや」
「同じだなあ」
先生たちは、考えています。
みんなも、おかあさん、なんていうかなあ、とうつむいています。

そうか、みんなのうちには“おかあさん”がいるんだ・・・
そして、なんでも“おかあさん”がはんたいするんだ・・・

でも、ぼくのうちには、いないよ“おかあさん”なんて・・・
色の白い“へんたい”はいるけどね。

かんがえてみたら、ぼくのうちに、はんたいする人は、いないよなあ。。。

もうちょっと、かんがえるから、また、あしたまで、まってね



いぬをかってもい~い?その1

2006-03-09 22:49:58 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です

ほうかご、ぼくたち3年生と4年生は、さらだ先生と4年のおだじま先生とやきゅうをしました。おだじま先生は高校やきゅうで、夏のこうしえん大会に出場したすごい先生です。
さらだ先生だってまけてはいません。さらだ先生は、たいそうとからての全国大会でゆうしょうしたそうですが、ぜんぜんつよそうには見えません。だって、いつもおばさん先生にいじめられているし。それに、しんこんなのにご飯作ってもらえないもんね。だけど、おだじま先生もおくさんにはよわいみたいだよ。毎日、お買い物してきてって電話がくるみたいだから。

なさけねえなあ。。。

ぼくは、おじいちゃんがきょじんファンなので、よく東京ドームにつれて行ってもらいますが、あいてがタイガースだと、たまにタコ壺保健室の先生にあいます。気合いじゅうぶんなかっこをして、きいろと黒のメガホンをたたきながら、おともだちの“おっかない”先生と、ろっこうおろしをうたっているみたいです。

「おかだぁ、ひやま、ださんか
「ボケー。何しとんじゃあちんたら走っとったら、いてまうぞ~~

こわいです。。。

で、はなしはほうかごのやきゅうにもどります。
というか、今日はやきゅうがメインじゃないんです。じつは、犬なんです。
そのときぼくは3るいをまもっていました。4年生がうったゴロを2るいのたかひろくんがとって、ぼくになげてきましたが、これがとんでもないボールで大きくそれていっちゃった。ぼくはひっしになってボールをおいかけました。
ボールは学校のやさい畑の方にころがっていきました。畑のむこうはお茶の木がうえてあります。うえたまんまのだいこんのとなりでボールをみつけると、きゅう~というなきごえがきこえてきました。
「なんだろう」
ぼくは、きょろきょろとあたりをままわして、なきごえのぬしをさがしました。もう一度、きゅう~とこんどはお茶の木の下からきこえました。
「なに?だれ?」
ぼくは声をかけました。その声にこたえるように、きゅう~きゅう~となんどもないてます。
「あ
犬でした。それも子犬じゃありません。しばいぬの中くらいの大きさでした。 犬はぶるぶるふるえていました。
「どうしたの?さむいの?」
ぼくは犬に声をかけて、近よって頭をなでました。 犬はお茶の木から出てきて、ぼくにすりよってきました。
「どうしたの?どうしたの?さびしいの?おうちわすれちゃったの?」
犬はぼくの足のあいだに入りこむと、ふぅーとはなをならしてすわってうごかなくなっちゃった。

ぼくは、ぼくは…。。。

あしたへつづく


腰が命のイナバウア~

2006-03-08 19:29:02 | へちま細太郎
こんにちは・・・細太郎です。。。
久しぶりです。。。

学校の話をします。それ以外は、しないよ。。。たのまれたってしないよ

今、学校ではイナバウアーがはやっています。
かわいたぞうきんの上にのって、ろうかをすべって遊ぶんです。みんなもぜったいやったことあるよね。そうじの時間にやって、さらだせんせいにどなられるけど、でも、おもしろいからやっちゃう。
それをおひるの休み時間に、3年の1組から4組までの男子みんなでやるんだよ。
じゅんばんこにすべってだれがうまいか、みんなで点数をつけて遊ぶんだ。
じょうずなのは、みきおくんかな。みきおくんは、バスケットのスポーツ少年団に入っていて、スポーツばんのうなんだよ。
つーっとすべっていって、せなかをぐうとまげて、すごくきれい
ぼくは・・・けっこうへたっぴです。。。

