(一)山本翠(ミドリ)=ペンネーム棚、犬マースの病気
A 山本翠(ミドリ)、ペンネームは棚(タナ)。画家のターナーからとる。
B 棚は、昨年、ケニアへ行く。父の死で帰国。今、棚40歳。帰国後1年。
B-2 3F建ての自宅マンションに住む。母1F、棚2F。
B-3 犬を1匹飼う。雌犬マース、11歳。
B-4 棚には、パートナーの鐘二(ショウジ)がいる。別に住む。鐘二は大学勤務。
C マースが尿を漏らし、便秘なので、棚が、動物病院に連れていく。
(ニ)~(五)片山海里:アフリカの精霊憑依・呪医の本を書き死ぬ
D アフリカの民話の本を書いた片山海里が、棚の友人。
D-2 片山はアフリカの精霊憑依・呪医の本を書く。片山はアフリカで死んだ。
E アフリカ研究者の三原は、棚の男友達で、HIV感染者。三原は、棚とパートナー鐘二の共通の友人。
E-2 三原は、アフリカの仮面に惹かれる。
F 犬マースは、子宮に腫瘍が見つかる。犬マースは、その後、大学病院で検査。
G アフリカの呪医は、相手の悪霊を自分に引き受ける。近代の医者は、患者を客観視する。
(六)~(八)片山・鮫島・現地ガイド3人の死、精霊ジンナジュ:ダバを取り除きまた送り込む
H 犬マースの手術。腫瘍摘出に成功。
I 登美子(棚の6歳年長)の喫茶店。
I-2 編集者の河瀬が、ウガンダに行く話を、棚に持ってくる。ウガンダは危ないと鐘二。
J 喫茶店に、片山海里『ウガンダの民話』の本があった。片山はウガンダの民話を採取。
J-2 片山は、ウガンダで100人の呪医を訪ねる。身体に入った黒い塊、ダバが病気の原因と呪医は説明する。
J-3 「犬マースの腫瘍は、ダバのようなものかもしれない」と棚。
J-4 片山によると、「ダバと洪水は関連する」という。
K 片山海里の遺著『アフリカ伝統医の記録』
K-2 この本の「前書き」を書いた鮫島孝は、1か月前に死去。片山と鮫島は2人で呪医を回っていた。2人とも死んだ。現地ガイドも、半年前に死亡。
L 精霊ジンナジュが、ダバを取り除く。また相手にダバを送り込み、病気にする。
L-2 精霊ジンナジュについて、書くと、ジンナジュに覗きこまれる。
(九)~(十)棚、ウガンダに行く:死んだ片山と鮫島の足跡を調べる
M 棚、ウガンダに行く。死んだ片山と鮫島の足跡を調べたい。
M-2 呪術師(伝統医)ボガレに会いに行く。会えず、第1夫人のウルビから話を聞く。
M-3 片山と鮫島は、呪術師ダンデュバラに弟子入りした。その後、死んだ。ガイドも死んだ。
(十一)~(十四)棚:呪術師ダンデュバラと会う
N 棚は、呪術師ダンデュバラに会いに行く。
N-2 運転手マティ。片山の死んだガイドの弟。依巫の系統。(Cf. 狐持ちの系統)
N-3 訪ねると、呪術師ダンデュバラは、患者を治すための宴会療法の最中。霊に憑かれて、人びとが踊る。
N-4 霊に憑かれた男が「ミドリ」と棚に向かい叫ぶ。精霊ジンナジュが、棚(ミドリ)を、片山を通じて知る。
O 呪術師ダンデュバラのもとで、ナカトが看護師として働く。
O-2 ナカトは、呪術師修行中の片山の、最初のクライアントだった。
P 「たいていの霊現象には仕掛けがある」と片山は言っていた。金もうけが不可欠なため。
Q アフリカンアート蒐集(シュウシュウ)家・三原は、エイズに感染している。
Q-2 三原の通訳兼助手・チャンパ。
R 「精霊ジンナジュを協力させることに、片山は失敗し、死んだ」と、呪術師ダンデュバラが言った。
(十五)~(十六)三原の車で、棚とナカトが、ババイレの死に場所(居場所)探しに出発する
A ナカトは、行方不明の双子の妹ババイレの居所を、探していた。
A-2 かつて、反政府武装勢力LRA(神の抵抗軍)がナカトの村を襲い、男たちは皆殺し、母・祖母も殺された。ナカトは孤児院へ行く。LRAに連れ去られたババイレは、死んだ。
A-3 ナカトは、呪術師ダンデュバラに、ババイレの死に場所(居場所)を聞きに来た。
A-4 「ババイレの居場所は、片山が知っている」と、ダンデュバラが言った。
