宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

前野隆司『脳はなぜ「心」を作ったのか』(2004)(その2):「意識」(※超越論的主観性)とは、「宇宙に生じたずれ」、すなわち「宇宙(世界)の開け」である!

2023-03-30 14:26:09 | Weblog
※前野隆司(1962-)『脳はなぜ「心」を作ったのか――「私」の謎を解く受動意識仮説』(ちくま文庫2010)(2004刊行、42歳)
第1章 「心」――もうわかっていることと、まだわからないこと(その2)
(7)「脳科学」は「意識化された無意識」であり「心」の一部、つまり「意識」である! 
G 「脳」が「心」(意識)を作り出していると、前野隆司氏は言う。(25頁)
G-2  なお「脳」についての知見である「脳科学」は、「意識化された無意識」(前野隆司)であり、つまり「脳科学」は「心」(意識)に属する。(24頁)
(7)-2 「脳」は「意識」(心)(超越論的主観性)の一部である!「脳」が属する「物」の世界は、「意識」(心)(超越論的主観性)の一部だ!世界は、「物」もまた触れる触れられるという出来事において、開けている!自分(意識)(超越論的主観性)とは「世界の開け」、「宇宙の自己認識」、宇宙に「ずれ」が生じることである!
G-2  前野隆司氏は、「意識」(心)は「脳の情報処理」結果であるが、「意識」が「脳」のどこにあるかはわかっていないと述べる。(28-29頁)
《感想2》だが「意識」(心)が「脳」のどこかにあるのでなく、「脳」は「意識」(心)の一部である。ただしここでの「意識」(心)とは、「超越論的主観性」としての意識である。
《感想2-2》「脳」が属する「物」の世界は、「意識」(※超越論的主観性)の一部である。
《感想2-3》世界は、「物」もまた触れる触れられるという出来事において、開けている。自分(意識)が世界の開けである。自分(意識)が存在しなければ世界は存在しない。だから「自分《と》世界」でなくて、「自分《が》世界」だ。(Cf. 池田晶子)
《感想2-4》「触れる触れられるという出来事」が「物」の開け(そのものとしての「現象」の出現)である。「触れる触れられるという出来事」の境界面に「物」が「相互に他である」という出来事として出現する。この
「相互に他である」物の一方が《「身体」としての物》と呼ばれ、他方が《単なる「物」》と呼ばれる。(視覚・聴覚・嗅覚・味覚も「物」の属性を「現象」として出現させる。)

《感想3》「意識」(※超越論的主観性)はまた世界(宇宙)のずれとして「世界の開け」である。
《感想3-2》「意識」(※超越論的主観性)とは「世界の開け」である。あるいは宇宙(世界)の自己認識である。「意識」(※超越論的主観性)とは、「宇宙に生じたずれ」、すなわち「宇宙(世界)の開け」である。フッサールは「超越論的意識」(※宇宙そのものであるモナド)におけるノエシスとノエマへの「分裂・開け・ズレ」について語る。
《感想3-3》また唯識仏教においては、「自体分」(「認識以前の心」)が、「みる領域」つまり「見分」(ケンブン)(※ノエシス)と「みられる領域」つまり「相分(ソウブン)」(※ノエマ)に分化することによって認識が成立する(「認識する心」となる)と考える。(多川俊映『唯識、心の深層をさぐる』上下2022年、上73頁)

(8)「自分」の脳は「物」世界として、「私」(「意識」)(「世界(宇宙)の開け」)(超越論的主観性)に属する!「自分」(脳を含む身体)、「私」(意識、世界・宇宙の開け、超越論的主観性)、〈私〉(自己意識)!  
H  前野隆司は、「自分」とは、ハードウェア(物・物体)としての、つまり「脳を含む身体」としての自分のことだと定義する。(33頁)
H-2  また前野隆司は、「私」とは「意識」であり、そして「私」(「意識」)は「自分」の脳が作り出すと述べる。(33頁)
《感想4》前野隆司氏は、「意識」が「世界(宇宙)の開け」であると解さない。だが「物」の世界、さらに「物」の世界に属する「脳」、これらも「意識」される限りで「世界(宇宙)の開け」(意識)(超越論的主観性)である。
《感想4-2》「物」もまた、「意識」(「世界or宇宙の開け」)(超越論的主観性)である。
《感想4-3》「私」(「意識」)(超越論的主観性)は、「自分」(「脳を含む身体」)の脳が作り出す(前野隆司氏)のではない。「自分」の脳(さらに身体)は「物」世界の一部として、「私」(「意識」)(「世界(宇宙)の開け」)(超越論的主観性)に属する。
H-3  前野隆司氏は、「自己意識」を〈私〉と名づける。〈私〉or「自己意識」とは、「意識」(「私」)のうち、生まれてからこれまで、そして死ぬまで、これが自分の意識だと実感し続ける「意識」の部分のことだ。(33頁)

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