今日もみんでわいわいとイナバウアーごっこしていたら、校長先生が通りかかりました。
「こら3年生は、廊下でなにをやっているんだ
みんな、こうちょくです。。。
「うん?」
校長先生は、ぼくの足もとをみました。ぼくのうわばきの下にはぞうきんが・・・。つぎはぼくの順ばんだったからすべるじゅんびをしていたので、うわばきでのったまんまでした。
「こら、さては雑巾で廊下を滑っていたな。担任の先生に注意されただろう
「すいません」
ぼくはちいさな声であやまりました。そして校長先生が、
「いくらイナバウアーをやりたいといったって、ちゃんと練習してフィギュアの選手たちはやってるんだよ。それに、遊ぶにしてもこういうところではだめだよ。ぶつかっちゃったら、みんなもぶつかった相手の子もけがをするだろう?」
と、ぼくの足もとからぞうきんをとりました。
「校長先生もイナバウアーすきなの?」
みんなは、校長先生からイナバウアーのことばが出たのでしつもんぜめにしました。校長先生も、
「荒川静香選手、きれいでじょうずだったね。校長先生も朝早くからおきて、一所懸命応援したよ。イナバウアーも、先生のうちの孫の幼稚園生がまねしてやっていたので、一緒にまねしちゃったよ」
と言ったので、みんなわあわあいって、
「校長先生もやるんだ。すごいな」
「みせて、みせて」
「まねだけでいいよ」
「ろうかすべらなくていいから」
と、校長先生をとりかこみました。
すると、それまでおこっていた校長先生が、きゅうにうれしそうな顔になりました。
「校長先生のイナバウアーみたいのか?」
校長先生が、ぼくたちにききました。みんないっせいに、
「みたあい
と声をあげました。
「よおし、やっちゃおうかなあ
校長先生は
「よおし、みてろ~」
と、ぐいっとせなかをそらせて顔をのけぞらせました。。。
「うわあ、すごいなすごいなあ
「さすが、校長先生
校長先生は顔をまっかにしながら、がんばっていました。
「じゃ、ここまで・・・」
と、おきあがろうとしたときでした。

「あっ

校長先生が、ひとこといったあとでした。。。

「いってててててて

校長先生が、うごけなくなっちゃった
「校長先生、だいじょうぶ?
ぼくたちは校長先生にしがみついて、ゆらしました。そしたら・・・
「こ、こら、さ、さわるなあ
校長先生のうわぎのポケットから、ばらばらとあめやクリップや、紙切れがおちてきました。校長先生の手からぞうきんもおちました。
みんなのひめいで、きゅうしょくのパントリーから先生たちが走ってきました。
「どうしたんだ?あ、こ、こうちょう・・・
さらだ先生が、あわてて校長先生のそばにかけよって、校長先生をだきかかえました。
「どうしたんですか?」
「せ、背中が・・・
「は?」
「こ、腰が・・・
「ひえっ
さらだ先生、びっくり。と、そこへ1組のたんにんのなからい先生もかけてきて、
「だいじょう・・・きゃあああ」
と、声をかけたしゅんかん、おちていたぞうきんにすべって、さらだ先生の足をけっとばしてしまいました。
「うわああああ」
ぼくらがたちなおったときには、さらだ先生は校長先生の下敷きになっていて、なからい先生はしりもちをついていました。
なからい先生、スカートのわき、びりびり。。。

校長先生は、きゅうきゅうしゃではこばれていってしまいました。
せなかがひきつって、こしがうごかなくなっちゃったんだって。。。

むりはきんもつだね

ぼくたちは先生たちにこってりとしかられて、それからイナバウアーごっこはやめようとやくそくしました。。。

でも、あのときの校長先生、おかしかったあ。。。。

最悪な写真 その2

2006-03-07 22:59:20 | へちま細太郎
はい、どーも英語教師の藤川です。三度のメシより女が好きです
ないすちゅ~み~ちゅう~

あ、細太郎くんとおとうさんのファンの方、どーもすいませんね。あのへなちょこ野郎は、写真を見るなり貧血でひっくり返り、タコ壺保健室で生徒たちに混じって寝ています。情けねえ野郎だろ?。大した写真でもないのに、大げさに驚いてひっくり返るやつなんざ初めてだ。
聞けば、細太郎に嫌われショックでメシが喉に通らなかったんだと。呆れてものが言えねえよ。理由は何であれ…俺は“毛”が生えたんだと思うが…冗談だよっ(笑)…細太郎がギャングエイジに突入し、大人になっていく段階になってきたってことだ。事務職とはいえ学校に勤めてるんだ、少しくらいはわかれってんだ、バカ野郎。
いい加減、子離れしろよなあ。でないと嫁もらえねえぞ。

