へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

おばあちゃん、怒る

2011-07-01 22:06:57 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

昼間、おばあちゃんは実家のお兄さん…ぼくにとっては大伯父さんに誘われて、広之おにいちゃんのおかあさんといっしょに食事にいったんだって。
で、広之おにいちゃん・慶子おねえちゃん・奈々子、おばさんとおじさんがぼくのうちに来ていて、みんなで楽しくお食事会。
といっても、帰る早々二人して、
「口直し、口直し、うなぎだあ」
と叫びまくっていたので、今夜はうな重を前にしてみんなホクホク顔だ。
「で、何でそんなに怒ってんの?」
うな重の2つめに手をだしている(自分で2つと注文した)藤川先生が、ふたりのおばあちゃんに訊ねると、
「あんたんとこのお家騒動でしょうが。みっちゃんとこと私の実家は、武断派だからね、あんたを居候させてるわ、息子たちが仲がいいときては、バカ殿派とみられて、実家の兄ちゃんなんか口から泡飛ばしてあーだこーだうるさいったりゃありゃしない」
「まったく、この現代に何を考えているんだが、アナログの田舎っぺどもがさ」
と、まくしたてられて藤川先生、箸をおく。
「あ~、わたくしがふがいないばっかりに…」
と殊勝なことをいうものの、ちっとも反省している様子がない。でもって、隣にすわるリカの口にうなぎを放り込む。
「じゃ、バカ殿よ」
と、初登場の広之お兄ちゃんのおとうさんが初セリフ。
「じゃあ、うちの孫娘の奈々子と婚約せんか。あと13年まってもらうことになるがよ」
「はい?」
一同唖然としておじさんをみるが、平気なもんだ。
これでも、一応中学校の校長を春先まで勤め、今は県の教育課に転勤してエラそうな役職についている。
「こんな下半身だけ丈夫なやつに、なんでかわいい奈々子を嫁にやらなきゃいけないんだああ」
広之おにいちゃん、逆上。
「てめえ、奈々子に手を出したら承知しねえといったはずだぞ」
「アホか」
慶子おねえちゃんに頭を叩かれて、とりあえずおとなしくなる。
「まったく、このバカにこのまま独身でいさせて、実孝んとこの子供に嫁にやりゃあいいじゃないの」
慶子おねえちゃん?何考えているの?
「ありゃだめだ、武断派は知らないあいつの素の顔を…、いや素の下半身を知っている俺は、このバカよりも危険だということを痛いほどわかっている
黙々とうなぎを食べていたおとうさんが、やっと口をはさんだ。
う~ん、実孝さん、あなたって人はほんとはどんな人なんだ?
と、思ったところで、おじいちゃんが、
「おまえら、ばあさんたちがほんとに怒っているのは、そんな面白いことじゃないぞ」
と、おじさんにビールをつぎながらぼそり。
「なんなの?」
慶子おねえちゃんも、ビールをご相伴して3人で少々酔っ払い気味。
「なんで、今夜うなぎなんだか、考えてみろ」
あ、そ~か。。。昼、いったいおじさんと何を食べたんだろう。
「義兄さんのこったから、へそ庵のソバだったんだろ」
「へそ庵~?」
「あ~、そば食うのに能書き垂れるところだ」
広之おにいちゃんが、いやあな顔をした。
「いくら食道楽な俺でも、あそこだけは許さねえぞ」
藤川先生も怒りをあらわにする。
「どんなところなの?」
ぼくが聞いてみると、
「まったくよ、そばは早く食え、そばの風味を味わってくえ、余計な薬味はつけるな、てんぷらもご法度、そのくせつけ汁はダントツにまずい」
げっ。
「てんぷらそばは邪道だ。ネギもわさびもいらない。そばは3分以内で食え」
「そんなところで、そばの風味を味わうなんて、できる~?」
「で、見張ってんのよ、指示した通りに食べないとめちゃくちゃ怒鳴るわけ」
おばさんも、カンカンだ。
「兄ちゃんもなんであんな店がいいんだか、田吾作の食道楽を気取ってんのよ」
う~ん、ぼくなんか、ネギ大好きだけどな、ネギ星人だし…。
ネギだけで十分ですよ~んだ。
でも、このおかげでうなぎが食べられたんだ。感謝感謝。
ところで、藤川家相続問題は、いつまで続くんだ?



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