へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

部活の顧問はブラック?

2016-02-22 15:18:23 | へちま細太郎

東山先生のつぶやきはまだ続く。
「部活の顧問はブラックってか?そうなのか?」
私大の数学の問題を解きに来て頭を抱えていた久保田が、
「は?誰がそんなこと言ってんです?」
と、これ幸いに数学の入試問題を放り投げた。

「ニュースでやってんねん。ほれ、新聞に乗ったやろ、6人の30代の部活の顧問の教師が、ブラックやあいうて、署名したっていう…」
「ああ、○日新聞が載せてましたね。部活の顧問も仕事のうちでしょ」
「休日手当が1,000円しかでえへんって言うてる教師もおるで」
「何考えているんですかね。1000円以外にも、校外に出るんですから、出張手当が付くでしょ。バカですね、妻にナイショのお小遣いになるのに。やんなきゃ損ですよ」
そこか!!
つ~か、久保田、おめ、新婚なのに、小遣いもらってねえのかよ~。
と、聞いていて情けなくなった。
「そやけど、家庭サービスなしやて、そら困るやろ」
「確かに、家庭サービスや家族とコミとれないとか、悩みはつきませんけどね。でも、それを上回るくらいの出張手当が魅力ですね」
「あんたな、新婚の妻より、金か。このお人らは、そんなことより家族が大事いうてんねん」
と、ここでたかのりが口を出した。
「んじゃよ、この教師らは、俺ら生徒が部活に入るから部活顧問して、日曜出勤してるのが迷惑いってんだろ?」
「いや、そういうこと言ってんじゃないよ」
慌てて久保田がホローするも、怒りのおさまんないたかのりは、
「こういう気持ちで部活の顧問やってるのか、俺たち、こいつらにとって“教師の仕事をやる上で”迷惑な存在って、受け取っちゃうよな。は?てめえの子供が部活入りたいっていったら、止めるんだろうな、もちろん、虐待だよ、虐待」
たかのりの「虐待」は言い過ぎだが、確かにこんな気持ちで部活の顧問されていたとしたら、俺たち、やってもらわなくて結構だよ、っていいたい。家庭を犠牲にして、とか言われたら、これ以上、何にも言えねえし。
あ~あ、教師目指さなくてよかったわ。
「だってさ、帰りは遅くていいとかいうんだよ、うちの奥さん、新婚間もないのに、それはないよね?」
久保田、もういいからいいから


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