へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

おとうさんより

2006-03-04 23:49:35 | へちま細太郎
こんばんは、細太郎の父です
独身です。
 いつも細太郎がお世話になっております。なかなか細太郎の相手をしてあげることができず、みなさまについ甘えることになってしまい、大変ありがたく思っております。

と、堅苦しい挨拶はここまでにして・・・。
俺は、独身で30歳。彼女は…いない。色は白いが、ジム通いのおかげでけっこう脱いだらすごいと思う。ただ残念なことは、女性に見せる機会がないことだ。職場の連中には、色が白いというだけでバカにされ、脱いだらアバラが浮くなどと言われて、誤解を招いている。 全くひどい話だ。

悪いけど、あんたら、俺の裸みたことあんの?まあ、俺もただでは見せる気ないし、あんたらに見せたいとも思わないけどね。



細太郎はいい子だ。俺の宝だ。母親もいないのに、よく素直に育ってくれたよ。俺の子だよなあ。
なのに、なんだよ、昨日は。アパートに帰ろうと言っても首を振る。では、いつも通り風呂に入ろうと声をかけても返事がない、おとうさんの部屋で一緒に寝よう、と言えばおばあちゃんと寝る、と見向きもしない。今日はサッカーを見に行こうと誘っても、J2の弱っちいチームなんかイヤだ、とぬかす。今まで一緒に応援に行き、J1昇格を楽しみにしていたのに。
どういうことだ。細太郎、おとうさんは寂しいぞ。細太郎、何があった…。ま、まさか…、おまえ、その年で“毛”が生えたか? 早すぎるぞ、細太郎!!
と、悩んでいたら、おふくろと親父が笑っている。
「何だよ、何がおかしいの」
「だって、ねえ」
おふくろは、そう言って何やら棚から持ち出してきた。
「何これ、アルバムじゃない」
俺は懐かしいページをめくり、
「これが何の関係があるの」
と、細太郎の赤ん坊のころによく似た俺の写真を見た。
「細太郎は俺に似たんだなあ」
目を細めて、つい細太郎が生まれたころを思い出した。 あの頃は…。 と、ふいに過去から現実に引き戻すように、
「細太郎には、女装趣味はないみたいだぞ。安心しろ」
と、親父が言った。
「何だよ」
くっくっくっとおふくろが笑った。
「ああ?笑ってないで言えよ」
俺は、2人を見ながら、自然のなりゆきでアルバムをめくった。と、そこには…。
細太郎、この写真を見たのか
「悲鳴をあげていたぞ」
ほ、細太郎…。
「ついでにな、リカちゃんも好きだったと言っておいたぞ」
お、親父…。俺は、血の気が引いていくのを感じた。そして、次の一瞬、俺は思い立ち2階に駆け上がり、物入れを開けた。一番奥に隠しておいた俺の宝箱が開けられた形跡がある。
俺は、俺は…
誰だって、触れられたくない過去があるんだ。細太郎、今すぐ理解しろとは言わないが、おとうさんの気持ちをわかってくれ。
リカちゃんは、リカちゃんは・・・俺の初恋だったんだあ。。。
………。
俺は、久しぶりにリカちゃん人形を手にとって、少年のころそうしていたようにリカちゃんの髪をなぜた
その様子を細太郎に覗かれているとも知らずに…


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1 コメント

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アッハッハッハッ (agonasi)
2006-03-05 13:41:03
アッハッハッハッハッハッハッハッ
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