おっと、写真、写真。
しかし、バカだねこの男は…。何でバービーちゃんとリカちゃん抱えてはなさないわけ? あ、あのね。先々週の金曜日に合コンしたのよ。デパガよデパガ。それで、細太郎や俺の姪に土産だっていって、殊勝にもバービーちゃんとリカちゃんとムシキングのカードを持ってきてくれたんだよ。気が利いてるね、女はこうでなくっちゃね
なのにあの野郎、酒入ったとたんにリカちゃんとバービーちゃんを引ったくって両脇に抱えて離さねえ。おかげで女の子たちは引きまくり。あげく、リカちゃんにぶちゅーっとやっちゃったわけよ。
で、これがリカちゃんにキスした写真と、ぺろっとなめちゃった写真ね。
と~ぜん、女の子たちには逃げられた。結構気に入っててさ、友達に頼んでやっと合コンしてもらったんだよ。
頭にきたねえ。ムカついたねえ
で、最初は代行呼ぶつもりだったんだけど、へべれけに酔いつぶれた大ボケ野郎を車の中に放置して、帰ってきちまった。なんか後から駐禁で捕まったんだって?俺らのせいじゃねえよ。

何?、教師のクセに下品だ?引っ込めだ?
てやんでぇ。俺はこれでもまじめで優秀な教師で通ってんだ。え?裏がありすぎる?いいじゃねえかよ、人生楽しまなきゃな。

ところでさ、あいつ、何でリカちゃんが好きなんだろうね。お姉ちゃんのいる店に行っても、リカちゃんって名前の子がいるとさ、敏感に反応しちゃうわけよ。え?どこが反応?バーカ、考えすぎだよ(笑)
あいつにとって、リカちゃんあるいはリカっていう名前がキーワードになって、隠して押し殺したモノにスイッチが入っちまうのかもしれねえなあ。

この写真、細太郎にも見せてやるか。。。
え?やめとけ? 何でだ?確かに、小学生にはキツすぎるよな。毛が生えたら見せてやるさ。オヤジが教えない分、俺が教えてやるつもりだからね。
イジメ?バカいうな。ちっちっ。わかってねえなあ。あんなかわいいガキ、今時いねえぞ。
んじゃ、しーゆー
あ?おいそこの今なんつった?二度と出てくるな? うるせえよ
。また、お目にかかってやるよ。。。 覚悟しとけ

最悪な写真 その1

2006-03-06 18:50:07 | へちま細太郎

お世話になっております。細太郎の父です

細太郎は、アパートにも帰らず、実家におります。私も仕方がありませんので、実家で一晩を過ごしましたが、母親の嫌味と父親の余計なおせっかいが食欲を減退させ、さらに、細太郎に話しかけてもほとんど無視をするので、味までわからなくなってしまいました。
細太郎~、お願いだぁ~、せめて口をきいてくれ~
「イヤダ、フォー
ほ、細太郎・・・
「ばっちい、ばっちい、ばっちいけーおしり、ぺんぺん」
下品だぞ、細太郎

