宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

鹿島田真希(1976-)「99の接吻」2009年、『冥土めぐり』所収、河出書房新社、2012年

2017-04-08 21:13:47 | Weblog
A 芽衣子姉さん(長女・32歳)、萌子姉さん(次女)、葉子姉さん(三女)、私・菜菜子(四女)が、溶け合って一つの体になる夢。
A-2 近所にSという青年が越して来た。芽衣子姉さん(長女)と同い年。姉三人が興味を持つ。彼女らが、Sをめぐって争えばいいと、私は思う。
A-3 萌子姉さん(次女)は意地っ張り。葉子姉さん(三女)は狡い。
B 「別れた父さんとのセックス、どうだった?」などと萌子姉さん(次女)が母に尋ねる。娘4人と母で下品な話をする。
C 「Sさんに会った。たい焼きくれた。」と芽衣子姉さん(長女)。「Sなんかより、私の方が、芽衣子姉さんを好きだ!」と私は思う。
C-2 母と4人姉妹で、老人ホームに入ると約束した。女たちの共同体がいい。両性具有のようなもの。
D 葉子姉さん(三女)が、Sと仲良く煙草を吸っていた。
D-2 Sの気を引こうと、葉子姉さんは、計算の上、猫をなでたりしていた。
D-3 男から好かれる葉子姉さんに対する、芽衣子姉さん(長女)と萌子姉さん(次女)のコンプレックッスが、Sの出現で、強化される。
E 萌子姉さん(次女)はエロティック。「アダルトビデオを見てあなたもオナニーしたら」と萌子姉さんが、私に言う。
F Sさんから、芽衣子姉さん(長女)が口紅をもらう。負けず嫌いの萌子姉さん(次女)が、くやしがる。
F-2 3人の姉さんを私は愛している。溶けて一体となりたい。
G 葉子姉さん(三女)がSと手をつないで歩く。Sは21歳。大学中退。映画監督志望。
G-2 「結婚すると約束した」と葉子姉さん(三女)。そして「結婚できなきゃ死ぬ!」と言う。
G-3 以後、三人の姉さんは、呆けて、くたっとなってしまった。
G-4 4人姉妹に巣くっている病い。女4人が、男1人に魅せられる。
H 葉子姉さん(三女)が泣く。「もうおしまい。Sは、ひものよう。」「愛したわけでない」と言う。
H-2 また「Sは、下町の女を、娼婦みたいに思っている」とのこと。
I しばらくして、「葉子は、Sと別れたらしい」と母が言った。
I-2 母と私たち4人は、再びリビングに集う。誰も、もう、Sについて語らない。
J 6年前、父さんと母さんが離婚。「いろんなことが積もり積もったため」と母さんが言う。
J-2 「父さんは、母さん以外に、好きな人がいた」と葉子姉さん(三女)が言った。
K  新しい口紅を試し、姉妹は、化粧に夢中になる。「誰が一番きれい?」との問い。姉3人が、私・菜菜子(四女)にキスをする。
K-2 私は、葉子姉さんに似ている。きっと「したたかで矛盾だらけの女になる」と私。

《感想》
母親と4人姉妹をめぐる話で、エロティック。
両性具有的。
男性は、異物的な存在。
娘4人と母親の共同体が醸す雰囲気に満ちる。
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