へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

ノートの取り方

2015-11-06 17:00:56 | へちま細太郎

こんちは、へちま細太郎です。

勉強に夢中になっていると、高校時代の数学のノートをひょいと取り上げた孝太郎先輩が、
「きれいでわかりやすいな」
と、感想を言ってくれた。
まあね、数学はしんいちほどじゃないが得意だし。
けど、
「しかし、なんだこりゃ」
と古典のノートをパラパラする。
「見られたもんじゃねえな。おまえ、古典苦手なのか?」
「ほとんど聞いてなかった。藪の古典なんて、誰もきいてないよ」
と、ノートをひったくった。
「おまえ、藪だったの?」
「現代文は上本だったけど、あっちの方がよかった」
と言ってもノートとってなかったけどね。孝太郎先輩は、ふうんと言いながら、今度は生物のノートをめくる、がしかし、
「なんじゃこりゃ」
と、素っ頓狂な声を上げた。
そりゃそうだ。自分にしかわからない取り方だから。
「おまえ、こんなノートの取り方してたの?」
「そうですけど、何か?」
「これで成績トップ?」
「ういっす
ぐちゃぐちゃに書き込んだノートをぴらぴらさせながら、
「せっかくだから、うちの母校用に、トップのやつのノートを本にしてうろうかと思ったんだが」
「何考えてんすか。おれのノートの取り方が他のやつにできますかっての。だいたい、東大生のノートとかって売ってますけど、それみて東大生になれますか?」
「なれね~よ。必要なのは“東大生の”であって、中味はどうだっていいもん。だいたい、俺はノートとったことねえ」
これだよ。 

「まあなんだな、黒板に書いてあることをまんま写してたんじゃ、ダメだってことぐれえわかりゃいいんだがよ~」
全国のみなさん、コピーマシンになってませんか?ノートは自分で作るもんですよ 。
「そうしてくれ、そして俺がコピーして売るからね」
孝太郎先輩、あんたが藤川家のあとついだ方がいいんじゃね?と思ったね。
御隠居さま、そっくりだ



最新の画像もっと見る

コメントを投稿