俺は、うちひしがれたまま職場に行った
俺の職場は学校だが、俺は教師じゃない。事務職員だ。
学校は私立の中学・高校と、敷地の奥には大学がある。正門から入ってすぐ右手に中学・高校の校舎があり、左手に体育館と講堂だ。奥に歩いていくと校庭があり、そのさらに生垣の向こうに大学の校舎が、かなり広い敷地を占領している。
講堂には事務室があり、中学・高校、時には大学の事務も一括して請け負っている。本部は別にあるのだが、主に、生徒用の経理が中心の事務室で、俺はここにいる。さらに講堂の1階は学食も兼ねていて、寮暮らしの生徒たちが朝食を食べて登校していく。時には、朝食を食べてこない生徒や教師たちで賑わっているが、ほとんどはおしゃべりタイムだ。
朝の喧騒が過ぎ、伝票を持って俺は学内の移動手段としてちゃりんこに乗り、まずは高校に行き、職員室に向った。
「何なの、時化たツラして」
と声をかけてきたのは、いつも俺をいじめる女性教師だ。こいつはバレンタインデーに、毎年食いかけのチョコを投げてよこす性悪女だ。避けて通っても、
「よ、相変わらず白いな」
「いつもより、白いですね。何かあったんですか?」
と、恒例の挨拶で迎えられる。
「あんたらね、ちゃんとした挨拶ってもんができないの
「色の白いのが悪い」
色の白いのは俺のせいじゃない。
「細太郎君元気ですか?」
いつも優しい言葉をかけてくれる優しい女性教師は、細太郎だけにしか興味がないのか、それ以上は聞いてこない。
どーせ、俺は魅力ねえよ。。。
「それがさ、細太郎が口をきいてくれないんだよ」
それでも俺は、ここへくると愚痴をこぼしたくなる。
「何、反抗期?」
「小学校3年でしょ、反抗期ではないよね」
こういう時はさすがに教師の顔に戻って、ああでもないこうでもない、と議論を戦わしてくれるのだが、またもやあの性悪女が、
「毛、生えたんじゃないの?」
と、にべもなく言ったもんだから、
「あ、あたり
「きっと、そうだよ」
と、変な方向に話が飛んでいってしまった。
「そんなんじゃない」
「じゃあ、なんだ」
じろりとにらまれた。女のくせにこえ~
「何か、隠してるだろ」
こいつらは悪さした生徒にゲロさせるプロだ。俺はこれ以上ここに留まってはロクなことがない、とさっさと用事を済ませて早々に退散することにした。
だいたい言えるか、きっかけが俺の小さなころの女装写真(というか、コスプレか?)とリカちゃんだなんて。。。
「おい」
いきなり、肩をつかまれぐいっと引き寄せられると、
「こういっちゃ~ん先々週の金曜日の飲み会でさあ、こんな写真撮ったんだけどさ~。どうする?引き伸ばす?」
と、飲み仲間の英語教師の藤川が、1枚の写真を俺の目の前にすっと差し出した。

う、なんじゃこりゃあ

こんな写真、覚えがないぞ~
ちきしょ~、や、やられた

明日へつづく




おとうさんは…ショックです

2006-03-05 23:39:57 | へちま細太郎
お世話になってます。細太郎の父です。

外はいい天気だっていうのに、俺の心は晴れない。 細太郎が口をきいてくれない。どころか、俺を見る目つきが軽蔑の眼差しに変わっている。
細太郎、おとうさん、なんかしたか?おまえに、嫌われるようなことしたのか?

細太郎は俺をさけるように、朝から遊びに出かけてしまって家にはいない。
俺は、リカちゃんを元通りに丁寧に布でくるみ、厳重に封印をして天袋にしまった。
細太郎、ごめんな、おとうさん、リカちゃんは大事な宝物なんだ。おまえも宝だが、リカちゃんはそれとは違うんだ。おまえも大人になるとわかるだろう。
俺は、アパートに帰らず、新築の家の2階の居間でゴロゴロしていた。何にもやる気がない。 細太郎に避けられるのが、こんなにつらいとは思わなかった。