B 片山は、ナカトに、「ミドリ(棚)が来るまで待て」と言った。
B-2 「“ババイレが、どこで死んでいるか分からない”と、私も死ぬ」とナカトが、棚に言う。
C 三原の車で、棚とナカトが、ババイレの死に場所(居場所)探しに出発する。
C-2 「片山の精霊ジンナジュが、棚についている」と、三原が言う。
C-3 「飼い犬マースの病気は、そのせいかもしれない」と棚。
D アフリカ人の関心は、①権力欲、あるいは②カネと性交のみ。
D-2 都会へ来るアフリカ人は、小ずるく、抜け目がない。
(十七)~(ニ十二)片山とババイレの死が、ピスタチオの実として結実した
E ムベンデ・ヒルのナカイマ・ツリーを訪れる。
E-2 ナカイマ・ツリーは女性ナカイマが死なずに木になったもの。樹霊信仰の中心。
E-3 祭司役のイスター・ンテが、「ナカイマの霊が来て、片山について話している」と言う。
F NGO「木を植える会」の千野(登美子の夫)が、「ピスタチオの植林だけが、うまくいく」と言う。
F-2 千野が、LRA(神の抵抗軍)の元子ども兵士だったイディリのもとに、棚とナカトを連れていく。
F-3 「ババイレが脱走したが、その後の生死はわからない」とイディリ。
G 「患者と精霊ジンナジュの両者にとって、納得できる物語が必要だ」と片山。
G-2 死者について物語が必要。「それを抱いて眠る」ための物語。
H 「精霊ジンナジュが、棚に乗り移っている」とナカト。
H-2 ピスタチオの木を見た時、片山のイメージの奔流を、棚は感じる。「ババイレは、あそこにいる」と棚。
H-3 ピスタチオの木の根元から、ババイレの人骨が見つかる。
H-4 おそらくババイレが殺されて埋められ、食料として持っていたピスタチオ・ナッツから、芽が出た。
I 「片山とババイレの死が、ピスタチオの実として結実した」という、死者の物語。
I-2 「片山は、捨て子だったが、育ててくれた母親に、大事に育てられた」と、三原が言った。
I-3 片山の最初のクライアントであるナカトの問題が、解決された。
(ニ十一)(=死者の物語)ピスタチオ――死者の眠りのために
A 捨て子だった赤ん坊(男の子)が、駅で遺失物係に届けられた。
A-2 遺失物係の母が、男の子をピスタチオと名付けた。(頭の形が似ていた。)そして育てた。
A-3 男の子の最初の言葉は、「かんかんでろり」(後に木の名前とわかる)だった。瞑想家に連れて行ったが、意味は分からなかった。
B ピスタチオは13歳になっても、言葉がうまく通じなかった。
B-2 ピスタチオは、木々の言葉がわかった。樹霊が「お前は私のようになる」と言った。
C 占い師が、「ピスタチオは、あの世に属する鳥が、この世に現れたものだ」と告げた。
D ピスタチオは、シシナン山で鳥検番になるため修行を始める。
D-2 鳥検番になるのは、捨て子と決まっていた。
D-3 鳥と人間は、《本来一つである魂》が2つにわかれたもの。
D-4 鳥検番は、この鳥をコントロールし、人の生活を平和にする。
E ピスタチオの師、鳥検番のパイパーが死ぬ。
E-2 大鴉(最初の鳥検番)が現れ、「お前にふたごの鳥など必要ない」と、ピスタチオに言う。
E-3 さらに大鴉が言う、「鳥自身を覚醒させよ!」つまり「鳥が、鳥の裁量で自由に空を行き来する」。そしてピスタチオは、「お前は最後の鳥検番だ」と言われる。
E-4 翌朝、大鴉は死ぬ。
F ピスタチオは、疫病になり死ぬ。
F-2 ピスタチオは、「かんかんでろり」の木となる。
F-3 「ピスタチオ、ピスタチオ、いい一生を生きた。安心してお休み」と、遺失物係の母が言った。
F-4 その後、カケスが、その言葉をまねて、今も鳴き続ける。
《感想》
①ピスタチオの木の根元で、ふたごの姉ナカトは、妹ババイレの遺骨を発見した。
②「呪術師にならんとした片山の最初のクライアント・姉ナカト」が依頼した問題は、「片山の霊が棚に憑依することによって、遺骨が眠るピスタチオの木が発見される」ことで、解決した。
③「ピスタチオの魂の安眠の物語」が、「片山とババイレ両魂の安眠の物語」と、同一化される。
