へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

久しぶりに晴れた

2021-09-07 15:12:23 | へちま細太郎

へちま細太郎です。

大学院の自分の研究室にも薄気味の悪いあの小百合の子供を飾っている。研究室仲間からはえらく評判が悪いが、しかし貴重な蘭の原種とあり観察することだけは忘れない。名前は、
「小百合の子供だからこゆりだ」
で、母親と同じく好物の小児用リポDを少々根元にかける。
「薄気味悪いが、研究対象と思えば何と言うことはない」
研究室仲間も、ゼミ時代からと一緒なのでドドメ色のこゆりにも慣れた。
え?子どもなんてどうやって作るんだって?株分けだよ、株分け。ある程度大きくなると鉢を植え替えてやらなけりゃならない。そういう時に株分けするんだ。いくつに分かれているかは、まあ、鉢から出してみないとわからない。
「まさか、耳栓とか必要ないですよね。変な悲鳴みたいな声をあげたり、ニキビ面になったりするとか」
なんてどこの魔法植物か、ドラクエの魔物かって感じで聞いてきたやつもいたな。
「心の目でみるとニキビがびっしりってこともあるかもよ」
「え?」
「そん時は、ニキビのクスリ塗っといてね」
「えええええええええええ」
女子学生は悲鳴を上げるも、荒波や後藤たちにけって表情されていたっけな。
なんにしても、今日は晴れた。リモートワークも実験が必要な理系にはなかなか難しいものがある。密にならないように研究室にやってきて、実験をすすめていく。
「あ、細太郎さん、メダカまた卵産んだんで、別にしときました」
「あ、さんきゅ」
メダカ、くっちまうからなあ。以前、金魚に稚魚食われてえらい目にあったし、なんで魚って節操がねえんだよ、と文句を言いつつ今日も論文を書くために水生植物にウィンクしているのであった。
「あ、今日、わかめの味噌汁飲みたい」
作るのめんど~、はるみとそろそろ一緒にくらそうかなあ、などと思い浮かべるのであった。
そしたら、俺、ヒモじゃねえかよ~。。
とほほ…。