ここは二世帯住宅だから2階だけでも生活はできるが、めったに帰ってこない。アパートの方が気楽だ。うるさく言うおふくろもいない。 そう、うるさく言うおふくろが・・・。
「光一!!」
そらきた。
「いい若い者が日曜日だっていうのに何やってるのっ!!」
思いっきりドアをあけ、電気カーペットの上に毛布にくるまっている俺を蹴飛ばした。 元婦警であるおふくろは、近所の風呂を覗き回っていた痴漢を箒で殴り倒したことがある。腕っ節も強いが、口も達者だ。いい年して、困ったばあさんだ。
「いつもだったらジムだなんだかんだと言って寄り付きもしないくせに、子どもに嫌われたからって、何へこたれてるのっ!!」
「き、嫌われた…
俺が一番考えたくないことを。
「そんなんだから、いつまでたっても結婚できないのよっ
ぐさっ
「うるせえな、細太郎には母親は必要ねえんだよ
「は?よく言うよ。細太郎をだしにして自分がモテないことの言い訳にするんじゃないっ!
「モテないわけじゃねえよ、そんな対象が見つからないだけだよ」
「へ~え」
おふくろの目は完全に俺をバカにしている。その目が細太郎にそっくりだ。目だけを見ていれば、まるで細太郎に言われているような錯覚に陥る。
「わかったよ、見つけりゃいいんだろ。細太郎の母親を」
俺は、母親から逃れるように1階へ降りて行き、冷蔵庫からビールを取り出した。
「酒に逃げても女は寄ってこんぞ。ど~してんだ?8年も女っ気なしで。まさか、全然してないわけじゃなかろ
親父が声をかけた。
「昼間からする話題じゃないだろ
俺は赤くなる。
「悪い遊びはするなよ
とんでもねえ親父だ。細太郎の父親である俺が女と遊ぶはずがないだろっての。まあ、多少はあるにはあったが…。
「ったく、何なんだこのうちは。それよりなんかねえの?腹減った」
俺は、細太郎に避けられたショックで、昨日からロクに飯がのどを通らない。腹は減るが、食欲がわかない。
ビール片手に、棚を探していると、細太郎が台所の入口に立っていた。
「何だ、帰ってきたのか。おとうさんと今からご飯を食べに行こう」
と、仲直りのチャンスだとばかりに声をかけた
が、返ってきた言葉は、俺を奈落の底に突き落とした。
「へんたい」
へ?へんたい?
「気持ち悪い」
は?
「細太郎、なんだよ、何でおとうさんが気持ち悪いんだよ」
俺は、悪い夢だとばかりに細太郎につめよった。
「さわるな、へんたいがうつるだろ」
細太郎は背を向け、2階へと駆けあがって行ってしまった。
何で俺が変態なんだあっ

があん~んんんん

た、立ち直れねえ・・・

おとうさんより

2006-03-04 23:49:35 | へちま細太郎
こんばんは、細太郎の父です
独身です。
 いつも細太郎がお世話になっております。なかなか細太郎の相手をしてあげることができず、みなさまについ甘えることになってしまい、大変ありがたく思っております。

と、堅苦しい挨拶はここまでにして・・・。
俺は、独身で30歳。彼女は…いない。色は白いが、ジム通いのおかげでけっこう脱いだらすごいと思う。ただ残念なことは、女性に見せる機会がないことだ。職場の連中には、色が白いというだけでバカにされ、脱いだらアバラが浮くなどと言われて、誤解を招いている。 全くひどい話だ。

悪いけど、あんたら、俺の裸みたことあんの?まあ、俺もただでは見せる気ないし、あんたらに見せたいとも思わないけどね。



細太郎はいい子だ。俺の宝だ。母親もいないのに、よく素直に育ってくれたよ。俺の子だよなあ。
なのに、なんだよ、昨日は。アパートに帰ろうと言っても首を振る。では、いつも通り風呂に入ろうと声をかけても返事がない、おとうさんの部屋で一緒に寝よう、と言えばおばあちゃんと寝る、と見向きもしない。今日はサッカーを見に行こうと誘っても、J2の弱っちいチームなんかイヤだ、とぬかす。今まで一緒に応援に行き、J1昇格を楽しみにしていたのに。
どういうことだ。細太郎、おとうさんは寂しいぞ。細太郎、何があった…。ま、まさか…、おまえ、その年で“毛”が生えたか? 早すぎるぞ、細太郎!!
と、悩んでいたら、おふくろと親父が笑っている。
「何だよ、何がおかしいの」
「だって、ねえ」
おふくろは、そう言って何やら棚から持ち出してきた。
「何これ、アルバムじゃない」
俺は懐かしいページをめくり、
「これが何の関係があるの」
と、細太郎の赤ん坊のころによく似た俺の写真を見た。
「細太郎は俺に似たんだなあ」
目を細めて、つい細太郎が生まれたころを思い出した。 あの頃は…。 と、ふいに過去から現実に引き戻すように、
「細太郎には、女装趣味はないみたいだぞ。安心しろ」
と、親父が言った。
「何だよ」
くっくっくっとおふくろが笑った。
「ああ?笑ってないで言えよ」
俺は、2人を見ながら、自然のなりゆきでアルバムをめくった。と、そこには…。
細太郎、この写真を見たのか
「悲鳴をあげていたぞ」
ほ、細太郎…。
「ついでにな、リカちゃんも好きだったと言っておいたぞ」
お、親父…。俺は、血の気が引いていくのを感じた。そして、次の一瞬、俺は思い立ち2階に駆け上がり、物入れを開けた。一番奥に隠しておいた俺の宝箱が開けられた形跡がある。
俺は、俺は…
誰だって、触れられたくない過去があるんだ。細太郎、今すぐ理解しろとは言わないが、おとうさんの気持ちをわかってくれ。
リカちゃんは、リカちゃんは・・・俺の初恋だったんだあ。。。
………。
俺は、久しぶりにリカちゃん人形を手にとって、少年のころそうしていたようにリカちゃんの髪をなぜた
その様子を細太郎に覗かれているとも知らずに…