A 山本翠(ミドリ)、ペンネームは棚(タナ)。画家のターナーからとる。
B 棚は、昨年、ケニアへ行く。父の死で帰国。今、棚40歳。帰国後1年。
B-2 3F建ての自宅マンションに住む。母1F、棚2F。
B-3 犬を1匹飼う。雌犬マース、11歳。
B-4 棚には、パートナーの鐘二(ショウジ)がいる。別に住む。鐘二は大学勤務。
C マースが尿を漏らし、便秘なので、棚が、動物病院に連れていく。
(ニ)~(五)片山海里:アフリカの精霊憑依・呪医の本を書き死ぬ
D アフリカの民話の本を書いた片山海里が、棚の友人。
D-2 片山はアフリカの精霊憑依・呪医の本を書く。片山はアフリカで死んだ。
E アフリカ研究者の三原は、棚の男友達で、HIV感染者。三原は、棚とパートナー鐘二の共通の友人。
E-2 三原は、アフリカの仮面に惹かれる。
F 犬マースは、子宮に腫瘍が見つかる。犬マースは、その後、大学病院で検査。
G アフリカの呪医は、相手の悪霊を自分に引き受ける。近代の医者は、患者を客観視する。
(六)~(八)片山・鮫島・現地ガイド3人の死、精霊ジンナジュ:ダバを取り除きまた送り込む
H 犬マースの手術。腫瘍摘出に成功。
I 登美子(棚の6歳年長)の喫茶店。
I-2 編集者の河瀬が、ウガンダに行く話を、棚に持ってくる。ウガンダは危ないと鐘二。
J 喫茶店に、片山海里『ウガンダの民話』の本があった。片山はウガンダの民話を採取。
J-2 片山は、ウガンダで100人の呪医を訪ねる。身体に入った黒い塊、ダバが病気の原因と呪医は説明する。
J-3 「犬マースの腫瘍は、ダバのようなものかもしれない」と棚。
J-4 片山によると、「ダバと洪水は関連する」という。
K 片山海里の遺著『アフリカ伝統医の記録』
K-2 この本の「前書き」を書いた鮫島孝は、1か月前に死去。片山と鮫島は2人で呪医を回っていた。2人とも死んだ。現地ガイドも、半年前に死亡。
L 精霊ジンナジュが、ダバを取り除く。また相手にダバを送り込み、病気にする。
L-2 精霊ジンナジュについて、書くと、ジンナジュに覗きこまれる。
(九)~(十)棚、ウガンダに行く:死んだ片山と鮫島の足跡を調べる
M 棚、ウガンダに行く。死んだ片山と鮫島の足跡を調べたい。
M-2 呪術師(伝統医)ボガレに会いに行く。会えず、第1夫人のウルビから話を聞く。
M-3 片山と鮫島は、呪術師ダンデュバラに弟子入りした。その後、死んだ。ガイドも死んだ。
(十一)~(十四)棚:呪術師ダンデュバラと会う
N 棚は、呪術師ダンデュバラに会いに行く。
N-2 運転手マティ。片山の死んだガイドの弟。依巫の系統。(Cf. 狐持ちの系統)
N-3 訪ねると、呪術師ダンデュバラは、患者を治すための宴会療法の最中。霊に憑かれて、人びとが踊る。
N-4 霊に憑かれた男が「ミドリ」と棚に向かい叫ぶ。精霊ジンナジュが、棚(ミドリ)を、片山を通じて知る。
O 呪術師ダンデュバラのもとで、ナカトが看護師として働く。
O-2 ナカトは、呪術師修行中の片山の、最初のクライアントだった。
P 「たいていの霊現象には仕掛けがある」と片山は言っていた。金もうけが不可欠なため。
Q アフリカンアート蒐集(シュウシュウ)家・三原は、エイズに感染している。
Q-2 三原の通訳兼助手・チャンパ。
R 「精霊ジンナジュを協力させることに、片山は失敗し、死んだ」と、呪術師ダンデュバラが言った。
(十五)~(十六)三原の車で、棚とナカトが、ババイレの死に場所(居場所)探しに出発する
A ナカトは、行方不明の双子の妹ババイレの居所を、探していた。
A-2 かつて、反政府武装勢力LRA(神の抵抗軍)がナカトの村を襲い、男たちは皆殺し、母・祖母も殺された。ナカトは孤児院へ行く。LRAに連れ去られたババイレは、死んだ。
A-3 ナカトは、呪術師ダンデュバラに、ババイレの死に場所(居場所)を聞きに来た。
A-4 「ババイレの居場所は、片山が知っている」と、ダンデュバラが言った。
B 片山は、ナカトに、「ミドリ(棚)が来るまで待て」と言った。