おひなさまとおとうさん

2006-03-03 18:46:20 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です

ひなまつりだね
ぼくは1人っ子で、おとうさんには弟しかいないので、うちにはおひなさまがありません。
おじさんは、まだ27さいで結こんしていないので、ぼくにはいとこもいません。
おかあさんがどうしているのか、どんな人なのか、教えてもらっていないので、いとこがいるのか、さいこんして子どもがいるのかもわかりません。

でも、おかあんがどんな人なのか、考えたことがないの。だって、さいしょからいないんだから、思い出してみるとか、そうぞうしてみるとか、考えたことがない。
いなくてもこまらない。
だって、ごはんはおばあちゃんが作ってくれるし、おとうさんはいつも一しょにいてくれるし、それにおとうさんの友だちはへんな人が多くて、ちっともたいくつしないんだよ

そのうちおとうさんの友だちの話をするね。

今日は、歯医者にいって昨日抜いた歯のしょうどくをしてもらって、アパートにはいかず、ほんとのおうちのぼくのへやにいました。
おとうさんとおじさんはめったに帰ってこないけれど、おとうさんとおじさんのにもつは、ちゃんとへやにしまってあります。
ぼくは、おとうさんのへやにこっそり入って、もの入れにしまってあるはこをあけてみました。
おとうさんの小さいころの本やおもちゃがたくさんしまってありました。アルバムもありました。
アルバムをあけてみると、あかちゃんのぼくがうつっているしゃしんがありました。でも、ずいぶん古いなあ。。。と、思ったら、ぼくじゃなくておとうさんでした。

なんだ、ぼく、おとうさん似なんだ・・・。

え・・・

気をとり直して、またアルバムをめくっていると、きものをきた女の子のしゃしんがはってありました。おとうさんとおじさんによくにていて・・・つまり、ぼくにもよくにていて・・・おひなさまの前で、にっこりわらっていました。
だれだろう。おとうさんに、女の子のきょうだいがいたのかな。
ぼくは、1かいへおりて、おばあちゃんとおじいちゃんにアルバムを見せて、
「これ、だれ?」
とききました。
おばあちゃんはめがねをかけて、しゃしんを見ていましたが、きゅうにげらげらとわらいだしました。おじいちゃんもなんだなんだといって、めがねをかけてアルバムをのぞきこみました。と、やっぱりげらげらと大笑いです。
「ね、だれのしゃしん?おとうさんに、おねえさんかいもうとがいたの?それとも、ぼくにおねえさんがいるの?」
「細太郎、これ、おとうさんだよ」
と、おばあちゃんがおしえてくれました。
「え?おとうさん
「これはね、おばあちゃんのおひなさまを飾ったのよ。おとうさんがね、どうしてもおひなさまが欲しいというから、おばあちゃんのうちから持ってきたのよ」
「じゃあ、おとうさん、なんでこんなかっこしてるの?」
ぼくは、泣くたくなってきました。おとうさんが、女の子のかっこをしているなんて
「おとうさんね、昔からスカートはいたり、ブラウスをきたり、お化粧したり女の子のかっこうをするのが大好きだったのよ」
「なんでえ
おとうさんが、おとうさんが・・・
「おとうさん、リカちゃん人形が大好きだったのよ」

きゃああああああああああああ

「まだ、しまってあるんじゃないか、リカちゃん。確か、リカちゃんハウスも買ってやったなあ」
おじいちゃんが、アルバムをめくりながらなつかしそうにいいました。そして、
「ほれ、この写真、リカちゃん人形と同じかっこうで写っているよ。みてごらん」
と、ぼくにアルバムを向けて、1枚のしゃしんを見せました。
見たくない、見たくない、見たくないけど、こわいもの見たさだ。

しゃしんには、リカちゃん人形と同じかっこうをした、ぼくとよくにた顔をしたおとうさんがまちがいなくうつっている

ぼくは、2かいにもどって、もの入れのおくに入りこんで、さらになにかあるかさがしてみました。と、一番おくにがんじょうなはこがありました。
これか?これか?
ぼくは、うんうんいいながらはこを外にひっぱりだして、そしておとうさんのひみつのはこを、ついにあけてしまいました。。。

ああ、あったあ

りかちゃんだあ

りかちゃんハウスだあ

ああ、これはっ、ば、ば、ば、・・・

バービー人形だあ

お、おとうさん・・・

ぼく、おかあさんにあいたい


 



 


歯が痛い

2006-03-02 15:03:00 | へちま細太郎
こんにちは、へちま細太郎です

歯が痛いよぉ

歯が痛いよぉぉ

歯が痛いよぉぉぉ


ズキズキ

ズキズキズキズキ

ズキズキズキズキズキズキ

今まで、虫歯をほっといたら、大きなあながあいちゃいました

あいちゃいましたじゃないよっ



というわけで、おばあちゃんにつれられて歯医者にいきました。
おとうさんは、ひとりで行け、といって、朝、さっさと仕事に行きました。こういう時のおとうさんは、けっこうつめたいです。
待合室で待っていると、キーンキーンという音が・・・
うずくうずく。。。

ズキズキ
よけいにズキズキ

ぼくの順番です。
歯医者さんは、ぼくの虫歯を見るなり、
「あ、だめだな、こりゃ。。。なんで、ここまでほっといたかなあ。。。ん?あ、虫歯のわきから永久歯が出ているよ。どうせ治療しても同じことだから、抜いちゃおう」
と、あたりまえのように、普通にいいました。
「え?ぬくんですか~
ぼくは、それをきいただけで、そっとうしそうになるのをけんめいにがまんして聞き返しました
「そうだよ、だって、治療したって、これ乳歯だから、すぐにぬけちゃうよ。自然に抜けるまで、待ってる気?それまで、歯が痛いのがまんできる?」
・・・。
「・・・できない
ぼくは、泣きたいのをがまんして、
「おねがいします
と小さな声でいいました。
「なんだ、なんだ、ボーズ、男だろ、蚊の鳴くような声をだすな」

蚊って、鳴くんかぁ。。。鳴き声きいたんなら、どんな声で鳴くのか、いってみろ。ぼくは、それどころじゃないんだから。。。

「よし、じゃあ、このまま抜くか」
「え?」
「大丈夫だから」
「え?」

お、おにだあああああああああ

ぼくの虫歯はペンチでぬかれてしまいました。。。

歯って、ペンチで抜いていいのかよ~。
くぎじゃないんだよぉ~~。

歯医者って・・・お医者さんの中でも、けっこういじわるなんだね。。。








作者注・・・
小学生の歯をどんな風に抜くのか、もう少し調べて書けばよいのでしょうが、めんどくさいので、昔、歯医者の治療中、目の前で繰り広げられた光景をフィクションを交えてそのまんま書きました。あしからず。。。








ようかい

2006-03-01 23:07:39 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です

今日は、さらだ先生の奥さんの学校は、そつぎょうしきだそうです。高校は早いんだね。

毎朝見かける高校生のお姉さんは…えーと、日本人…だよな…
かみの毛は、まっきんきんで、顔がまっくろで、まぶたが青くて、真っ赤なつめがのびていて、日本人とかなんとか人とかいう前に、人間かあ?と、みんなで笑っています。

ようかいだよねえ、まるっきり。

このようかいじょしこうこうせいは、スカートがとっても短くて、耳たぶからじゃらじゃらなんだかぶら下げて、むねが見えそうくらいにシャツのえりをあけています。
かいだんをのぼると、下からぱんつが見えます。ぱんつはいちごだったり、きみどり色だったり、ピンクだったり、ぼくたちはみんなであてっこします。負けたら、虫キングのカードを勝ったに人にあげなくちゃいけません。

ぼくのせいせきは、まあまあかな

ようかいは、冬になるとスウェットをはきます。ぱんつは見えません。見えませんけど、このスウェットはけっこうきたない。もしかして、パジャマに着ていたやつを脱がずに、そのまんま制服着ちゃったんだろうね。

きったねえなあ

女の子は、高校生になるとみんなあんなようかいにばけるんだろうか。クラスの女の子たちの顔を思い出したら、それもアリだな、とへんになっとくしてしまいました

でも、どうせ仲よくするなら、ぼく、金メダルのお姉さんがいい