B-2 「“ババイレが、どこで死んでいるか分からない”と、私も死ぬ」とナカトが、棚に言う。
C 三原の車で、棚とナカトが、ババイレの死に場所(居場所)探しに出発する。
C-2 「片山の精霊ジンナジュが、棚についている」と、三原が言う。
C-3 「飼い犬マースの病気は、そのせいかもしれない」と棚。
D アフリカ人の関心は、①権力欲、あるいは②カネと性交のみ。
D-2 都会へ来るアフリカ人は、小ずるく、抜け目がない。
(十七)~(ニ十二)片山とババイレの死が、ピスタチオの実として結実した
E ムベンデ・ヒルのナカイマ・ツリーを訪れる。
E-2 ナカイマ・ツリーは女性ナカイマが死なずに木になったもの。樹霊信仰の中心。
E-3 祭司役のイスター・ンテが、「ナカイマの霊が来て、片山について話している」と言う。
F NGO「木を植える会」の千野(登美子の夫)が、「ピスタチオの植林だけが、うまくいく」と言う。
F-2 千野が、LRA(神の抵抗軍)の元子ども兵士だったイディリのもとに、棚とナカトを連れていく。
F-3 「ババイレが脱走したが、その後の生死はわからない」とイディリ。
G 「患者と精霊ジンナジュの両者にとって、納得できる物語が必要だ」と片山。
G-2 死者について物語が必要。「それを抱いて眠る」ための物語。
H 「精霊ジンナジュが、棚に乗り移っている」とナカト。
H-2 ピスタチオの木を見た時、片山のイメージの奔流を、棚は感じる。「ババイレは、あそこにいる」と棚。
H-3 ピスタチオの木の根元から、ババイレの人骨が見つかる。
H-4 おそらくババイレが殺されて埋められ、食料として持っていたピスタチオ・ナッツから、芽が出た。
I 「片山とババイレの死が、ピスタチオの実として結実した」という、死者の物語。
I-2 「片山は、捨て子だったが、育ててくれた母親に、大事に育てられた」と、三原が言った。
I-3 片山の最初のクライアントであるナカトの問題が、解決された。
(ニ十一)(=死者の物語)ピスタチオ――死者の眠りのために
A 捨て子だった赤ん坊(男の子)が、駅で遺失物係に届けられた。
A-2 遺失物係の母が、男の子をピスタチオと名付けた。(頭の形が似ていた。)そして育てた。
A-3 男の子の最初の言葉は、「かんかんでろり」(後に木の名前とわかる)だった。瞑想家に連れて行ったが、意味は分からなかった。
B ピスタチオは13歳になっても、言葉がうまく通じなかった。
B-2 ピスタチオは、木々の言葉がわかった。樹霊が「お前は私のようになる」と言った。
C 占い師が、「ピスタチオは、あの世に属する鳥が、この世に現れたものだ」と告げた。
D ピスタチオは、シシナン山で鳥検番になるため修行を始める。
D-2 鳥検番になるのは、捨て子と決まっていた。
D-3 鳥と人間は、《本来一つである魂》が2つにわかれたもの。
D-4 鳥検番は、この鳥をコントロールし、人の生活を平和にする。
E ピスタチオの師、鳥検番のパイパーが死ぬ。
E-2 大鴉(最初の鳥検番)が現れ、「お前にふたごの鳥など必要ない」と、ピスタチオに言う。
E-3 さらに大鴉が言う、「鳥自身を覚醒させよ!」つまり「鳥が、鳥の裁量で自由に空を行き来する」。そしてピスタチオは、「お前は最後の鳥検番だ」と言われる。
E-4 翌朝、大鴉は死ぬ。
F ピスタチオは、疫病になり死ぬ。
F-2 ピスタチオは、「かんかんでろり」の木となる。
F-3 「ピスタチオ、ピスタチオ、いい一生を生きた。安心してお休み」と、遺失物係の母が言った。
F-4 その後、カケスが、その言葉をまねて、今も鳴き続ける。
《感想》
①ピスタチオの木の根元で、ふたごの姉ナカトは、妹ババイレの遺骨を発見した。
②「呪術師にならんとした片山の最初のクライアント・姉ナカト」が依頼した問題は、「片山の霊が棚に憑依することによって、遺骨が眠るピスタチオの木が発見される」ことで、解決した。
③「ピスタチオの魂の安眠の物語」が、「片山とババイレ両魂の安眠の物語」と、同一化される。